大津・中2自殺:自殺当日、校長に報告書 中学側、事前認識か
毎日新聞 2012年09月19日 東京朝刊
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、教諭が自殺当日、男子生徒への「いじめ」を校長に報告した文書が存在していることがわかった。遺族が市などを相手取った民事訴訟の第3回口頭弁論が18日、大津地裁であり、市側が文書を提出した。学校側は「(自殺前に)男子生徒へのいじめを認識した教諭はいなかった」と説明してきたが、事前にいじめを認識していた可能性が浮上した。
また、今月に入り、市教委からこの文書の存在を指摘された中学の校長が教諭10人から改めて話を聞いたところ、3人が「(自殺前に)いじめの疑いを持つべきだと判断していた」と答えたという。
市教委の松田哲男教育部長はこの日、記者会見し、「学校を信用した甘さがあった。今までの説明と違い、学校がいじめを認識していた疑いがある。極めて大事なこと。しっかり調べたい」と語った。
松田部長や中学の校長によると、校長は文書について市教委に報告していなかった。県警が今年7月、学校を捜索した際に押収。市教委の職員が今月に入り、県警から返却された資料から見つけた。
文書は「生徒指導連絡」と題する報告メモ。男子生徒が自殺した昨年10月11日、校長の指示で、3年の生徒指導担当(当時)の男性教諭が作った。
男性教諭は、昨年10月5日に学校のトイレで男子生徒が同級生に殴られた件について、「男子生徒が弱い立場にいる。加害生徒の行動をいじめ行為としてとらえ、指導する」などと書いていた。他の教諭から聞き取りした内容という。校長はその日のうちに内容を確認したが、放置した。校長はこの日の記者会見で「我々が把握している事実と違った。(文書の内容は)誤解と判断した」と釈明した。【千葉紀和、加藤明子、村山豪】