インタビュー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録

「初音ミク」現象が拓く“共感”力の新世界――伊藤博之・石川康晴・猪子寿之 特別対談(2) - 12/10/01 | 12:15


[+]画像拡大


 初音ミクの正体は何か。言ってみれば、初音ミクって一つの「側」(外枠)でしかない。緑色の髪の長い女の子、という一つの共通認識。そこから多種多様なアウトプットが出てくる。

 クリエーティブなことをしたいと思っている10万人、もしかしたら100万人規模のクリエーターたちの「プラットフォーム」なんです。

 そして、そこから生まれるものに共感し合うコミュニティでもある。

猪子 マスメディアが中心だった20世紀までは、みんながハリウッドの1人のスターを見ていた。しかも単に受け身で見ているだけ。ところが、情報化社会では(インターネットの)ユーザーの一人ひとりが発信者であり、受け手になる。でき上がったものを受け身で観賞するのではなく、ユーザーが自ら初音ミクを表現し、発信できるようになった。

 かつて情報源は新聞だったけれど、今はフェイスブックやツイッターで情報交換するのと同じ。ハリウッドスターが初音ミクに代わったということです。

──石川さんのクロスカンパニーは今春、初音ミクとコラボレーションしたファッションブランド「ジャパンレーベル」を立ち上げた。初音ミクをモチーフとして描くイラストレーター、いわゆる絵師さんの起用が話題になりました。

石川 イラストレーターも含め、初音ミクの周辺には50万人くらいのクリエーターがいるのではないか。すでに名を成したプロのクリエーターよりすごい能力、技術力を持っているのに、そうした人たちはニッチな領域に押し込まれていた。その人たちが表舞台に出てくるキッカケを作ったのが初音ミク。生意気な言い方をすると、僕は彼らをさらに表舞台に押し出すためのサポーターになろうと思っています。

 今、クロスカンパニーの主力ブランド「アースミュージック&エコロジー」の店舗は国内200、台湾に20以上。このチャネルを使ってクリエーティブな人材の活躍の場を世界に広げたい。知られざる能力を正当に評価し、一緒に価値を作っていきたい。マスの人が彼らの価値を軽視していることが歯がゆくて……。ある種、使命感のような思いがある。

  • 【PR】

インタビュー一覧へ

ビジネス新着情報一覧へ



東洋経済オンラインは、東京証券取引所・大阪証券取引所・名古屋証券取引所・野村総合研究所・ダウ・ジョーンズ・ジャパン(株)・クォンツ・リサーチ株式会社によって提供される情報を用いて、センティリオン株式会社で作成および運営を行い、情報提供をしております。 日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。