原子力発電所の停止による電力不足を補うため、フル稼働が続いているのが火力発電所です。
東京電力鹿島火力発電所は、原発事故以後、6基ある大型タービンをフル稼働させ一般家庭120万世帯分の電力を供給してきました。
東京電力は発電能力を高めようと、この夏、小型のガスタービン3基を増設しました。一般家庭24万世帯分の電力を供給できるということです。
火力発電所で使用され、消費量が増えているのが、LNG=液化天然ガスです。9月19日、都内でLNGの消費国と産出国の双方が意見を交わす初めての国際会議が開かれました。
会議は、LNGの消費量が増えている日本の提案で開かれたもので、30の国と地域の政府や企業の関係者が出席しました。
枝野経済産業大臣は、北米では深い地層から産出される価格の安いシェールガスが登場し、輸出が始まればLNGの供給市場は大きく変わると指摘。そのうえで、「アジアの消費国のLNG価格は原油価格に連動するため、高い価格での購入を余儀なくされている」と述べ、今の価格決定方法の見直しによって、価格を引き下げるよう求めました。
一方、世界最大のLNG輸出国であるカタールのアル・サダ・エネルギー工業相は「日本は震災後の状況も踏まえてLNGの安定確保に努めるべきだ」と述べ、価格より量の確保を優先すべきだと反論しました。
この「LNG」、海外から輸入している天然ガスですが、実は国内にも存在しています。
千葉県東部を流れる川の底から出ている泡。地下から沸き出している天然ガスです。
全国各地の地層深くで、こうした天然ガス田の存在が確認されています。
中でも、私たちが暮らす関東直下のガス田、「南関東ガス田」は国内最大の天然ガスの埋蔵量があるといわれています。
この天然ガス資源をうまく利用できないか、注目が集まっています。
千葉県東部のいすみ市です。
9月15日、地元のNPOが主催したある見学会が行われました。
都会から来た参加者の注目を集めたのが「ガス井戸」です。地下水の中で溶けている天然ガスを掘り起こし、ここに集めます。
実は、この地区では生活に必要なエネルギーを天然ガスで賄っています。
こちらは、給湯用のボイラー。熱々のお湯が使い放題です。
台所のコンロにガスを利用している家もあります。
メタンの割合が99%と純度が高いガスのため、都市ガス用のコンロをそのまま使えるといいます。
2世帯の8人家族。料理に使うガスのほか、冬場は暖房にも利用しています。
見学会を始めて1年。問い合わせは増える一方です。
見学会の参加者は「全然知らなかったですね、日本で普通に暮らせてガスがとれるなんて、まさか思ってなかったんで」と話しています。
見学会を主催したNPOの君塚正芳さんは「3.11のあとのエネルギーに関する意識の高まりと言いますか、どういう立場でエネルギーと向かい合っていけばいいのか、若い方が関心を持たれている、そういったところを強く感じます」と感想を話しています。
「南関東ガス田」の東の端に位置する、いすみ市。
この地域では、明治時代にガスが見つかり、貴重なエネルギー資源として使われてきました。しかし、外国産の天然ガスの方が価格が安かったため、これまであまり注目を集めることはありませんでした。
今、国は南関東ガス田の本格的な調査に乗り出しています。ガスの分布や埋蔵量を正確に把握することで、新たな資源として利用できないか考えているのです。
地下水に溶けた天然ガスを取り出し、成分を分析。これまで関東地方100か所以上の地点で調査を行いました。
調査している産業技術総合研究所の佐脇貴幸研究員は、「日本でどんな資源があるのか、どういうところで資源として使っていける物があるのか把握しておかないと、いざというときに困る。資源の確保を見据えた情報の整備ということを重要だと思っている」と語っています。
しかし、南関東ガス田の大規模な開発には、ある課題があります。
昭和6年に創業した地元のガス会社です。採取したガスを工場や家庭に供給してきました。
高度経済成長期、新たな開発を進めようとしていた矢先に直面したのが「地盤沈下」の問題でした。
昭和40年代、千葉県内では工業用水や水道水に使うため、大量の地下水がくみ上げられたのです。
それに伴い、地盤沈下が深刻化。
くみ上げる地下水の量が厳しく規制されました。地盤沈下を避けるため、地下水からガスを取り出す量も大幅に制限されたのです。
地盤沈下を防ぎながらどのようにガスを採取するのか。
この会社が取り組んだのが、くみ上げた地下水からガスを取り出したあとに、再び地下に戻す技術開発です。しかし、膨大なコストがかかるため、現在、地下に戻す量はくみ上げた水の20%程度に止まっています。
国内のガス田が注目される今、多少コストがかかっても、くみ上げた水をなるべく多く地下に戻すことで、生産の拡大につなげたいと考えています。
輸入天然ガスの価格の高騰が今後も続けば、ビジネスチャンスが広がると捉えているのです。
ガス会社の堀沢栄さんは「海外のガスをLNGの場合ですと、液化してタンカーで運んで貯蔵して、気化して供給とステップがありますけど、その間にかかるコストというのは当社のガスの方が小さくなっております。そういったメリットをこれからも提供していければいいなと思ってます」と話しています。
足元に眠る巨大資源。国のエネルギー戦略が見直しを迫られるなか、その可能性に期待が寄せられています。
佐脇貴幸研究員は「地元でうまく、長く使っていくというのが、持続可能な資源の使い方。海外の資源の依存ばかりに頼らずに、日本の資源をうまく使って、ローカルなエネルギーとして使うとかですね、そういう形で使っていけるのは、あるべき姿かなと」と語っています。
この南関東ガス田、京葉工業地帯に工場を構える大手エネルギー関連企業も利用へ向けた勉強会を合同で行っているということです。