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【経済】

高校PTA連 宣言やめた バイク3ない運動 転機

 交通事故や非行の防止を目的に、高校生のバイク利用を原則禁じた「三ない運動」が、三十年にして大きな転換点を迎えた。全国高等学校PTA連合会は八月下旬に開かれた全国大会で三ない運動の宣言文を出さず、今後は自転車や歩行者を含めたマナーアップ運動に衣替えする方針を決定した。「事実上の運動終結」に、メーカーも協力して交通安全教育に力を入れる考えだ。 (藤川大樹)

 「免許を取らない」「乗らない」「買わない」の三ない運動は、交通事故急増を背景に愛知県教育委員会が一九七五年、「特別な場合を除き、生徒をバイクに乗せないように」と各校に通達したのが発端で全国に広がったとされる。

 その後も暴走族の活動が盛んになるなど、青少年の非行が社会問題化。全高P連は八二年の全国大会で、高校生のバイク利用について「原則として全面禁止とする」との「特別決議」を初めて採択。五年に一度見直すことが確認された。

 一方、保護者からは「規制するのではなく、乗せて指導すべきではないか」などの声も上がり始め、九七年の全国大会では、特別決議よりも拘束力の弱い「宣言」の形が取られ、二〇〇二年、〇七年と踏襲されてきた。

 今回の宣言見送りは、高校の統廃合が進み、定期運行バスや鉄道のローカル線廃止など公共交通機関が減る地方の山間部などでは、バイクが通学の足になりつつあるという社会環境の変化もある。

 また、近年は高校生らの自転車による事故が目立つようになった。自転車事故でも刑事と民事で重い責任を問われる。全高P連は「バイクに限らず、自転車や歩行者を含めた包括的なマナーアップ運動が必要になった」と運動の衣替えを説明する。

 ただ、スピードの出るバイクは一歩間違えれば、大事故につながりかねない。二輪メーカー四社が加盟する日本自動車工業会も事故防止に向け、教師を対象にした実技講習会や交通安全教育教材の普及などに取り組む方針だ。

 

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