最近、インターネットの掲示板や携帯サイトで殺人や爆破などを予告する書き込みが急増しています。今回は、このような犯罪予告がいったいどんな罪に問われるのかについてお話します。
ネット掲示板での犯行予告
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| 世間が注目を集めるような事件があると必ず模倣犯があらわれます。いやですね。 |
2008年6月8日に、東京・秋葉原で17人が殺傷された事件が発生したことは記憶に新しいと思います。この事件では、加藤智大容疑者が、ケータイ向け掲示板に「犯行予告」を行っていたことが注目を集めました。事件後、インターネットの掲示板や携帯サイトで、殺人や爆破予告の書き込みをする模倣犯が急増し、警察庁によれば、事件のあった6月8日から23日までの間に、なんと12人も逮捕されたということです。
最近の事例をざっと見ただけでも、6月22日には、橋下徹大阪府知事の暗殺予告を掲示板に書き込んだとして、東京都の33歳の会社員が逮捕されているほか、翌6月23日には、ディズニーランドでの殺害予告などで、少なくとも3人が逮捕されています。では、このような犯罪予告の書き込みは、いったいどんな罪に問われるのでしょうか。
ネットにもはや匿名性はない?
インターネットの掲示板では、通常、ハンドルネームといったニックネームを使用して書き込みがなされます。そのため、書き込みを見ただけでは、誰がその書き込みをしたのかはわかりません。このようなネットの匿名性からか、安易な気持ちでいたずら半分に書き込みをする人が続出していると考えられます。
しかし、匿名の書き込みといえども、警察がその気になれば、誰が書き込んだかを調べることが可能です。というのも、インターネットに接続すれば、プロバイダや電話会社に記録が残り、ホームページにアクセスしたり掲示板に書き込めば、サーバーにも記録が残るからです。
したがって、強力な捜査権を有する警察が、プロバイダや電話会社、ホームページ運営者の協力を得て、記録をたどれば、誰が書き込んだかを突き止めることが可能なのです。不特定多数が利用するネット喫茶からであれば、誰が書き込んだかわからないという反論もありそうですが、ネット喫茶でも、最近は警察からの指導により、身分確認がなされていますから、やはり足がつきます。このように、ネットに匿名性がほとんどないことは、もはや常識になりつつあると言えるでしょう。
次のページでは、安易な書き込みが社会にどんな影響を与えるのかを中心に話を進めます。