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【大リーグ】

イチロー、11年ぶりの美酒 でもまだ第1ステップ

2012年10月5日 紙面から

◇ヤンキース14−2レッドソックス

 【ニューヨーク穐村賢】イチローは11年ぶり、黒田は3年ぶり美酒!! ヤンキースのイチロー外野手(38)は3日(日本時間4日)、レギュラーシーズン最終戦となる本拠地でのレッドソックス戦に2番左翼で出場。5打数1安打2打点1盗塁の活躍でチームの地区2連覇を決める勝利に貢献した。また、先発した黒田博樹投手(37)も7イニングを7安打2失点。大舞台にも動じぬ強心臓ぶりで、自己最多を再更新する16勝目(11敗)を挙げた。ヤ軍はレ軍先発の松坂大輔投手(32)から本塁打攻勢で序盤に5点を挙げると、その後も猛打爆発で計15安打、14得点。宿敵を圧倒し、ア・リーグ東地区で2年連続18度目の優勝を飾った。ただ、地区Vは通過点。宿願のワールドシリーズ初制覇に向け、2人はなお走り続ける。

 シャンパンファイトが行われたクラブハウスで、重圧から解放されたイチローの笑い声がはじけた。「僕がここに来たのは、ヤンキースに少しでも僕の力を必要としてもらうこと。結果として今日、東地区のトップになって、ホッとしています」。最終戦までもつれた末につかんだ地区優勝。マリナーズ在籍時の2001年は同時多発テロ直後でファイトを自粛した経緯もある。メジャーでは自身初となるシャンパンのかけ合いを、38歳のベテランは子供のように無邪気に楽しんだ。

 11年ぶりの地区優勝が決まった瞬間、背番号31は二塁ベース上にいた。7回の第5打席、ダメ押しの2点適時二塁打を放った直後、4万人を超える観客から一斉に歓声が上がる。周囲の異変を感じたイチローが二塁ベース上でセンター方向を振り向くと、そこにはオリオールズがレイズに敗れたことが表示されていた。「何が起こったか、よく分からなかった。スコアボードを見たら、オリオールズのゲームが終わってたんで、そういうことだなと」。スウィシャーの適時打で生還すると、遅ればせながらチームメートと優勝の喜びを分かち合った。

 試合終了は自ら志願してグラウンド上で迎えた。大差のついた7回の打席前にジラルディ監督から交代の打診を受けたイチローは「迷いなく自分は『行く』って言った」とそのままプレー。相手の最後の打者デヘススが見逃し三振に倒れると、途中から右翼に入ったイチローはすぐさま外野スタンドを振り返り、手を挙げた。試合後には「まあごあいさつしとこうと思って」と多くは語らなかったが、鳴り物入りでトレード移籍した自分を温かく迎えてくれた地元ファンへのイチローなりのお礼だったのかもしれない。

 9月に入ってからのオリオールズとの優勝争いはし烈を極めた。「こういう戦いで、日々知らないうちに力が蓄えられていたんじゃないかな」。11年ぶりのプレーオフに臨むイチローは苦しかった戦いも今後の糧とするつもりだ。

 ただ、ヤ軍の最終目標はあくまでも28度目となるワールドシリーズ制覇。普通のチームであれば勝利の余韻に浸るシャンパンファイトの最中にも「ジーターが『今日で練習試合は終わりだ』みたいなことを言っていた。さすがだなって思ったけど、このチームっていうのはあくまでも(地区優勝は)ファーストステップ。この瞬間はすぐに過去のものになる」。早くも気持ちを切り替え、プレーオフに備えていた。

 

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