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深刻化する「子どもの貧困」問題解決に向けて、子ども支援にかかわる11団体が結集し、28日、政府に「沖縄子ども振興計画(仮称)」策定を訴える。虐待に非行、低学力など、子どもを取り巻く実情が厳しいことの表れだといえる。保育や更生保護、社会的養護の関係者が横断的に連携し、現状打破を願い出たことはこれまでほとんどない。(特別報道チーム・嘉数よしの)
11団体が発足させた「沖縄の子どもを貧困から守る連絡協議会」は「最低限必要なもの」として、夜間保育所・学童保育所や母子生活支援施設など9施設の整備が必要との見解を示した。放課後児童クラブの場合、小学校低学年の子ども30%の利用を想定すると、222カ所足りないと試算。ひとり親や共働き世帯の多さなどを考えると「本当はもっと必要」と吐露する。
虐待を受けて児童養護施設に入所する子どもは全体の半数以上を占めるが、県内には専門的にケアする情緒障害児短期治療施設がない。県民所得の低さや失業率、離婚率の高さに現れる親子の際立つ困難をカバーする体制は十分とはいえず、協議会は「事態は深刻さを増している」と警鐘を鳴らす。
なぜここまで問題が放置されてきたのか。協議会共同代表の山内優子さんは「戦後ゼロからの出発に加え、子どもの視点が乏しいまま振興計画が進められてきたことが挙げられるのではないか」と指摘する。
向こう10年の沖縄振興を描く上で「子どもの貧困」解決は欠かせないはずだ。国や県には、子どもを守り育てていく「覚悟」を示してほしい。