「スパイダーマン」で仮処分申し立て10月5日 16時35分
映画「スパイダーマン」の最新作のDVDなどのレンタルを、供給元の会社が大手チェーン1社だけに認める計画を立てていることに対し、全国のレンタル店が「特定の店でしか借りることができないのは不公平だ」と主張して、商品の販売を求める仮処分を東京地方裁判所に申し立てました。
申し立てによりますと、来月からDVDやブルーレイディスクの販売が行われる映画「スパイダーマン」の最新作、「アメイジング・スパイダーマン」について、供給元のソニー・ピクチャーズエンタテインメントが、大手の全国チェーン店「TSUTAYA」1社にだけレンタルを認める計画を立てているということです。
このため全国でレンタル店を経営する14社が、「特定の店でしか借りることができないのは不公平だ」と主張して、レンタル用DVDなどの販売を求める仮処分を5日、東京地方裁判所に申し立てました。
神奈川県でレンタル店を経営する矢田公司社長は会見で、「人気作品を借りさせないというのは前代未聞だ。このままでは見たい映画を見られない地域も出る」と話しました。
ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは「今現在、お話しできることがないので、現時点でのコメントは差し控えたい」としています。
なぜ、レンタル業者1社だけなのか
5日、申し立てた14の業者は、会見の中で、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが人気映画、「アメイジング・スパイダーマン」を含む4つの映画作品について、独占的にレンタルできる権利を入札にかけていたと説明しました。
入札に参加したレンタル業者は4社とみられ、落札したのが、TSUTAYAだったということです。
こうした有名作品のDVDなどを1社が独占的にレンタルするケースは業界では異例です。
しかし、このやり方が定着するのではないかと、業界で懸念が広がりました。
背景には、国内のレンタルビデオ市場の厳しい現状があります。
レンタルビデオ市場は、ここ数年、大きく縮小する傾向にあります。
映像ソフト会社などでつくる「日本映像ソフト協会」が平成17年から行っている調査によりますと、国内のレンタルビデオ店のレンタル売り上げの推計総額は、平成19年の3604億円をピークに減り続けていて、去年は、ピーク時のおよそ7割の2542億円となっています。
日本映像ソフト協会の許諾を受けたレンタルビデオ店の数も、平成17年6月の時点で7923店舗ありましたが、ことし6月には、5077店舗にまで減りました。
こうしたなか、レンタルビデオ店では、レンタル料の値引き競争が激化しているほか、インターネットの動画サイトで映画の有料配信が始まるなど、消費者の視聴のスタイルも多様化し、レンタルビデオ店の経営を巡る環境は年々厳しくなっています。
きょう申し立てた業者は、人気のある映画のレンタルを、1社に独占されるようなことが続けば、地域のレンタルビデオ店の経営に影響が出かねないと懸念しています。
|
[関連リンク] |
|