'12/10/5
中国主張の矛盾追及 政府、人民日報記事を論拠に
政府は、沖縄県・尖閣諸島の領有権問題で中国が、1970年代初めまで日本に一度も抗議していなかったことを「中国側主張の最大の矛盾点」(政府筋)と位置付け、過去の中国共産党機関紙「人民日報」の記事を論拠に追及していく方針を固めた。外務省関係者が4日明らかにした。
中国側の「われわれは長期にわたり釣魚島(尖閣諸島の中国名)の主権を守るために断固闘ってきた」(国務院新聞弁公室)との主張を崩し、国際社会の支持を広げる狙い。各国の首脳や外相との会談で積極的に言及するほか、インターネットを通じた発信を強化するなど海外世論への浸透を急ぐ。
外務省によると、68年に日本、台湾、韓国の専門家が国連アジア極東経済委員会の下で鉱物資源調査を実施したところ、石油埋蔵の可能性が判明した。中国は71年12月、日本が1895年の閣議決定で尖閣を沖縄県に編入して以来初めてとなる抗議声明を出した。
ところが東西対立の激化を背景にした1953年1月8日付の人民日報は「琉球諸島人民の米占領に反対する闘争」と題する記事の中で「釣魚島」という、現在中国側が用いる呼称を使わず「尖閣諸島」と表現。琉球諸島について尖閣諸島を含む「7組の島しょ」からなると紹介していた。
外務省は4日現在、ホームページに記事の画像を掲載し「中国が沖縄の一部と認識していたことが分かる」とのコメントを記している。
野田佳彦首相は8月の記者会見で「中国が領有権を主張し始めたのは、東シナ海に石油埋蔵の可能性が指摘された70年代以降にすぎない」と述べていた。