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政治
【正論】埼玉大学名誉教授・長谷川三千子 時代が安倍氏に追いついてきた
「勝に不思議の勝あり 負に不思議の負なし」--。自民党総裁選の翌日に発売されたある週刊誌は、遊説中の候補者たちの写真とともに、剣の達人、松浦静山のこんな言葉を載せてゐた。
≪総裁復帰は「不思議の勝」≫
「不思議の負なし」の方はさしあたり措くとして、たしかに今回の自民党総裁選の結果を見て「不思議の勝あり」の感想がうかんでくるのは自然なことと言へよう。
選挙後の街頭インタビューでも、意外だと驚く人が多かつた。ごくふつうに考へれば、5年前にいはゆる「政権投げ出し」によつて首相の座を降りた人間がもう一度、総裁選に出てくるといふだけでも常識やぶりのことである。
しかもその候補が、他の有力と言はれた候補をおさへて当選してしまつたのであるから、驚きの声があがるのは当然である。そればかりではない。選挙中に行はれた民間有志主催の安倍晋三氏応援大会でも、かけつけた応援議員の一人が「小さな奇蹟をおこさう!」と叫んで拍手を浴びてゐた。「不思議の勝あり」は安倍陣営の人々の実感でもあつたに相違ない。
しかし、あらためて事柄それ自体をふり返つてみて、安倍新総裁の誕生は本当にそれほど「不思議」なことだつたのだらうか?
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