10月4日、新宿バルト9にて神山健治監督の新作製作発表会が行なわれた。「攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D」の上映終了後、スクリーンに流れたのはオール3DCGで作られた「009 RE:CYBORG」。約4分半のPVでは主要キャラクターの見せ場はもちろん、バトルシーンや必殺技のシーンなどが上映された。
PVの上映後、登壇した神山健治監督が登場。1年前からこの作品に着手しているという3D立体視のオリジナル作品、今回はパナソニック株式会社の特別協賛を得て、技術監修をあおぎながら製作を進めている。
「1年があっという間に経ってしまったなと思ってます」と語る神山監督。原作は冷戦時の設定だったが、アニメーション作品の設定は、現代に移し「サイボーグ戦士たちが201X年にいたら」という設定にしている。「精霊の守り人」でもタッグを組んだ麻生我等によるキャラクターの設定は、原作に比べかなりモダナイズされ「石ノ森先生のデザインを踏襲しつつ、現代風に彼らのデザインも変更」している。
3D立体視を前提をしていた作品に初めて取り組むが、3D立体視にあわせ、すべてフル3DCGの作画に挑戦している。「セルアニメのようなルックスだが3DCG作品です。セルシェーディングという方法で2D作画のように見せるアニメーション作品は初めてなのではないでしょうか。未知への挑戦なので、トライ&エラーを繰り返しています」とのことだが、今回の「009 RE:CYBORG」でアニメーション制作をProduction I.Gとともに担当するのは、数々のアニメーション作品で3DCGを担ってきたサンジゲン。キャラクターも含めたフル3DCGは、TVアニメ「Panty & Stocking with Garterbelt」にて「チャック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」という短編を手がけてきたが、映画本編すべての制作を担うのは、初の試みとなる。
また、壇上には今回作品をつくりあげていく主要なスタッフが登場。サンジゲンの面々に加え、キャラクターデザインの浅生我等、絵コンテの林祐一郎、色彩設計の片山由美子、色彩設計補佐の菅原美佳、美術監督であるバンブーの竹田悠介と益城貴昌、西野隆世らが登壇。
今回アニメーションディレクターを務めるサンジゲンの鈴木大介は「生まれて初めて描いたキャラクターが009でした。キャラクターをつくる原点となっているのが『サイボーグ009』であり、さらに尊敬する神山監督とすばらしいスタッフの皆さんといっしょにつくることができて、本当に幸せでこのまま死んでしまうんじゃないかと思いますが、完成まではなんとか生きながらえて(笑)、流れ星になったとしても頑張っていきたいと思います」とその熱く固い決意を語った。
サンジゲンの代表取締役である松浦裕暁が「これこそが世界で勝負できる手法だと思ってます」と語るリミテッドアニメーションへのあくなき挑戦。「009 RE:CYBORG」で我々にどのような未来を見せてくれるのか。また「SF作品の原点となる作品が現代的解釈にするとしたらどうすればいいのかということを考えてます」と語る神山監督。アニメーション作品である枠組みは外れずに、新しいアニメーションの表現を試行錯誤していくこの作品。これまで神山監督を支えてきたスタッフとサンジゲンという新しいスタッフとの共演を見逃す手はない。
会場には、フランソワーズに扮した女性たちが現われ華を添えた。
今回の作品の要となるスタッフ陣と神山監督。
「009 RE:CYBORG」
2012年秋 全国公開予定
◆スタッフ
原作: 石ノ森章太郎
脚本・監督: 神山健治
音楽: 川井憲次
キャラクターデザイナー: 麻生我等
アニメーションディレクター: 鈴木大介
美術監督: 竹田悠介
制作プロデューサー: 松浦裕暁
プロデューサー: 石井朋彦
共同制作: Production I.G / サンジゲン
配給: Production I.G / ティ・ジョイ
神山監督作品公式サイト
http://www.ph9.jp/
現在、99時間限定でPVを公開中。
2:23あたりに出てくる車のナンバープレートに注目だ!
©Production I.G
©石森プロ