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「わたしはもっとできるはず」という危険なうぬぼれ

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2012/10/03


こちらの記事が素晴らしいので、思うところを書いてみます。

逃げろ、そして生き延びろ – インターネットの備忘録


危険なうぬぼれが身を滅ぼす

記事は実際に過労とストレスで休職をなさった方が、リアルに過去を振り返る形で綴られています。読んでいて胸が苦しくなります。

わたしは自己評価が低く、同時に完璧主義者なこともあり、自分の仕事に対して、常に自分で批判的でした。

120%の力を出して仕上げた仕事でも、もっとできたのではないか、もっとこうすべきだったのではないか、そんなことばかり考えていました。

「自分の仕事に100%の自信が持てない」そのために自分の時間をつぎ込んで、補填しようとしていたのです。裏を返せば、「わたしはもっとできるはず」といううぬぼれが招いた、自業自得の事態でした。

逃げろ、そして生き延びろ – インターネットの備忘録

この発想、とても危険だと思います。

高校時代、吹奏楽部で日々練習に励んでいたのですが、明らかに自分よりも優秀なプレーヤーに囲まれていて、常に劣等感に苛まれていたことを覚えています。何を演奏するにしても、自分の下手さを痛感することになり、練習や本番は常に苦痛でした。

きっかけは思い出せないのですが、あるとき閃いたように考え方が変わり、僕は劣等感から抜け出すことができました。

それまでは優秀なプレーヤーたちを見て、「俺は彼らのように、もっとうまくなれる」と考えていました。が、あるとき、どうやっても彼らには敵わないであろうことに、心底納得することができたのです。彼らは僕より才能も情熱もあるし、何より努力の量や、取り巻く環境が違いすぎました。

僕はそのことを知り、冷静に、短期的な成長を諦めることができました。自分の限界を正確に把握できるようになった、ともいえるかもしれません。


今の自分はここが限界

僕は楽器の演奏を通して、「自分はまだまだできる」といううぬぼれを捨て、「自分は”常に”自分なりの限界のパフォーマンスを出している」という冷静な直観にたどり着くことができました。これは演奏に限らず、何をするときにも通底する、僕の仕事上の価値観です。


例えばこの記事も、もっともっと質が良くなるかもしれません。理論上はそうです。実際、文章構成の見直しや、手の込んだイラストの挿入などで、記事の質は高まるでしょう。

でも、この記事をそのまま公開してしまう、ということに、僕の限界点があるわけです。今できていないということは、頑張っても難しいのです。これが僕の、現時点の限界なのです。

そんなわけで、僕は毎日ブログを更新し、トレーニングを積み重ね、この限界点は徐々に上方シフトさせようと努力しています。これまでの経験を振り返っても、やはり書けば書くほど、できることは増えていっています。5年後あたりには、イラストなんかも自前で書くようになるかもしれません。


ファイナルファンタジーで考える

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ちょうど今ハマっているファイナルファンタジーで例えれば、「わたしはもっとできるはず」と考えて無理をするのは、「MPの最大値が低いのに、強力な魔法を使おうとする」状態に近いと思います。

頑張れば強力な魔法は出せるんですが、継続性はありません。MPの最大値が100しかないなら、消費MP99の「アルテマ」は1回しか打てません。

すぐに使い物にならなくなるよりは、無難に消費MP10の「ファイラ」を連発しておく方が、自分のためにも周囲のためにもなるでしょう。レベルがあがって、MPの最大値が700くらいになったら、ようやく「アルテマ」を連発できるようになるわけです。


自分は自分以上の存在に、短期的にはなれない

自分の限界を知ることは非常に重要です。今できないなら、それはできないんです。チェックが甘かった、気を抜いてしまった、そういうことも含めて、それは自分の限界です。トレーニングを重ねて、チェック能力を鍛えるか、気を抜いても質の高いものを生産できるようになりましょう。

僕が推奨したいのは、「自分は自分以上の存在に、短期的にはなれない」という諦めを胸に抱きつづけることです。自分の無力を実感したら、それをそのまま、自分の限界として諦めて、受け止めましょう。

「自分はもっとできる(できた)はずだ」なんてことを考えて、ムチを打つ必要はありません。足りない部分が分かっているのなら、冷静にそこを補うトレーニングを積み重ねるだけです。


トレーニングを積んでも一流になれないなら、逃げる

さらに言うと、自分の限界点が明らかに頭打ちであることが分かる場合は、トレーニングそのものをやめて、別の道を模索するべきです。

例えば僕は「営業」に関しては、トレーニングを積み重ねても、一流になる前に自分が壊れてしまう確信があります。

身体的能力や性格、外部の環境によっては、どうあっても「一流にはなれない」領域があると僕は考えます。僕が取り組んでいる「ブロガー」という仕事は、捨てて捨てて逃げて逃げ回って…ようやく残った領域なのです。


関連本。こういう考え方はアスリートの方にも通じるところがある気がします。こちらの一冊は激しくおすすめ。