東日本大震災:復興予算問題 宮城・石巻復興に反捕鯨対策予算 地元「ぴんとこない」
毎日新聞 2012年10月06日 東京朝刊
投じられた約23億円のうち約18億円は、調査捕鯨の実施主体の財団法人「日本鯨類研究所」に支払われた。水産庁は「偶然」としているが、SSの妨害で目減りした収入とほぼ一致する。残りの約5億円がSS対策のため水産庁監視船を派遣する費用だった。
石巻市の関係者によると、復興予算を投じた調査捕鯨で「石巻には一頭も入っていない」という。
市水産課は「乗組員に市民がいるので、SS対策は市民の安全を守ることになる。現地の復興も捕鯨対策もどちらも必要だ」との見解。一方、木の屋石巻水産の担当者は「調査捕鯨全体の将来を考えると今回のような事業は必要だと思うが、いま役に立っているかはわからない」と語った。
石巻魚市場によると、漁業、水産業の復旧は震災前の3割程度。震災で漁船を流された男性(61)は「原発事故の影響で満足に漁もできず、将来的な見通しも立たないのに国の対策は遅々として進まない。調査捕鯨も大切だが、税金の使い方を考えてほしい」と希望した。