プリンシプルがレイシズムの白洲次郎
  白洲次郎がブームらしい。書店には気色悪い白洲礼賛本が平積み、今年2月からは伊勢谷友介主演でNHKがドラマ化する。しかも、この記事で知ったのだが、最近では憲法九条擁護の護憲派まで、白洲次郎を持ち上げているらしい。

  単純な事実のレベルのことなので記しておくが、白洲次郎は吉田茂と組んで朝鮮人の全員強制追放をGHQに建言し、実際に行おうとしていた最悪のレイシストである。ロバート・リケットの研究によれば、49年7月、白洲次郎は吉田茂の特使としてGHQを訪れ、「50万ないし60万人」の朝鮮人を強制退去させる案を示した。結局この案が容れられることは無かったが、GHQ側はこれを白洲の私案であると見ていたようだ(「朝鮮戦争前後における在日朝鮮人政策」『朝鮮戦争と日本』新幹社、2006年)。

  50万から60万といえば、少なくとも登録上は当時の日本在住朝鮮人の全部である。あるいは護憲派は九条さえ守れれば、朝鮮人全員強制送還論者もアリなのだろうか。考えてみれば、確かにレイシズムは日本の「プリンシプル」である。ぜひともドラマでは白洲の強制送還案がGHQにすらたしなめられて退けられる過程を丹念に描いて欲しいものだ。
by kscykscy | 2009-01-30 02:15 | 日朝関係
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