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経済
レアアース「もっと調達して」中国業者懇願 2年前と状況変化
中国は今年のレアアース輸出枠を昨年比横ばいの3万966トンに設定したが、業界関係者は「輸出量は枠に達しない可能性もある」とみる。欧州債務危機を背景に欧米への輸出が振るわず、中国の今年上期のレアアース輸出総量は43%も減少した。中国のレアアース業界は軒並み大幅に減益している。輸出不振に加え、国内での過剰生産と在庫増大によるレアアースの価格下落も、中国にとっては大きな“誤算”だった。
新華社電によると、レアアースの主要産地の一つである江西省では9月、省エネ車の高性能モーターなどの製造に欠かせない酸化ジスプロシウムの価格が1トン当たり300万元(約3720万円)と、昨年のピーク時に比べて3分の1に急落。強力磁石の原料となる酸化ネオジムも今年3月につけた1トン=58万元をピークに、9月は36万元まで38%近く下落している。
中国国内の業者は在庫を解消しようと、減産や生産停止に追い込まれている。山西省の大手ネオジム磁石メーカーの場合、工場の稼働率はピーク時の6割減という。業界関係者によると、中国の業者は「日本企業にもっとレアアースを調達してもらいたい」などと取引拡大を懇願してきているという。
こうした状況下で中国政府が対日経済制裁として輸出規制に踏み切れば、日本を有力な輸出先とする中国企業が逆に打撃を被る。WTOによる調査も進む中で、「対抗措置の手段にレアアースを利用すれば中国は再び国際的な非難を浴びる」(日中関係筋)のは確実だ。中国がチラつかせる“切り札”にどう対処すべきか。日本はレアアース問題で、いい経験も積んだ。(産経新聞上海支局長 河崎真澄)
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