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プロダクション探訪

次世代の制作環境とワークフローを考える

第3回:フレイム / FLAME

"変わりもの"路線をさらに発展させたい

スタッフの増員に伴い、今年3月にオフィスを拡張したフレイム。大林氏の友人でもあるインテリア・デザイナーが手掛けたという、新たに加わった4階スペースは、白を基調としたシンプルな内装だが、随所にセンスの良さを感じる。ゆとりある広々としたスペースは自ずと創作活動の効率を高めることだろう。さらに4階のメインエントランスには、ユニークな試みも施された。

「S3D 対応のプロジェクタと Kinect センサを設置しました。白い壁を利用して、うちで制作したインタラクティブ・コンテンツを投影したりできればと、現在構想中です」(大林氏)。

フレイム主要ソフト・プラグイン一覧

メインエントランスの天井に設置されたプロジェクタと Kinect センサ。現在、北田氏が上映システムを鋭意開発中とのこと
 

フレイムは、大林氏と北田氏という2人のリーダーによって、幅広い業務に対応できるオールラウンドなプロダクションであるが、「ただの何でも屋」で終わってしまうのではなく、両氏が個性を発揮させつつ、ひとつの会社としても着実に成長してきた。こうした部分は、友人など近い間柄のメンバーで起業した成功例として大いに参考になるだろう。

先述の通り、フレイムでは向こう2年をかけてパイプラインを確立させ、事業としても映像制作を受注するだけでなく、ひとつのコンテンツを企画からローンチまで包括的に手掛けられる組織に移行することを目指している。まずは、今年からオフィスをシェアするようになった Web 制作会社の クローカ と連携することで、Web3D などを使用した新しい Web コンテンツ制作から実践していくとのこと。

クローカのオフィススペース

4階スペースをシェアする、Web 制作会社「クローカ」。資本的な繋がりはないものの大林氏が取締役として経営に参加している。今回のオフィス拡充により、Web 案件をワンストップで手掛けられる体制が整った
 

なぜ Web なのかと言うと、同社では北田氏がリードするリアルタイム CG 制作を通じてモデルデータの最適化など、ローポリゲームタイトルの開発ノウハウが豊富で、まさにWeb3D にはうってつけの制作環境が整っており、参入しやすい分野だったそうだ。これまで Web3D は、ライセンス料の問題などもあり、あまり一般的なサイトでは採用されることがなかったが、今後は HTML5 の制定や WebGL などAPIの充実から、Web3D を用いたサービスが増えていくはずである。フレイムでは、Web3D のオリジナルエンジンの開発も視野に入れつつ、さらに力を注いでいくという。

また、映像制作(プリレンダー)においても、従来は受注する形が多かったが、今後はオリジナル・コンテンツの制作にも意欲を見せている。これまでフレイムが携わったプロジェクトの中には、カンヌ国際広告祭 で入賞を果たした作品などもあるというが、企画がまとまった後の実作業を担当する CG プロダクションの立場では、そうした実績をなかなか表立って PR できなかった。そこで、自分たちが目指す表現、得意とする表現をより効率的に手掛けられるようにするためにも、オリジナル作品を企画・制作し、さらにその作品が映像コンペで受賞するといった対外的な成果を収めることを目指したいのだという。
もちろんオリジナル企画には相応のリスクが伴うが、「社内の意欲ある若手デジタル・アーティストの腕試しの場としても、北田がリードするR&Dの成果を発揮する場としても活用できるはず」と、大林氏は自信をみせる。オリジナル企画を進める上では、才能ある若手の監督やインテリアデザイナー、グラフィックデザイナーといった異業種クリエイターとの関係拡充も図っていきたいという。成長を遂げたプロダクション(デジタル・アーティスト)の共通点は、"出世作"があるということ。そうした意味でも、フレイムの事業戦略は理に適っていると言えよう。

最後に、大林氏と北田氏それぞれに今後の抱負を語ってもらった。

「自分たちができることと、できないことが分かってきたので、今年と来年の2年間でさらにそれを推し進めていきたいですね。(大林氏とは)お互い別々に活動してきましたが、別々にやっていたことが必然となって、ひとつの成果に帰結するようになれば良いなと思っています。フレイムとしての8年間の活動を通じて自分たは、"変わりもの" であることがよく分かったので、それが世間にも定着することを目指したいですね」(北田氏)。

「少しは会社としての体力がついてきたので、これからは "フレイムらしさ" を確立させる時期にしたいと考えています。昨年までは、ほぼ全てのスタッフがデザイナーだったのですが、今年はパイプライン構築を目指してエンジニアや制作進行など、今までいなかったタイプのスタッフが加わりました。少しづづでも着実に結果を出していきますよ」(大林氏)。

TEXT_大河原浩一( Bit Pranks
PHOTO_大沼洋平

フレイム中核スタッフ

フレイム中核スタッフ

左から、大林 謙氏(プロデューサー、代表取締役)、北田能士氏(マネージャー、取締役)以上、フレイム

FLAME ロゴ

▼ About Company

株式会社フレイム
2003年創業の勢いのある CG プロダクション。プリレンダーのリアルな質感から、ゲームのフル3D映像、リアルタイムキャラクター・背景の制作まで幅広く手掛けている。本文でも触れた通り、フレイムは今年スタッフの増加に伴い制作フロアを約2倍に増床。制作体制も、CG制作中心から、企画・デザインを含む一貫した制作体制の確立を目指している(スタッフも引き続き募集中とのこと ※2011年9月上旬現在)。

FLAME公式サイト
TEL:03-6229-1740(代表)

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今回、紹介したフレイムにて、リードデザイナーとして活躍中の山崎伸浩さんへのインタビュー記事を下記サイトにて公開中です。ぜひ、あわせてご覧ください。
 
CG-ARTSリポート「プロダクション探訪~第一線で活躍する先輩からのメッセージ~」第3回(前編):フレイム 山崎伸浩さん

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