高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を「核のゴミ」の焼却技術を研究する原子炉に転用する構想が政府内で浮上している。
震災後、核燃料サイクル政策の見直し論議のなかで、もんじゅは廃炉も選択肢の一つと考えられてきたはずだ。放射性廃棄物の焼却は確かに追求する価値のある未来技術かもしれないが、唐突なもんじゅの転用案には疑義がある。行き詰まった国家プロジェクトの延命策ではないのか。
原子力発電所の使用済み核燃料は、放射能が減衰するのに百万年以上かかる物質を含むため処分が非常にやっかいだ。焼却技術はこうした長寿命の放射性物質を人為的に核分裂させ、寿命の短い放射性物質に変える。処分が容易になるとされる。
文部科学省と日本原子力研究開発機構は、もんじゅの開発目的を、これまでの高速増殖炉の実用化から、焼却技術の研究に書き直し、将来、焼却用の本格的な原子炉をつくる足がかりとする構想だ。
ただ焼却用の炉といっても、廃棄物をそのまま原子炉に入れて燃やすのではない。まず核燃料に加工する工場が必要だ。燃やし終わった後も、最終的に捨てるゴミとまだ燃やせる燃料を分ける再処理工場が新たに要る。
使用済み核燃料を実用的な規模で焼却するには巨額な投資が必要だ。いくらかかるのかも、本当に可能なのかもしっかり議論されていない。今は福島事故の後始末を最優先させるべき時だ。廃棄物を減らせるかもしれないという「夢」を根拠にした新たな大型の研究開発にゴーサインは出せない。
もんじゅも発電しながら核燃料のプルトニウムを増やせる「夢の原子炉」として開発が始まった。しかし1995年の運転開始後まもなく、冷却材を漏らす事故を起こし17年間も止まったままだ。建設などに約1兆円を投じた。
なぜもんじゅが行き詰まったのか、検証と反省がまずあるべきだ。失敗を覆い隠すための方向転換では、その先に未来はない。
もんじゅ、使用済み核燃料
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