安藤美姫とマリア・シャラポワ

安藤美姫17歳 ’06トリノ五輪へ/1

 ◇4回転、跳んでみせる

 オンタリオ湖に面するカナダ最大の都市トロントのピアソン国際空港は快晴だった。8日午後(日本時間9日午前)、黒いスエット姿の安藤美姫がコンチネンタル機から降り立った。来年2月のトリノ五輪を見据えたスケート留学。1日に日本をたち、最初の滞在先、米クリーブランドで新コーチと対面した後、演技のプログラムを作るためトロントにやって来た。

 新天地で17歳が初めて胸の内を明かした。「もう4回転は跳べないとか、終わりだとか言われているようだけど、出来ることを証明したい。五輪シーズン(05~06年)は、すべての試合で跳びたい」。4回転の成功は03年12月の全日本選手権が最後。身体の成長などを理由に一部の週刊誌が「もう4回転は無理では」と報じていた。

 初めてとなる長期の海外生活は本番直前まで続く。「すべてやり直し。一からのスタート」。決意はヘアスタイルにも表れている。昨年まではシーズンが終わると、髪形を変えていた。パーマをかけたり、ショートにしたりした。外見のアピールも重要なフィギュアスケート。イメージチェンジで自分がどう他人の目に映るかを模索する時期でもあった。それが今年は「ラフな感じがいい。一番気持ちよく滑れるように」とそのまま。無心で氷上に立ちたかった。

 クリーブランドでは、1960年米スコーバレー五輪女子金メダリスト、キャロル・ヘイス・ジェンキンス(65)からジャンプやステップなど技術面のチェックを受けた。新コーチの安藤評は「とにかくスピード感がある。何にでも挑戦しようとする気持ちもいい。吸収は早そう」だ。

 ジャンプだけで勝てるほど世界は甘くないことは安藤も分かっている。すべての技術をどん欲に磨くつもりだ。環境抜群のリンクで、元五輪女王によるレッスンが始まった。=敬称略<文・張智彦/写真・貝塚太一>

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 06年トリノ冬季五輪まで約9カ月。世界のトップクラスにある日本女子フィギュアスケート界で、安藤美姫は4回転ジャンプを携え五輪を目指す。17歳の現在、過去、未来に迫る。(連載は20回の予定)

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 ■人物略歴

 ◇あんどう・みき

 87年12月18日、名古屋生まれ。8歳でフィギュアを始め、14歳だった02年12月のジュニア・グランプリ・ファイナルで、女子の競技会では世界初となる4回転ジャンプに成功した。全日本選手権は03年、04年と連覇中。身長162センチ。愛知・中京大中京高3年。

毎日新聞 2005年5月9日 大阪夕刊
by markzu2B | 2005-05-10 23:59