秋田弁護士殺害事件控訴審判決 「手続きミス」で審理差し戻し
2010年に秋田市で起きた弁護士殺害事件で、殺人などの罪に問われている男の控訴審判決が25日、仙台高裁秋田支部で言い渡された。
2011年、遺族の心に残った判決への不満。
25日、その控訴審判決が下されたが、遺族は、またも困惑することになった。
2010年11月、秋田市の弁護士・津谷裕貴さん(当時55)が殺害された事件で、菅原勝男被告に下された1審判決は、懲役30年だった。
殺害された津谷さんの妻・良子さんは、1審判決後の2011年12月9日、「(懲役)30年と聞いた時は、やはりショックが大きくて、血の気が引いてしまいました」と話していた。
無期懲役を望んでいた遺族は、落胆の色を隠せなかった。
殺害された津谷さんの妻・良子さんは、1審判決後の2011年12月9日、「わたしが一番恐れているのが、被告が『恨みを晴らしていない』と言い切って、この裁判を終えたことなんです」と話していた。
1審で遺族側は、事件発生当時、駆けつけた警察官が、津谷さんと菅原被告を取り違えたために、事態が悪化したなどと主張し、妻の良子さんらが当時の状況を検証、遺族の無念を訴えた。
そして25日、控訴審判決が言い渡された。
裁判長は「主文・原判決を破棄する。本件を秋田地方裁判所に差し戻す」と述べた。
判決理由として、仙台高裁秋田支部が指摘したのは、1審の裁判で、訴訟手続きに法令の違反があったとするものだった。
違反の内容は、被告が拳銃の引き金を引いた行為について、秋田地裁が争点として提示するなどの措置を怠ったというもの。
遺族の心情などには一切触れず、手続きのミスによる差し戻し。
遺族は午後、会見を開き、困惑する胸の内を明かした。
殺害された津谷さんの妻・良子さんは「全く想像していなかった判決になりました。ちょっと最初、何を言われているのかわからない感じでしたし、裁判長のおっしゃることも、よく理解できませんでした。わたしたちが控訴審で述べた被害者心情や、そのようなこととは、あまり関係がないことのようです。正直どうしたらいいか、よくわからない状態でおります」と話した。