前原国家戦略担当相の「積極発言」に閣内から慎重な意見相次ぐ
前原国家戦略担当相は、大臣就任初日から、日本銀行の金融政策や予算編成などに関与したいと積極発言を連発。これに対して閣内からは、慎重な意見が相次いだ。
本格始動した野田第3次改造内閣。
2日、各省庁では新旧大臣による引き継ぎ式が行われた。
長浜新環境相に対し、細野前環境相は「わたしが本当にお願いしたいのは、(原発事故は)国がもう大変な責任ある事故ですから、その思いだけは持ち続けてやって来た思いがありまして、その思いを長浜大臣にも持っていただきたいと」と述べた。
前原新国家戦略担当相が「やってこられたことは、相談しながら」と述べたのに対し、古川前国家戦略担当相は「種は植えましたんで、ぜひこの種をですね、芽を出していただければ」と述べた。
霞が関に10年ぶりに戻ってきた田中 真紀子文科相は、戦々恐々とする職員を前に、訓示をした。
田中文科相は「皆様の声を、現場の声を聞きたいと思います。役所と対立しようなんて全然思っておりません。いつぞやは、たまたま運が悪かっただけでございまして」と述べた。
職員の笑いを誘うなど、比較的、穏やかな始まりとなった初日。
田中文科相は小中高校で、把握しているだけで7万5,000件以上に達する、いじめ問題に取り組む決意を示した。
野田内閣のもろ刃の剣とされる田中文科相。
1日、「政府の『原発ゼロ』方針と、『核燃料サイクル政策の継続』が矛盾する」と発言し、前原国家戦略担当相とぎくしゃくしていた。
しかし2日、田中文科相は「わたしは閣外におりまして、皆さんが発信なさることを中心にして、判断をしておりました。それがきのうまでの段階ですね」と述べた。
前原国家戦略担当相は「(『議論し直すべき』なら)わたしは田中大臣との認識というのは大きく変わっていないと」と述べた。
一転、2人ともほこを収める形となった。
発足したばかりの野田内閣に、新たな波紋が広がっている。
1日、前原国家戦略担当相は「外債購入につきましても、これはわたしは検討課題の中だと思っています。金融緩和を進めていくうえでの有力な材料の1つだと」と述べた。
1日夜の就任会見で、前原国家戦略担当相は、日銀による外債購入に前向きの考えを表明した。
しかし、城島財務相は「今の日銀法上からいってですね、慎重な検討が必要なことではないかと」と慎重な姿勢を示した。
さらに前原国家戦略担当相は、「予算編成というものを財務省ではなくて、まだできておりませんけれども、国家戦略局というところが担っていくということが、もともとの政権交代の原点であったわけであります」などと述べた。
2013年度の予算編成について、国家戦略室が主体的な役割を果たしたいと訴えた。
前原国家戦略担当相は、野田首相から国家戦略担当相就任を打診されたが、そのポストに複雑な気持ちを抱いていたという。
1日、前原国家戦略担当相は「今まで古川さんが一生懸命頑張ってこられて、仲間でありますので、受けるかどうか悩みましたけれども」と述べていた。
近いうち解散がささやかれる中、発足した野田改造内閣。
岡田副総理は「(臨時国会を)開いても、何か審議のめどが立たないということでは、開くだけの意味が見いだせなくなります」と述べた。
岡田副総理は、臨時国会について、与野党間の話し合いが進展する見通しがついてから開くべきと、早期召集に慎重な考えを示した。
今後、与野党の解散をめぐる駆け引きが激しくなるとみられている。