EMフェスタ98 > 比嘉照夫教授講演
総括講演
比嘉 照夫 教授  

 今回のEMフェスタの分科会は農業、畜産、水処理、環境とありますが、農業に関しては先程お話したように、いろんな有機物を畑に投入する際にEM処理する、あるいはセラミックスの粉を一緒に混ぜて、その波動値を上げて土の中に入れたり、雑草はEMを撒いて刈り取って、そのまま地表で分解させる。このような事を続けて行くと、そこに生えている作物の収穫残渣は、ただ刈って置いておくだけでボカシになる。ここまでいけばもう本当にEMの効いた畑だと思っていいでしょう。
 私達が目標としているのは、安全、快適、ローコスト、ハイクォリティ、そして多収ということです。化学肥料、農薬をゼロにして自然の循環で、しかもサイクル的に豊かになって行くという方法でない限り、農業の将来は無いという事なんです。
 これは何故かといいますと環境ホルモンの原因物質として、ダイオキシンはもとより、現在登録されている農薬の大半がそういうカテゴリーの中に入っています。今すぐ環境ホルモンで人類が滅びるという事ではないんですが、すでに、動物の世界にはいろんな影響が出て来ています。いずれにせよ人間には良くないのですから、農薬等を使わないで農業をやっていくという事がこれからの基本になるんですね。
 アメリカではカルフォルニア州が先頭を切り、2000年から化学肥料・農薬をゼロにするという法律を2週間前に作ったんです。ヨーロッパではデンマークが去年、化学肥料・農薬をゼロにするという法律を作りました。予想を越えた汚染のひどさなんです。そのような流れを受け、農薬や化学肥料に頼った農業だけじゃなく、他にも選択肢があるじゃないかと、有機農業とかいろいろ環境を考えた農業をやって、結果的にいい成果を上げています。EMもその選択肢の大きな柱になる訳です。
 去る10月25日にバリ島で行われました自然農法とEM技術に関する国際会議の中で、Drリンダに来てもらって講演をしてもらいました。彼女は今度アルゼンチンで行われる世界有機農法会議の副会長で次期会長になる方です。
 講演で彼女は微生物は全てを産みだすお母さんみたいなもので、このお母さんが悪いと皆ダメになる、良いお母さんならいい子供が産まれ、良い大人になって行く。微生物は全てのお母さんだから、EMはいいお母さんを作っていると認識している。世界有機農法会議でも皆に働きかけてEMを思いきり広げていく事を約束しましょうという事を言われました。
 彼女は最初はEMに反対でした。聞いてみますと、彼女も微生物学者ですから、遺伝子組み替えをしているんじゃないか、それから特殊な微生物が増えると後がどうなるのか不安だという、ごく常識的な疑問を持っていたのです。しかし、ご自身のお父さんがEMを使ってみて、なるほどこれは良いという事から色々調べて、結局遺伝子組み替えはされていない事が分かり、EMの活用を進めるべきだという事になったのです。彼女には去年のタイで行われました国際会議でも発表してもらいました。
 以前にEMが韓国に入った時に日本の微生物が韓国を席巻する、けしからんという論調がたくさんでました。その時に私は韓国の学者に、どうしてラクトバチルス(乳酸菌の仲間)という学名が決まっているのに、日本のラクトバチルスと韓国のラクトバチルスと違うんですか、国旗が見えるんですか、ラクトバチルスは世界中同じです、違うなら証明をしなさいと言いました。アメリカのマサチュセッツ微生物研究所の所長が韓国の人で、EMを調べたそうです。常識的な微生物で組合せの妙が力を発揮していることが理解され、それで日本の微生物が韓国を席巻するという感情論が去年から消えていったんです。
 話の出たついでに申し上げておきますが、遺伝子組み替え食品も、これから私達が対策を取らなければならない課題になりそうです。EMの技術でやって使えば、遺伝子組み替えをする必要はない、EMを徹底していけば多収にもなりますし、品質も良くなり、病気にも強くなります。
 OFFの状態の遺伝子がノーマルに働かないから、働く遺伝子を入れましょうという事が遺伝子組み替え技術ですが、EMを使い、さっきの波動技術を平行して行いますと、その遺伝子は全てONの、プラス状態に変わっていきます。これがいきなり変わる場合と、時間をかけて変わる場合があります。例えばEMで育てたお米の場合、1代目では変わらないとしても、種からEM-Xで処理しセラミックスの水を使って大事に育てて2代3代と続けます、品種改良の原則では5代で遺伝子を固定する事が出来ますが、EMを使えば私は3代で出来ると見ています。
 ですから、潜在能力を引き出したスーパー遺伝子的な作物は作れますので、無理に遺伝子を組み替える必要はない。遺伝子組み替えは最初の段階ではいいように見えますが、もし1つエラーをすると沢山のタンパク質に影響を与えていくので、ダイオキシンみたいにならないとも限りません。ほんの微量でアレルギーやいろんな拒否反応を起こしたり、これが原因物質となって、他の毒性や、合わせ方が悪いと、強いショックが起こる可能性も考えられます。農家の方が遺伝子組み替え品種を使わなくても素晴しい作物を作っていれば、遺伝子組み替え食品を駆逐するのは可能ではないか、これはちょっと遅きにしたかなという気もします、去年からその危険性をずっと申し上げてはいますが、もっと真剣に考えるべき課題だと思います。
 それから、畜産につきましても、いつもお話していますように、畜産を中心にして、その廃棄物で、農業、環境を良くする。その結果が、人間の健康にプラスに変わる。農業をサイクル的に発展させようという非常に大きなベースになるんです。昨日の発表のようにあれだけ沢山EMが濃縮されますと、畜産の存在そのものが非常に重要に価値を持ちます。是非畜産の分野にEMを使い、環境と健康、また畜産廃棄物を農業分野の優秀な生産資材として発展させられるよう、もっと簡略な方法の開発も課題にして頂きたいと思います。
 環境については、EMでの生ゴミ処理は全国でメジャーになって参りましたので情報も充分に出ましたが、ただ環境全体を考えますと、今年より始められましたEM女性会議の中で出ました米のとぎ汁にEMを増やして醗酵させた液を使って日常的に、特に水環境を良くしていく必要があります。もちろん、米のとぎ汁醗酵液を庭にまいたり、作物に使ったり、或いはごみ焼却場周辺のダイオキシンの汚染が心配されるような土壌には常にそれをまいていくと、いつの間にかダイオキシンが消えていくという情報もありますので、米のとぎ汁を含めたEMの環境浄化システム、生活に密着した使い方へと、更に認識を深めて頂きたいと思います。
 教育福祉につきましては、向山先生等の協力もありまして、TOSS出版より「地球環境教育シリーズ」として子供達の環境教育に関する本が年に2回から3回出るようになりました。この本は1万冊以上刷られておりまして学校での環境教育のテキストとして、カリキュラムを組んで教えていくときに非常に重要な役割を果たすようになりました。
 環境問題イコール教育問題です。EM技術を日常的に使うという事は家庭にもEMが浸透していきますし、子供達自身がEMという問題を更に掘り下げて自分自身で環境を守り、健康を守り、社会を良くしていくという思想が育つ基礎となります。
 今回、福祉教育分科会のコーディネーターをして頂いた木村先生には随分と沢山の実証をして頂いて、いろんな方の賛同を得ています。昨日の懇親会の各地区自慢話の中で、EMをむつ湾浄化のベースにしていきたいという事も言われました。
 福祉につきましては、EMボカシネットワークがやっと全国を網羅する事になりました。それと今回は『アットホームめむろ』からの報告がございました。弱い立場の人が自立するという事は相当の知恵が必要です。共存共栄の認識が無いと難しいですね。共存だけですと、弱い人はハンディキャップがあります。高齢者の人達も含めてですが、社会的に弱い立場の人達が自発的に、自立していろんな事がやれるという事を示していき、それに共鳴した人達が増えていって、いつの間にか社会全体が方向換えをするという素晴らしいきっかけが出て参りましたので、是非EMボカシネットワークの皆さんもこういう所を目指しながら楽しくやって頂きたいと思います。
 建築につきましては、全ての項目にEMを使ったかというチェックリストを考えてみて、例えば土台に施用したか、セメントや木材またはペイントに加えたか、内張り糊に入れたか、家庭の電化製品に使ったか、あらゆる所にチェックリストを作ってEM技術をはめ込んでという事がポイントです。
 それと同時に敷地の土をきちっとしておくことも大切です。よくゼロ磁場という話が出てきます。いろんなゼロ磁場の造り方はありますが、具志川のログハウスでやったようなEM-Xセラミックスを撒いてEMを徹底して入れて浸透させていけば、自然にそこがゼロ磁場になるんです。ですから敢えてマジナイみたいな事をして高い金を払うのは私には理解出来ません。木炭との併用はかなり効果的という事も分かっております。
 もう1つ、建築で課題になるのは老朽化した建物の存続についてです。新しく造るのは今述べたままでいいのですが、予算もなく、不景気なので、今の建物を長く持たせたいという場合にもEMの効果が見られます。
 EMを使っているとゴミ焼却炉の中の耐火煉瓦が、しっかり固くなって焼却炉の寿命が延びていくという話を聞きました。古い建物でもEM-Xやセラミックスを注入できる所は注入し、日常的にスプレーできる所はスプレーをして、常にEM染み込ますようにしますと、竹でつつくとぼろぼろになるような牛小屋のコンクリートさえ、EMをずっと使っていくと新品の新しいコンクリートみたいにカチンとした状態に戻ります。
 建物を修繕する時にEMを使いだした会社もいくつかあります。ホテルなどはノンスモーキングの部屋をつくる場合、この技術を使ってEM-XやEM-Xセラミックスで臭いを根本的に解決する方法があります。
 ですから増改築の時もそうなんですが、家を大事に長く使い、そして健康的な状態にもって行こう、または中古のハウスを買った時にこれを良い家にしていこう。そう思った時の使い方が、これからの課題として残っているのではないかと思っています。
 医療につきましては先程もお話しましたように、意識では思ってなくても体が病気にになりたいという信号を出すために病気になってしまうというのがだんだん見えてきました。それは今の医学で言えば、抗酸化作用や核磁気共鳴によって組織が正常になっていくという程度の説明なんですが、実際には生命力を強化するプラスα、奥の深い世界がこの中に含まれています。リロさんの言われたスピリッチャルな調和の世界なんですね。
 三枝先生が、高次元の心の持ち方に変わるとEM-Xはほんの少量でも良く効くとか、パキスタンの報告ではあんな少量でも効くのかなと、我々なら思いますが、本当に少量で劇的に効いているのです。こういうのを見たとき文明国の私達は相当ひどい汚染、フリーラジカル誘発の中にいるのか、それともよっぽど根性が悪いのか、またはいらないよけいな情報が多すぎるのかと考えてしまいます。三枝先生の、精神的フリーラジカルを消さない限り本質的な治癒は難しいのではないかというお話は、正に名言と思って聞いていました。
 例えば、遺伝子の情報を活かし、人間の体として完成に近付けて行くのは脳がベースですが、2才位にその方向性が全て決まるわけです。その間に不幸にして悪い状態が起こると一生を失してしまうくらい重大な事態になるわけです。当然ながらお母さんがEM-Xを飲み、体をピュアな状態にして、子供も小さい時から母乳と一緒にEM-Xを飲むと、健全で病気にならない子供になり、また病気にならないお母さんになる訳です。さっき微生物とお母さんという話をしましたが、同じ形に誘導できるわけです。
 全ての人が健康になっていくと社会の負担が少なくなる、あらゆるものが健全であるというのがボランティアだと申し上げました。そして、それを支える『EMを使う事そのもの』がボランティアだと、去年も口を酸っぱくして申し上げたわけですが、そういう原点に返っていく姿勢が大切です。
 EMの不思議は人間の進化の不可思議さを見る思いです。精神的なフリーラジカルが消えないかぎり、本質的解決は無理というのも究極的な見解と思っています。
 プラズマ現象のように空気が金属になる未知の世界をEMが動かしていると考えますと、ようやくこの不思議現象に理論的な王手をかけられるんじゃないかと感じています。私は21世紀はカルマから解放される時代だと常々申し上げております。いいカルマはともかく、先祖の悪い影響がそっくり子孫に残っている場合、これは遺伝子のON、OFFと連動しているといえます。
 カルマが起こるその原点を考えると、物が不足して競争が過剰になって勝つためなら何をしてもいい。という概念からほとんど起こっているのです。ですからカルマを解決する為にはいつもお話している食糧の問題、環境の問題、健康医療の問題、そして資源エネルギー、教育の問題、それら全てを解決した上で共存という形に持っていかない限り、難しいと言えます。
 しかし、国際的な流れなどを見てみますと、アメリカでも既に農薬や化学肥料をもうやめようという動きですし、大手の企業がEMに真面目に取り組み始めたのも事実です。アメリカの大手の農薬販売会社が、EMを売らせて下さいと要望してきた時、始めはまた何かあるんじゃないかという懸念もあったのですが、彼等もEMを実験し、本当に農業の為に役立ちたいと思っているようです。私もかつて化学肥料や農薬を撒かせた一人で、それを考えると、人の事は言えない立場なんです。彼等だってかつての私と同じように化学肥料、農薬で農業を発展させて、社会に貢献しているんだという信念に燃えてやっていたんです。今、気が付いて、それならEMでやりましょうと言うのであれば、大手企業なり、農薬化学肥料販売をしているような所も協力してもらって、みんなでこの問題を解決していかないとならないのです。
 今までは私自身、意固地な所もありましたが、ここまで認識して頂ければ企業も政府も皆で未来型社会のベースを構築できるのではないかという期待が見えてきました。
 去年の講演で私は北朝鮮の食糧問題をEMで解決したと述べましたが、今年も10月に北朝鮮に行って来ました。後でスライドでお見せしますが、実際にそれだけの食糧がちゃんと取れておりました。今年は大体500万トンも取れてるのです。400万トンあればなんとか飢えはしのげるという国ですから、食糧問題はEMを取り入れる事で自力で解決したと見ていい訳です。
 私は北朝鮮に対して未来型社会の構築を期待しているんです。社会主義の思想は非常に大事ですが、これを実行する 技術や皆の姿勢がまだ出来てない。技術が未成熟な状態のままですから社会主義はちょっと出番が早すぎた感じなんです。自由主義がいいかというと、自由主義も行きすぎるとまた問題がある。今の日本は正義をやっつける自由を与えておいて、この正義が世の中に出ようとすると法律で全部禁止するというひどいレギュレーションで二重の縛りを持った国なんですね。ですからEM運動というのは既成概念と既得権益との闘いという事になってしまったんです。幸いにして最近ではいろんな規制がゆるくなり始めています。
 例えば昨日の話のように国中の焼却炉を全部改造しようと思ったら100兆円かかる、それなら他の道を考えようという動きも出て来ました。これと同じように医療費が増えたり環境がひどくなったりしますと、同じ事が起こるかも知れません。今の日本はお金があって困ってない。皆さんは困っているんだと言うかもしれませんが、よその国はアメリカを除けばたいがい路上生活者があふれている所が多いのです。そこまでいかないと目が醒めないのかと思いもしますが、ちゃんとなれるベース技術としてEMがありますので。そんなに悲観はしていません。
 このままいけば日本は素晴しい共存共栄のモデル国家になり得るでしょう。食糧の問題、環境の問題、健康の問題、教育の問題など、人間が本質的な人生を納得するのに必要なベースは共用財産にしておいて、この上は自由に競争できるような新しい社会主義ができてくれると素晴らしいと思います。その点では北朝鮮が人類の為に残されたモデル国になり得る可能性もあるわけです。

 これからスライドで今年1年の色々な状況を紹介したいと思います。

 まずは「地球を救う大変革パート3」の最後の方に書いたバリ島の農場です。
 バリ島は自然と神々と共に住む島と言われています。このバリ島にEM研究機構とインドネシア政府と共同であらゆるものをサイクル的にEM技術で総合化した農場(インティグレイテッド・ファーム)があります。1998年10月24日からの自然農法国際会議でここが見学コースになりました(1)。上の建物は居住区になっていまして研修生が住んでます。ここで使われているトイレ、お風呂、洗濯の水が下に流れて行ってEMで処理されてます。6層の池があって、ただ水をオーバーフローさせているだけですが、これが様々にリサイクルされています。具志川市立図書館式EM浄化槽の応用編なんです。大腸菌を調べましても基準値以下でしたので、私は飲んでみました。具志川図書館の水と殆ど変わらない味でした。ここはずっと傾斜ですから渇水期には水も少ない所ですので、非常に画期的な試みです。

 これは上の居住区です(2)。居住区の次に山羊がいまして、山羊のちょっと横にアヒルがいます。山羊の餌は稲わらをEMボカシで処理し、EMをかけてサイレージ(醗酵資材)にして食べさせています。羊の糞を使ってアヒルを養っています。この下は鶏なんですが、鶏にもEMを徹底的に使いますから、鶏の糞を50%餌に混ぜて再醗酵させて鶏に食べさせている。鶏がとても元気になって卵も良く産むようです。
 要するにEMでただ餌を醗酵させるよりは糞を半分混ぜた方がいいんです。これは昨日の宮城養鶏の事例発表と類似する所があります。その下は鶏の糞を醗酵させて今度は豚の餌にしています。豚の糞尿はまた醗酵させて牛の餌にする事も可能ですが、ここまではまだやってません。豚の糞尿を処理したきれいな排水を魚の方へ回したり野菜の方へ回したり、それから固形物はそのままボカシ代りにして果樹とか野菜、或いは下の水田に使います。
 この下の方に牛がいます。下の水田や稲わらや園内の植物をEMで処理してサイレージにして牛を養っています。牛の糞でミミズを養っており、これが大量に採れますので一部は精力剤として、一部は鶏のエサにします。魚も特にエサを与えなくても育つんですが、たまにはミミズもやるそうです。
 最後に牛の排水と豚の排水が水田に流れて来ます。この水田は稲刈りが終わると排水を流し込んで、水田の表面を覆います。すると雑草が全部枯れてヒコバエが生えてきて、田植え1回、稲刈り2回ができるんです。この地域は田植えが3回ありますから、田植え3回、稲刈り6回という事も、これから考えられそうなんです。田植え2回収穫4回、そのあと野菜1回というやり方も既に試みられています。

 汚水槽は、このような仕切りになっています(3)。トイレからの水を、ただオーバーフローさせているだけです。EMを入れておくと固形物は全くできません。

 ここの鶏です(4)。自分たちの糞の半分が餌になっていくんです。ここの所長のウディ・ダナ君がずっとデータを取っています。やはり糞を50%混ぜた方がいいようです。この鶏小屋はボカシの臭いのみでした。

 山羊の糞で養っているアヒルです(5)。この下に豚がおります。

 これは私が行った時に産まれた豚で、EMピッグと言ってました(6)。こんなに沢山産まれても病気になる豚はいません。抗生物質も他の薬も全く使っていません。


 この豚のし尿の内、固形物がたまって液体だけが上の方から入ってきます(7)。この水は別の所にEMを循環させる為にリターンさせているんです。オーバーフローして向こうへ行く流路もあります。水田の除草をするには多少汚れていて臭いが消えた状態のものを水田に流すと表面が醗酵して雑草が1本も生えてこなくなるのです。その後田植えをするというやり方です。

 この水は園内の魚に使ったり、散水に使うことができます。肥料的にやる場合はポンプで切り替えができます。
 その水を液肥がわりに育てたパパイヤです(8)。

バナナも実に見事に育っています(9)。

 これが一番最後の下の水田です(10)。稲刈りの後、豚小屋の排水にEMを加えてここに流すと、すぐにヒコバエが生えて35日後に収穫ができます。この方法で周辺の水田の2倍のお米が採れるそうです。

 バリ島東部のバングリという所のゴミ集積場です(11)。落ち葉や生ゴミなど、いろんなものが運ばれてきます。ここでビニールや堆肥に出来ないものを分けて、後のボックスにEMボカシを混ぜ入れて一ヶ月くらい置きます。

 このような堆肥を作って(12)、みかん園に入れたり野菜畑に入れています。

 みかん園です(13)。バリ島のみかんはマイコプラズマという病気にやられて、全滅状態に近く、実が1回なると木は駄目になると言われていたんです。5年前からEMを使いだし今は島全体のみかん産業が復活してきました。

 こんな成り方をするんです(14)。私はみかんの専門家ですから、成り疲れで来年は木が枯れるぞと心配するんですが、ちゃんと予備枝が出て、次の年も成るようなスタイルになっています。



 このスライドはパキスタンのEM工場の落成式で沢山の農民の人達、また関係者が集まって、今までのEMの成果の報告と、これからの抱負を語ってくれました(15)。


 ここパキスタンで特筆すべきはEMオープンファーメンターの事です(16)。EM入り肥溜めとでも申しましょうか、牛の糞や山羊の糞などをこのタンクに入れて、水の深さを90cm位にしたものです。上流側から水を入れます。


 EMを入れて毎日2、3回撹拌をします(17)。

 この水の色が黒から少し赤っぽくなり、臭いがしない状態になると、水路を使って畑へ流していくんです(18)。
 バリ島の例と同じように水田は上流から下流までずっと良くできるようなります。今までは畜舎の下から悪臭に対するクレームがあったのですが、これが無くなりました。
 水路からしきり蓋をとると畑へこの水が入るわけですが、ここは6年前は砂漠だったのです。右に見える木は小指くらいの太さしかなかったのです。塩分が真白に吹き出ていて、米は殆ど出来ない。穂が出てきたら白穂になるという所だったのです。この地下水も塩分が随分入っていますが、EMをやると塩類障害が無くなりました。
 こんなふうにきれいに稲が実るのです(19)。パキスタンはこんな場所が120万ヘクタール砂漠化しているんですが、これを全部EMでやれそうです。しかも都市排水も、畜産排水も全部EMで処理して液肥として使おうという事です。
 幸か不幸か今度、パキスタンは核実験をやったために経済制裁にあって、外貨が無く、化学肥料も買えないからEMでいこうということで国をあげてEMのチームを作っています。
 チームは農業、畜産、水産、エネルギー、医療各分野で今日発表頂いたウスマニ先生は医療分野の責任者です。


 これは北朝鮮の平壌(ピョンヤン)です(21)。ホテルから撮った写真ですが、西暦2000年には47階建のビルで国際会議をやる事になってます。北朝鮮は西暦2000年に、世界で初めて国中の農薬、化学肥料をゼロにし、豊かな農業生産を上げ環境を良くし、国民が健康になったという国を作り上げて世界にアピールしたいそうです。

 これはEM1号の種菌を作る研究所と、工場の一端です(22)。


これはEMを輸送する専用トラックで、全国へEMの種菌を配送しています(23)。

種菌を入れて培養をしてEM1号を作っていく工場ですが(24)、今年は全国に105箇所ありました。去年は80箇所でしたが、来春までには115ヵ所以上出来るという事になり、各地区全体にEMがくまなく供給できる体制になっています。


 EMを培養するには糖蜜を使います。北朝鮮の場合は糖蜜の輸入も経済的に大変なんです。それで、とうもろこしを酵母で糖に変え、この糖に糖蜜を少量加えてEMを培養しているのです。全て自力でやろうという事で、これはそれを作る鍋です(25)。

 これは平壌(ピョンヤン)の汚水処理場の汚泥を有機肥料にする工場です(26)。

  汚水処理をして、その水を水田に全部まわしています。下に沈殿した汚泥はすぐに乾燥させ、EM処理をし、肥料にします。汚泥がEMで処理され、サラサラのとても良い状態になっています(27)。この工場は岩手コンポストの協力で出来上がりました。


 この汚泥を使って白菜を作りました(28)。石ころのように土のかたい畑なのですが、このままいけば10kg以上の白菜になるだろうと言われていました。

 素晴しい白菜です(29)。

 これは逆方向からみたものです(30)。

 7月の時のとうもろこしです(31)。

 従来のとうもろこしの2倍位の大きさです。しかも、これは4個ついており、上から取っていくと下が太ってくるんです。図体が大きくても先まで実が付いてないと困りますから、その場で開けてみますと、やっぱりぎっしり実がついてました(32)。


 これはこの時の稲の状況です(33)。やせた土なのですが、良くできてます。これは7月の出稲前の状態です。


 これは去年もお見せしましたが、大豆です。今度もびっしりついてます(34)。普通は上の方は豆が入らないのですが、EMをやるとびっしり入るようになります。

 今年の10月の北朝鮮の稲です(35)。去年の稲とは比べものになりません。ここは13.5俵位あるんじゃないかと言ってました。
 化学肥料と併用した区でも化学肥料が従来の3分1以下に減ってます。これはイモチ病が少し見えます。イモチ病は化学肥料を全部やめないと無くなりません。皆が見に来るんで欲張って尿素を入れたようです。指摘されて、肥料を減らすと言ってました。

 これは援農隊の皆さんです(36)。

 先程の場所で、稲刈りを終えて帰る所です。実際にこうなんですね(37)。先程のは特別出来の良かった場所を見せたわけではないんです。

皆さん秋の収穫にとても忙しそうです(38)。この人達はみんな援農隊です。

ここの責任者の女性の方に聞きました(39)。彼女達は上から何を言われても、農業に良くないと絶対に使わない人々ですが、本当に納得してEMを使っています。EM500トンしか作れない規模の工場で頑張って700トン作ったり、EMで全ての農業の生産問題は解決すると自信をもって言われました。


 白菜と葱を植えています。その前はには唐辛子があったそうです(40)。EMを使った畑をフルに活かしているんです。土が無耕起でも柔らかいですから、そのまま植えていくだけなんです。ここでは下肥を集めてEMで臭いを消して使ってます。


 さっきの白菜畑の反対側です(41)。所々の色が変わっているのは下肥による葉焼けでした。ドボッと下肥を入れた所以外は、全般によく出来てます。


 これは反対側です(42)。凄い雨が降って土が盛り上がって、苗も全部埋ったそうですが、その後EMをやった所はきれいに回復した、その状態です。


 12月完成予定のEM研究所です(43)。これはEM研究機構と北朝鮮の政府が協力して計画し、来月完成します。


 これは培養室です(44)。外の光りが直接入る為のスペースです。かなり広いです。


 ここは、大きな種菌を作るスペースで、後は実験室とか下の方の地下貯蔵庫はかなりの規模です(45)。


 これが出来ますと北朝鮮では農業は当然ながら、環境はもとより、人間が健康の為に飲むEMも作ります(46)。それからEM-Zに近いレベルまでのものは作れますから工業の方もカバーしていきます。そして先程申し上げた未来型社会に向けた社会主義国家の建設を推進してほしいからです。


 中国のEM専門学校です(47)。EM研究機構から今、2人の職員を派遣して、ここで研修を受けた人達が中国各地のEM指導に当たってます。


 この学校を作る時に何か書いてくれと言われまして、「農は国の基なるぞ」と書きました(48)。私も真面目に書いたらこの位の字が書けるのだと我ながら感心してます。


 これはアメリカで畝間灌水にEMを入れて育てた綿畑です(49)。


 ここはEMを使った畑です(50)。


 これはEMをやらない畑です(51)。

高さがほぼ倍くらい、ついている綿の実も倍くらい違います。こんな状態なんです(52)。アメリカは今、農薬の代理店がEMを販売させてほしいと、大手3社がEMを拡大培養して農家の灌漑用水路に自動点滴できるようなシステムを開発してます。


 この方は中野さんです(53)。フキは前には8トンと言いましたが(97EMフェスタ・総括講演)、今は9トン近くになっているようです。このハウスのパイプの根元の方の錆びが全く無くなっているんです。ボカシを300kg位にし、残渣をリサイクルしながらやると、錆びが無くなったそうです。中野さんはEM農法を始めて10年位になります。これは継続によってパワーアップした見本だと思って下さい。


 こういう事でEMの進展度合は日新月歩です。我々を取り巻く社会情勢、環境問題、いろんな事を含めて、やっぱり安全で快適でコストが安くて高品質で、そして高生産で、しかもやればやるほど良くなって行くという、こういう世界は在りえないと思われていましたが、今日の発表、また、これまでの分科会での情報を集約しEMの本質という問題を考えますと、これは可能だという事を皆さんご理解頂けたのではないかと思います。
 また、本大会のような大きなイベントはなかなか大変ですが、これからも、全国10箇所位でこういうイベントを続けて行きたいと思っています。2月には熱海で自然農法研究開発センター主催の自然農法の技術交流大会があります。これは主に1次産業と環境という問題で、もう随分準備が進んでおりますので、関係者の方々、もし機会があれば是非ご参加下さい。
 それから同じ2月に三重県の津市でEM技術交流大会が行われます。中部地区、関西の方々、機会があればお訪ね頂きたいと思います。
 それから10月末に終わりました関西市民大学講座をきっかけに出来たKCC・EM研究会も非常に大きく発展いたしまして、今度関西でもEMフェスタを行いました。この規模を見ますと来年も非常に大きな反応が予想されますので、これもEM研究機構、関連会社を含めてサポートして行きたいと思っています。
 それから広島を中心にしましたEMオープンワールドも来年度の11月頃に予定しています。こちらも大変積極的にEM活動を展開し大きな成果を上げております。
 四国はいつでもイベント企画を立ちあげる事ができるようです。九州、北陸もイベントの計画をしています。
 東北、北海道では身近な所で、よりたくさんの人がEMに触れて自分のものにし、EMを即使うという活動が行われています。これこそ最大のボランティアであるといえます。それは社会貢献であり、あらゆる意味での未来型社会を作るベースを固めて行く事になります。
 こういう意味で、来年度はより積極的に全国展開を進めて行きたいと思いますので、皆様方の御協力をお願い申し上げたいと思います。 今回は盛りだくさんの情報を頂きました。そして来年度はシステム全てをEM処理した工場の成果や、EMを使って市町村のまちづくりについて紹介できそうです。応用範囲は限りなく大きくなっております。今回のEMフェスタは、医療の分野も充実して来ました。来年は海外からもより多くの医師をお招きして、更に内容の深い大会にしたいと考えております。
 このEM活動が更に皆さんの核心になり、自信に満ちた人生を作って頂きたい。そういった原点をこの機会に考えて頂いて、今後の活動にご協力頂きますようお願い申し上げて私の話を終わらせて頂きます。