- 060話 ハイソサエティ 解説
- 【沛祖些得帝(ハイソサエティ)】
中国の故事に由来する言葉。
紀元前256年に沛県郡豊県中陽里(現在の江蘇省徐州市沛県)で1人の男児が産まれた。
後に広大な中国大陸を統一することになる劉邦その人である。
彼は生まれながらに幸運の星にあったと言われ、幼い時から人を惹きつける魅力を持っていたと言われている。
劉邦は一代で中国平原に覇を唱え、漢帝国の祖となる。
彼を呼ぶ際には高祖と呼ぶ向きもあるが、正しくは産まれた場所を指して沛祖と呼ぶことが正しい呼称である。(史料1)
この偉業を成し遂げたのは、彼の力だけでは無かった。偶然とも呼べる些細な出会いを経て、後に漢帝国を支える重鎮たちを従えていった。
この些細な切っ掛けを得たことで皇帝になった故事から、多くの資料では彼の事を些得帝(さえてい)と呼ぶ。
後世これらの故事が転じて、幼い時から人を惹きつける上流階級や、王侯貴族を揶揄し沛祖些得帝、或いは単に沛祖と呼ぶようになった。
日本にこの故事が伝わる際、外来語であった為に片仮名で記述され、英語語源と誤認されることになった。
使用例:あの人は貴族だから、ハイソだ。
(出典)民明書房「故事成語の成り立ち」
…さて、本題。
今回は、新しい冒険のきっかけになる部分です。
勿論、エルフの里に向かう切っ掛けです。
このお話を書く際、気を付けていたのは3点あります。
1つは、女性陣の感情表現。
出来る限りリアリティが欲しかったのですが、主人公目線であれば中々細かい心情描写はし辛いです。
故に、ハヤテの目からでも見える行動で、感情を間接的に表現することに気を付けました。
具体的には、お婆さんの笑顔・受付嬢の挙動不審・貴族令嬢の抓りです。
ここら辺で、誰がどういう感情を持っているのか。多少なりとも想像してもらえていると嬉しいです。
もう1つはミ・ロードサン・ヨルゴ=リ=アンクトサンブル・コロネロッソ・クレイヌス・クレイヌス・コロネイアス・オブ・バランデア伯爵子です。
ながいのでウシガエルと呼称します。
このウシガエルを、とことん下種に書くこと。読んでる人間の誰もが”うわ、最低”と思えるほどの気持ち悪さを書きたかった。
こいつが気持ち悪ければ悪いほど、今後のお話で爽快感を演出できるからです。
更にもう1つ。
気付いた方も居られるかもしれませんが、今回ハヤテは結構人間離れした動きを、大勢の前で披露しています。
この動きの異常さを感じさせないことに気を付けました。
本作は”普通の高校生”が、段々と”凄い冒険者”になっていく過程を書いています。
故に、主人公に感情移入してもらうには、違和感があってはいけません。
普通に考えて、幾らデブとはいえ、人の平手打ちを、目で見て躱す。おまけに蝿が止まると言い切る。
これって、最初の方に書いていれば、絶対不自然です。普通の高校生に出来る事では無い。
ところが、今まで散々”敏捷が上がった”と書いてきた積み上げがあれば、今回のような描写でも極々自然な描写に見えてしまう。…はず。
感想でも、そこをツッコむ人が居ないようなので、作者としては思惑通りと言った所です。
異常なはずの動きを、如何に違和感なく読者に読ませるか。
ここら辺は、作家の腕と言えるでしょう。
…ところで今回のネタ。
分かった人は多いですよね? - 2012年 10月03日 (水) 20時01分
コメント
そろそろ俺TUEEEEEEEEですね、分かります。
投稿者:snowdrop
[ 2012年 10月03日 (水) 20時15分 ]
まあ、そろそろですね。章のタイトルで匂わせています通り。
料理は仕込みと下ごしらえが9割。
そういう意味では…