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シックハウス
講師・仲嶺 真樹(EM研究機構)
 ここ数年、新築住宅に移り住んだとたん、または住宅をリフォームした後に目がチクチクしたり、呼吸障害を起こしたり、皮膚のかぶれ、鼻や喉の痛みなどの症状を訴える人が増えている。最初の頃は医療機関でも原因が分からなかったが、農薬の被害に似ていることなどから住宅に使用される化学建材や壁紙、ペンキ、接着剤、白蟻駆除剤などに起因していることが解明された。このような症状を「新築病」「化学物質過敏症」ともいい、一般的にはシックハウス症候群と呼んでいる。アトピー性皮膚炎が増え出している背景もそこにあると考えられている。
 仲嶺真樹さんは健康障害を引き起こす物質として<1>ホルムアルデヒド<2>トルエン<3>キシレン<4>木材保存剤<5>可塑剤<6>防蟻剤―の6つを挙げ、「これらが汚染源であり、大気(室内の空気)を汚し、呼吸することで体内に取り入れられ、目や鼻、喉の痛みをはじめアレルギー、アトピー、性的不能などの障害を引き起こすといわれている」と話し、会場を見渡す。参加者の目は真剣そのもので、不安そうな表情も見える。
 家に使われている素材から説明を展開する。天井や壁のプリント合板、押し入れやドアの合板、システムキッチン、クロスを張り付ける接着剤、床のフローリングなどにはホルムアルデヒドが多量に含まれている。これは常温では気体で、水に溶かすとホルマリンで、目や鼻の粘膜を刺激し皮膚障害や喘息、アトピーの原因になる。
 また、ビニールクロスには有機リン、白蟻駆除剤にはピレスロイド系殺虫剤が含まれており慢性中毒や免疫異常、神経毒性、発癌性などがある。厄介なのは白蟻駆除剤で、有機リンに代わって「安全」と使われ出したピレスロイドだが、実際には前記のような性質を持ち、匂いが無いので気が付きにくい。
 対策としてどのような方法があるのか。合板やプリント合板、ビニールの壁紙をやめて天然の杉板、ムク板のフローリング、和紙の壁紙などを使用するのが良いが、コストとの関係や既に使用されていた場合、換気をよくする。毎日、窓を開けて自然の空気を通して入れ替えることという。さらにEM-Xの千倍希釈液をスプレーに詰め、床に吹き付けて拭き掃除したり、壁に吹き付けたりする。そうすることで、完全にはこれら化学物質の害を抑えることは出来ないが、大分緩和され、嫌な匂いを抑えることが出来る。
 そこで参加者の中から手が挙がり、「白蟻駆除しないと、せっかくの家が白蟻にやられてしまうがEMで防げるのか」との質問が飛び出した。
 仲嶺さんは「まずは床下に湿気がこもらないように通気を良くする。これには床下換気扇もある。調湿炭を入れたり、湿気の溜まりやすい所には多めに木酢液を10倍ほどに薄めて撒いておくなどの対策がある」と述べ、ホワイトボードに家のイラストを書き始めた。
 「白蟻の習性は皆さんもお分かりだと思います。最初から住み着いているわけではないですね。梅雨時の夜、明かりを求めて羽白蟻が飛んでくる。意外と簡単に羽は落ち、白蟻は床の隙間や床下の空気取り入れ口から床下に侵入していくわけです。ご存知のように暗い所と湿った場所が好きですから、先程言ったように空気の流れを良くし、湿気を無くすことが大切。そして、出来れば空気取り入れ口に防虫ネットを取り付け、侵入できないようにする方法もあります」と、細かな説明をした。うなずく顔が広がる。
 白蟻について不安が大きいのか引き続き、木酢液の使い方の質問。これにも「白蟻は習性として湿気が好きですので、湿気の溜まりやすい所に木酢やストチュウの10倍液を灌注する方法もあります」。シックハウスを特集したEM環境マガジン「エコ・ピュア」24号を紹介した。(山里)