核燃サイクル:秘密会議問題 「秘密会議が議論誘導」 原子力委、別の「調整会議」も−−内閣府検証報告
毎日新聞 2012年08月07日 東京朝刊
内閣府原子力委員会が原発推進側だけで「勉強会」と称する「秘密会議」を開いていた問題で、内閣府の検証チームは6日、「電力関係者に不利なシナリオを削除するなど(表の)小委員会の議論を誘導した。結論が影響を受けた可能性も否定できない」と指摘する報告書をまとめ、細野豪志・原発事故担当相に提出した。近藤駿介原子力委員長や電気事業者が参加して「調整会議」を開き、小委員会の最終的な取りまとめについて議論したことも初めて明らかにし「中立性、公正性、透明性の観点から不適切」と結論づけた。
「議論は(秘密会議の)影響を受けていない」と主張してきた原子力委にとって厳しい内容となった。近藤委員長は、記者団に「今後検討し対応を明らかにする」と述べた。
報告書はまず秘密会議の性格を検討。内閣府が発信したメールに「勉強会(秘密会議)で方向性を検討し、その方向性に従い審議する」と記載されていることから「(原子力委が主張する)作業会合にとどまらず議論に影響を及ぼす目的を持つ」と指摘した。
続いて3月8日の秘密会議の結果、高速増殖原型炉「もんじゅ」の研究開発継続に不利なシナリオが削除されたことを認定し「経済産業省の意図が強く働いた審議の誘導」と批判した。小委員会のメンバーの大半がヒアリングに対し小委員会の結論(取りまとめ)への影響を否定した、としつつ「シナリオが取捨選択されれば、議論に影響する。結論に影響した可能性が否定できない」とした。
内閣府のサーバーからメールを復元した結果、新事実も判明した。5月1日、近藤委員長や鈴木達治郎・委員長代理、電力10社で作る「電気事業連合会」、青森県六ケ所村の再処理工場を経営する「日本原燃」幹部らが調整会議を開き、小委員会の結論に当たる「総合評価」の内容について議論した。