霞が関には官僚たちの県人会「九頭竜会」がある。会長は元内閣府事務次官で消防試験研究センター理事長の山本信一郎氏(京大法73年自治省)だ。福井市の県立藤島高卒。山本氏らが中心になって07年には「霞が関藤高会」も作っている。
藤島の卒業生には著名人が多い。前身の旧制中学からはプロレタリア文学の作家・中野重治氏や「日本百名山」の著書がある作家で登山家の深田久弥氏、「日本町人国家論」を書いた元通産官僚の天谷直弘氏、08年にノーベル物理学賞を受賞した物理学者の南部陽一郎氏らがいる。名優・宇野重吉氏や、同県出身で唯一の首相、岡田啓介氏も旧制中学に在学した。コマツ代表取締役社長の野路国夫氏や「サラダ記念日」で知られる歌人の俵万智氏、元バレーボール日本代表の中垣内祐一氏らが出た。
九頭竜会の前会長は、警察庁長官を務めた日本自動車連盟(JAF)会長の田中節夫氏(京大法66年警察庁)で、県立武生高を出ており、高校の後輩には福岡県警本部長の菱川雄治氏(東大法81年警察庁)がいる。元農林事務次官で政府税制調査会会長を16年間も務め「ミスター税調」と呼ばれた小倉武一氏も前身の旧制中学OBだ。
総務省では内閣審議官の市橋保彦氏(東大法81年自治省)が藤島卒。自治行政局選挙部支出情報開示室長の門前浩司氏(東大法93年自治省)は県立高志高を出ている
農林水産省では農村振興局次長の林田直樹氏(京大農77年農林省、写真)と農林水産消費安全技術センター理事に出向している角谷徳道氏(東北大農79年農水省)が藤島卒。関東農政局経営・事業支援部長の角好陸氏(東大農80年農水省)は高志を出た。
国土交通省では、那覇港管理組合常勤副管理者の藤田佳久氏(東大工78年運輸省)と鉄道建設・運輸施設整備支援機構審議役の天谷直昭氏(東大法83年運輸省)、宮内庁管理部工務課長の辻川孝夫氏(阪大院79年建設省)が藤島の卒業生。天谷氏は天谷直弘氏のおいにあたる。四国地方整備局次長の白石哲也氏(阪大工80年運輸省)は小浜市の若狭高を卒業した。「1年から3年までが一緒のクラスで生活するホームルーム制で学んだ。そこでの体験が社会で役に立った」と話す。
財務省から出向している宮内庁主計課長の辻庄一氏(東大法87年大蔵省)も若狭OB。若狭は高校野球の名門で、阪神タイガースの川藤幸三氏らが出ている。信用機構課長の森山茂樹氏(東大経85年大蔵省)は藤島を、文書課広報室長の瀧波宏文氏(東大法94年大蔵省)は大野市の県立大野高を出ている。国税庁長官を務めた日本損害保険協会副会長の牧野治郎氏(東大経73年大蔵省)は、福井県選出の元労相・牧野隆守氏の女婿で、福井県シンパだ。
文部科学省では、文化庁文化財部参事官の村田健一氏(東工大院理工84年文化庁)が高志卒。観光庁地域競争力強化支援室長の坪田知広氏(早大社会科学92年文部省)はバスケットボールの強豪校・私立北陸高出身だ。
公安調査庁では、長官の尾﨑道明氏(東大法76年司法修習、写真)が藤島卒で、最高検検事や法務省矯正局長を歴任した。
厚生労働省では、福島労働局長の絹谷国雄氏が武生卒で74年に厚生省に入った。人事院では、事務総局企画法制課長の森永耕造氏(東大教育83年人事院)が藤島OB。環境省の総合環境政策局環境影響評価課長の上杉哲郎氏(東大農81年環境庁)は「恐竜の町」として知られる勝山市の県立勝山高を出た。
経済産業省では、京都大産学官連携センター教授の岡倉伸治氏(東工大院理工86年通産省)が高志卒。大分県商工労働部長の山本和徳氏(東大法93年通産省)と消費者庁審議官の草桶左信氏(東大法81年通産省)、また外務省の米国デトロイト総領事館総領事の松田邦紀氏(東大教87年外務省)が藤島を出ている。