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中国・韓国はなぜ1文字? 世界の「名字の謎」
編集委員 小林明

(2/3ページ)
2012/10/5 6:30
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スペイン人中南米人に多いのが、~エス(ez、es)という名字。フェルナンデス(Fernandez)やゴンザレス(Gonzalez)などがその代表例。父親の名前の所有格を名字とする例が多く、たとえば、フェルナンデスは「フェルナンドの子ども」、ゴンザレスは「ゴンザロの子ども」という意味になる。

イタリア人に多いのが、di~、d'~などが付いた名字。これは英語でいう「of」や「from」にあたり、「~の子ども」「~出身」などの意味がある。たとえば、ダルベルトなら「アルベルトの子ども」、ダ・ビンチなら「ビンチの出身」という意味。つまり、芸術家、科学者として知られるレオナルド・ダ・ビンチは「ビンチ村出身のレオナルド」という意味になる。

オランダ人に多いのは、ファン・デル(van der)、ファン・デ(van de)などが付いた名字。これも英語の「of」や「from」にあたり、「~出身」などの意味がある。vanが前置詞で、derやdeが定冠詞だ。たとえば、オランダ出身の人気サッカー選手、ファン・デル・ファールトは「ファールトの出身」(ファールトは運河)という意味と考えられるそうだ。

ノルマン系に多いのはフィッツ(Fitz)~という名字。「~の子ども」という意味で、フィッツジェラルドは「ジェラルドの子ども」という意味になる。

表2
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表2

 国や地域によって様々な形態を取っているが、いずれも父親や地名などに由来している。名字の生まれるプロセスが分かるので興味深い。

 余談になるが、スペイン南部のセビリア近郊にあるコリア・デル・リオには、スペイン語で「日本」を意味するハポン(Japon)を名字とする人たちが600~800人ほど住んでいるという。これは、江戸時代の1613年(慶長18年)に仙台藩主、伊達政宗が通商などを求めて支倉常長らを派遣した慶長遣欧使節団の子孫ではないかといわれている。

 使節団はスペイン国王やローマ法王に謁見(えっけん)したが、その後、何人かが帰国せずにスペインに残ったらしい。ほかのスペイン人と違い、ハポンさんには蒙古斑が現れるケースも少なくないようだ。

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