野村総合研究所の主席研究員のリチャード・クー氏は2日、QUICKと日本経済新聞社共催のセミナーで講演し「今は消費増税すべきではない」と指摘した。民間企業が実質ゼロ金利下でも借金の返済を優先する「バランスシート不況」の状態から脱しておらず、政府支出の抑制を進めれば景気が落ち込み、結果的に財政再建は失敗するとの見方を示した。
民間の資金需要が乏しいことは「借金返済のトラウマがあるほか、キャッシュフローで設備投資できる状況になっているため」と説明。民間の資金需要を高める様々な努力が必要だと主張した。
またバランスシート不況に陥っているのは日米欧に共通していると分析。欧州中央銀行(ECB)が欧州債務危機への対応として南欧諸国の国債買い入れ策を示したことについては「何もやらないよりはいいが、財政再建を買い入れの条件にしている以上、根本的な問題を解決するものではない」と指摘した。
一方、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和第3弾(QE3)に関して「バーナンキ議長は金融政策が米国経済の問題を解決するとは思っていない」と指摘。「大統領選まっただ中の時期で迎える大型の財政緊縮『財政の崖』を前に、少しでも米経済の足腰を鍛えておきたいという意図があるのだろう」との見方を示した。
バランスシート不況からの脱却に必要と主張する持続的な財政出動については「民主主義のもとでは一時的にでも景気回復がみられると財政再建の声が高まるため難しい」と語った。
同セミナーは日本経済新聞社が立ち上げた「ニッポン金融力会議」プロジェクトと連携して開催した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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