銀輪の死角:「愛情のある教育を」 自転車安全講習を開く市民団体、期待込め
毎日新聞 2012年10月04日 東京夕刊
自転車の交通ルールの徹底に関する警察庁の懇談会が4日に発足することが決まった。子供向けの自転車教室を開いている市民団体「ウィーラースクールジャパン」=京都府南丹(なんたん)市=の代表を務める中島隆章さん(49)は国の取り組みを評価したうえで「愛情と血の通った教育が必要」と訴えている。
同団体は「自転車の楽しさを知ってもらうにはルールや乗り方を教えて事故を起こさないようにしてもらうのが重要」として07年3月に設立された。年間約40カ所で自転車教室を開き、計2000人以上が受講。愛好家やロードレース選手ら50人が講師となり、受講生の中には本格的に競技を始めて国際大会に出た子供もいる。
教室ではルールがある理由も説明する。小学高学年になると車道で走る位置は分かるが、歩道の走り方を理解している子は少ない。講師は歩道の車道側を走ることだけでなく、歩道は歩行者のものと理解させ「歩く人が1番、自転車は2番」と説く。実技講習も急な路面変化に対応できるよう、コーンを置いてジグザグに走らせるなど、工夫を凝らしている。懇談会について中島さんは「自転車好きが増えれば自然とルールを守るようになる。自転車の良さを教える教育をしてほしい」と期待をこめる。【馬場直子】
◇道交法違反検挙、過去最多ペース
警察庁の調べでは、1〜7月の自転車による道交法違反の検挙件数は3274件。過去最多だった昨年の3956件に迫るペースで、同庁は「ブレーキのないピスト(競技用自転車)の急増や、警察の取り締まり強化の影響」とみている。06年に585件だった検挙件数は09年1616件、10年2584件、11年3956件と急増。ピストなどを運転する道交法違反(制動装置不良)が特に増え、09年の2件から昨年は1277件となり、全体の3割超を占めた。