安藤美姫17歳 ’06トリノ五輪へ/4
◇ジャンプの先駆者

米クリーブランドのスケート場。ロビーには、このリンクで育った選手たちの写真が飾られている。ある男性スケーターのところで安藤美姫の目が留まった。彼の名はティモシー・ゲーブル(24)。「4回転キング」の異名を取る02年ソルトレークシティー五輪銅メダリストは、女子唯一の4回転ジャンパーがお手本とした選手だった。
安藤が練習で4回転を決め始めたのは中学2年のころ。「ビデオを見て、よく跳び方をまねしていた」。踏み切りのタイミングが抜群で、回転軸が安定しているのが二人の共通点だ。
ゲーブルのジャンプの才能が開花したのは、キャロル・ヘイス・ジェンキンス(65)に師事してから。99年スケートアメリカ大会では、一つのプログラムで三つの4回転を跳ぶことに世界で初めて成功している。以後、4回転を切り札に五輪や世界選手権で表彰台に上がるようになった。
ヘイスもジャンプでフィギュアの新しい領域に踏み込んだ。53年世界選手権。優雅さと正確さを競っていた半世紀前、女子で初めてダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を跳び、躍動感に象徴されるスポーツ性をアピールした。優勝した60年米スコーバレー五輪では、続けてダブルアクセルを決める離れ業を演じた。
安藤の4回転について、ヘイスは「彼女のプログラムの中で幹となるものだと思う。成功の確率を上げ、トリノでも入れられるようにしたい」と話す。
安藤が本格的にジャンプの指導を受けるのはこれから。「軸のことや、なぜ失敗したかという話を聞いていると、感覚が似ていると感じる」。時代と年齢差を超えて、ジャンプの先駆者同士の心が通い合う。=敬称略=つづく<文・張智彦/写真・貝塚太一>
毎日新聞 2005年5月12日 大阪夕刊
米クリーブランドのスケート場。ロビーには、このリンクで育った選手たちの写真が飾られている。ある男性スケーターのところで安藤美姫の目が留まった。彼の名はティモシー・ゲーブル(24)。「4回転キング」の異名を取る02年ソルトレークシティー五輪銅メダリストは、女子唯一の4回転ジャンパーがお手本とした選手だった。
安藤が練習で4回転を決め始めたのは中学2年のころ。「ビデオを見て、よく跳び方をまねしていた」。踏み切りのタイミングが抜群で、回転軸が安定しているのが二人の共通点だ。
ゲーブルのジャンプの才能が開花したのは、キャロル・ヘイス・ジェンキンス(65)に師事してから。99年スケートアメリカ大会では、一つのプログラムで三つの4回転を跳ぶことに世界で初めて成功している。以後、4回転を切り札に五輪や世界選手権で表彰台に上がるようになった。
ヘイスもジャンプでフィギュアの新しい領域に踏み込んだ。53年世界選手権。優雅さと正確さを競っていた半世紀前、女子で初めてダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を跳び、躍動感に象徴されるスポーツ性をアピールした。優勝した60年米スコーバレー五輪では、続けてダブルアクセルを決める離れ業を演じた。
安藤の4回転について、ヘイスは「彼女のプログラムの中で幹となるものだと思う。成功の確率を上げ、トリノでも入れられるようにしたい」と話す。
安藤が本格的にジャンプの指導を受けるのはこれから。「軸のことや、なぜ失敗したかという話を聞いていると、感覚が似ていると感じる」。時代と年齢差を超えて、ジャンプの先駆者同士の心が通い合う。=敬称略=つづく<文・張智彦/写真・貝塚太一>
毎日新聞 2005年5月12日 大阪夕刊
by markzu2B | 2005-05-12 23:47