上関原発:中国電、免許延長申請 山口県不許可へ
毎日新聞 2012年10月05日 22時43分(最終更新 10月06日 01時15分)
中国電力は5日、山口県上関(かみのせき)町に建設を計画している上関原発について、予定地埋め立てに必要な免許の3年間延長を山口県に申請した。枝野幸男経済産業相らが同日、同原発を「新増設しない原則の適用対象だ」と述べ、着工を認めない考えを示す中、中国電が建設に強い意欲を示したものといえる。ただ、同県は「国のエネルギー政策がはっきりしない」として、免許の延長は認めない考えで、同原発の計画が事実上、白紙になる可能性も出てきた。
政府は9月に決めた「革新的エネルギー・環境戦略」で、原発の新増設はしない原則を盛り込んだが、建設中の3基や、計画中・未着工で地元同意を得ている6基、それ以外の3基については、方針を明示していない。
枝野経産相は戦略決定後、建設中の原発は建設継続を容認し、計画中については、今回初めて、原発の具体名を挙げて新増設を認めないことを明言した。電力会社からは「建設中と、計画中で何が違うのか」などの声が上がっている。
中国電は「建設を進めたいとの思いは変わっていないが、政府の検討結果を待つ必要がある。申請は当面の現状維持が目的」と述べ、現在、停止中の埋め立て作業を進める意思がないことを表明した。
免許は今月7日午前0時に期限が切れる。山口県は延長するかどうかの判断を32日以内に行い、その間は免許は切れないが、山本繁太郎知事は5日、記者団の取材に「現時点では許可できない。不許可の処分をする」と述べた。
免許が切れた場合、「これまでに埋め立てた場所を、元に戻す必要がある」(資源エネルギー庁幹部)といい、計画の実行は非常に困難になる。
また、上関町の柏原重海町長は5日の記者会見で、枝野経産相の発言について「真意がわからない。日々考えが変わるので、正式な通達がないと信用しがたい」と不信をあらわにした。地元や周辺自治体からは「政権交代になれば、原発推進に戻る可能性もある」との声も上がる。
枝野経産相が着工を認めないとした発言について、中国電の広報担当者が当初、個人的な見解に過ぎないとの解釈を強調。藤村修官房長官が午後の記者会見で、枝野経産相の発言を追認すると「答えられない。理由も回答できない」としてコメントを拒否する一幕もあった。【吉村周平、小中真樹雄、丸山進】