そんな中、今回、米国を頭にしてこれだけの国が、それぞれに輸出国であるイランを刺激したくない、参加していることを知られたくないなどの思いがありながらも、海洋航路の秩序維持に向け協同し意思を示したインパクトは大きい。
そして、この訓練は単なるデモンストレーションではない。事と次第によっては「実動」につながる可能性をはらんでいたことが最大の特徴だ。つまり、実戦と紙一重だったのだ。訓練期間中に、もしイランがホルムズ海峡の機雷封鎖を強行した場合、海自掃海部隊に対し即出動の期待の目が向けられた可能性は高い。
硫黄島で続けられてきた実機雷訓練
これにはしかるべき根拠がある。1991年の「湾岸の夜明け作戦」だ。湾岸戦争後、やはりペルシャ湾に派遣された海自掃海部隊は、木造の小さな掃海艇を駆使し、あらゆる悪条件を乗り越え、34個もの機雷処分に成功したという実績を持つ。
「よくこの船でここまで来たな」
とっくに現地で活動していた各国部隊は皆、目を見張ったという。海外での運用を想定していなかった掃海艇で、はるばるインド洋を経由したどり着いただけでも彼らを驚かせたが、さらにその実力のほどを発揮し、日本の掃海部隊の名を世界に知らしめることになったのだ。
これには、戦後、海上保安庁から引き継ぎ、一度は中断したものの、硫黄島での実機雷処分訓練を絶やすことのなかった関係者たちの不断の努力がその背景にあった(詳しくは拙著『海をひらく―知られざる掃海部隊』をご参照下さい)。
その後も、年々厳しさを増す防衛費の中で実機雷訓練を継続し、決して順風満帆ではないが掃海艇をはじめとした装備調達を続けてきたことにより、米国から即戦力として最も期待される部隊と言われ続けている。
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