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弁護士殺害「起訴内容以外の認定、違反」 一審破棄差し戻し

 2010年11月、秋田市の弁護士津谷裕貴さん=当時(55)=が自宅で刺殺された事件で、殺人罪などに問われた秋田市泉中央2丁目、無職菅原勝男被告(68)の控訴審判決で、仙台高裁秋田支部は25日、「訴訟手続きに法令違反がある」として、懲役30年(求刑無期懲役)を言い渡した一審秋田地裁の裁判員裁判判決を破棄、審理を地裁に差し戻した。
 一審判決によると、菅原被告は10年11月4日午前4時ごろ、津谷さん宅に拉致、殺害目的で侵入し、廊下付近で剪定(せんてい)ばさみを複数回突き出し、津谷さんに胸と腹に2カ所の傷を負わせ、殺害した。
 一審判決では、菅原被告が津谷さんを殺害しようとして拳銃を向け、引き金を2回引いたことも殺害行為の一部と認定。この件について高裁秋田支部の卯木誠裁判長は「起訴内容になかったことが重要事実として認定されており、裁判の争点とする必要があった」と指摘した。
 高裁判決が確定すれば、地裁で別の裁判員が審理をやり直す。仙台高検は「判決内容を検討の上、適切に対応したい」とコメントを出した。
 検察側は量刑不当を訴え、弁護側も量刑不当や事実誤認があるとして控訴していた。

◎想定外の判決遺族側戸惑い

 「全く想像していない判決で、最初、何を言われているのか分からなかった」。訴訟手続きに法令違反があるとして一審判決を破棄、差し戻しが言い渡された控訴審判決に、殺害された津谷さんの妻、良子さん(55)は戸惑いの表情を見せた。
 良子さんは「最低でも無期懲役を」と求めていた。訴訟手続きの話に終始しての差し戻しに「故津谷裕貴弁護士の会」代表の吉岡和弘弁護士は「きょう決着をつけて報告したかったが、肩すかしを食らった感じ」と話した。
 長期化も予想される判決に、良子さんは「しっかり真実を追求していくことにつながるのであれば、受け入れざるを得ない」と述べた。


2012年09月26日水曜日


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