EMフェスタ97 > ミニセミナー

EM入門
講師● 寺本 さゆり(EM研究機構)


会場全景
 数年前、「豚舎や牛舎の悪臭が緩和された」「痩せた土地が肥え、収穫量が増えた」など農業関係者の間で話題になり、新聞で取り上げられるようになったEM。そして沖縄県は具志川市市立図書館での水処理で、俄然脚光を浴びた。以来、学校のプールへの使用、各地でのEMぼかし作り講習会、陶器、寝具、ゴミ処理、自動車エンジンへ取り入れるなど、あらゆる分野への実験的応用が広がっていった。
 14回を数えた今回の発表大会にも、海外含め全国各地から多くの人が会場に足を運んだ。今大会から試み的に設けられたミニセミナーで、2日間5回とも立ち見がでたのが「EM入門」だった。EM関連商品は知っているものの、基本的部分を知らない人が意外に多いことを証明した格好だった。
 テーブルの上にはEM1-4号、糖蜜などが入った容器が並ぶ。それらを前にやや緊張ぎみの寺本さんがマイクを取り、全くの素人にも分かるように一言一言、言葉を区切りながら丁寧に説明を行った。


講師のEM研究機構の寺本さん。

 EMとは何でしょうね。 言葉として定着しているが、日本語では「有用微生物群」と言います。英語のEffective Microoraganisms
の頭文字を取ったものです。  乳酸菌と酵母、光合成菌の3つの大きなグループで構成され、80種余の微生物が共存した安全な液状のものです。  それでは微生物がなぜ私たちに役立つのか―と言いますと、一つには伝統的に人類が利用してきたこと。二つには牛や鶏の動物もそうですが、人間も生まれた時から一緒に生きているんです。つまり、体内(お腹)に持っており、そのバランスを崩すと体を壊します。三点目に有用微生物は元々、自然界に存在しているものです。
 「では、なぜ集合体なのでしょうか」。ホワイトボードにセットしたパネルを示しながら説明。  一つは互いに協力しあってパワーを発揮しています。次に環境の変化に対応しやすいことがあります。そして、土壌では互いに協力しあって存在します。
 「自然界のEMの仲間」として《乳酸菌の仲間》にヨーグルト、チーズ、魚醤、漬け物、醤油《酵母の仲間》味噌、醤油、日本酒、ワイン、紅茶……を紹介し、現在ではEMは水や農業、生活環境のほぼ全般で使われています。
 一通りの説明を終えた後、EM拡大培溶液や青草液肥、ストチュウ(EM5号)の作り方を前回同様パネルで説明し、来場者の目前で実演した。以下、パネルに沿ってこれらの作り方を紹介する。
【EM拡大培養液の作り方】  糖蜜5%、EM1号5%、カルキを飛ばした水(天水、90%水)を混ぜ密封する。毎日ガス抜きをすることがポイント。そうしないと容器(ボトル)が破裂する。発酵期間は1〜2週間。
 土壌改良は千倍で散布、臭気消しには百倍で散布。  【青草液肥の作り方】  糖蜜5%、EM1号か拡大培溶液5%、90%水で混合液をつくり、それに雑草を刻んでひたひた浸けて重しをし、蓋をして発酵させる。
  【ストチュウの作り方】  酢10%、焼酎または泡盛10%、EM1号10%、糖蜜10%、水60%をよく混ぜ密封して発酵させる。  病害虫の予防として500倍〜千倍に薄めて散布する。
 この中で共通して出てくるのが糖蜜です。糖蜜はEMを増やす(餌)と理解してください。「EMの落し物(注:排泄物)」、まぁ人間で言えば忘れ物と言いましょうか、それが匂いの元にくっついて消臭してしまうのです。
 セミナーに参加したほとんどの人が、パネルに記された作り方をメモする中、一部からは質問も飛び出る。「畜産の匂い消しは具体的にはどうすればいいのか」「これだけで何にでも効くのか」…。
 畜産の匂い消しには次の3点セットを推奨。 1.飲み水には、EMの1000倍希釈液を与える。 2. 畜舎全体にEMの500倍希釈液を散布する。(排水口にも投入する)
3.飼料へEMボカシを添加する。(飼料全体   の1〜1,5%)  「すぐには効果は出ないと思いますが、徐々に効いてきます」と、ぐるりを質問者に囲まれ、再びパネルやボトルを手に、次々に質問に応えていた。