日本ハム:吉川覚醒、チームけん引
毎日新聞 2012年10月03日 01時41分(最終更新 10月03日 02時20分)
「時間ないから。今年で駄目なら、俺がユニホームを脱がす」。聞きようによっては、最後通告とも言える栗山監督の言葉をばねに、日本ハムの左腕・吉川は投手陣の先頭を走り、チームトップの14勝を挙げた。
広陵高(広島)からドラフト1位入団した6年目の左腕。1年目で4勝を挙げ、才能は誰もが認めるものがあったが、どうしても1軍で成果が続かなかった。吉井投手コーチも「1点取られたら、何としても次を抑えるとか、そういうことができなかった。正直、もう駄目かと思ったこともある」と話すほどだった。
しかし、栗山監督からきつい言葉を掛けられた今季は「マウンドでの気持ちが変わった」。序盤からとにかくフルスロットルで飛ばし、150キロを超える速球を次々と繰り出す、言わば「左の本格派」。小さく変化するスライダーに加え、大きなカーブでタイミングも崩せる。課題だった四球も減少。渡辺打撃コーチは「もう早打ちするしか手がない。現役だったら対戦したくないね」と苦笑いする。「吉川は最後までほめない」と繰り返してきた栗山監督も終盤に入ると、「今の吉川を攻略するのは難しいね」と思わず、本音を吐露するようになった。