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大滝さん、関根勤に感心/復刻記事3

 俳優の大滝秀治さんが死去した。芸能面「日曜日のヒーロー」の復刻記事。

【2006年4月9日紙面から】

 CMにも出演する。最近では息子役の岸部一徳を「つまらん、お前の話はつまらん」と怒るおやじ役のキンチョールCMがおなじみだろう。10年ほど前からタレント関根勤が大滝の物まねをレパートリーにしているが、大滝は怒るどころか、テレビ共演もしている。

 「カリカルチャーされているとは思わないよ。しっかりと特徴をつかんで、よくデフォルメしている。大滝より大滝らしいなんて言われることもあって、別に悪い気はしない。CMもすぐカーッとなる僕をよく観察してるよね。CMは100回、200回も放送されるから『つまらん』というせりふにうそがあったら、すぐバレる。テレビはブラウン管を通して、その人間の素材がもろに出るから、しっかりやらなくてはね」。

 小学生の時に中耳炎を悪化させた影響で、片方の耳が聞こえにくいという。30歳の時には左の肺も切除している。

 「僕より才能がある役者はたくさんいますよ。でも、僕には『運・鈍・根』があった。運と、ゆっくり鈍重に、根気よくやってきた。役者って、つぶしがきかないからね。若手に僕が俳優にならなかったら、何になったか聞いたら『競馬・競輪の予想屋』って言うんだ。僕は絵も描けなければ、文章もだめ。でも、役者は今日までやってこられた。ただ前を向いてやってきたのがよかったのかな」。

 31歳で結婚した。当時、池尻にあった低賃金都営アパートの入居条件が妻帯者だったためという。金がなくて、うどん粉をこねてフライパンで焼いたのを食べていたこともあった。

 「今年が金婚式なんだよ。よくできた女房でね。売れるまでは、彼女が働いて養ってくれた。だからアルバイトもしないで、芝居に打ち込めたんだ」。

 「審判」の後に、今年12月には新作の舞台が控えている。ゼロからせりふを覚えなくてはいけない新作に、ここ数年、毎年のように挑戦している。

 「主治医の先生に『このごろ芝居がしんどくて、俳優をやめたい』と言ったら『君は10年前から言ってる。今やめたら確実にボケちゃうよ』って言うんだな。80歳になって、ぎりぎりの時期と思ってる。宇野先生に言われた言葉があるんだ。『人を刺激しなくなった役者はダメ。戦力外と思え』って。表現力、集中力、記憶力が衰え、肉体的にも老化してくる。芝居が僕の命を延ばしているのか、縮めているのか。ものをつくる人間に欲がなくなったらだめだと思うよ」。

 不器用な人間が、役者という仕事を愛して愚直に歩んできた。56年の歴史が今の大滝に息づいている。【取材・林尚之】

 [2012年10月5日13時34分]





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