ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー

anko3238 ゆ虐思考

『ゆ虐思考』 37KB
虐待 お家宣言 家族崩壊 共食い 現代 虐待人間 2作目











 夕方、防音を施された虐待専用部屋に絶叫が響き渡った。


「ゆっ ゆっ ゆっ……ばりざをだずげてね ばりざをだずげてね たずげで……だずげろおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおお!」


 金属バットを溜息をつきながら振り下ろす。


「ぶぎゃああああああああああああああああああああ! もっ もっ もももももも……もっど……ゆっぐり……じだがだ
……」


「はいはいゆっくりゆっくり。……ハァ、片付けか」
 俺はあー……と呻いて、惨状を見下ろした。
 今しがた起きたのはいわゆる「テンプレゆ虐」である。メンツは親まりさ(父)、親れいむ(母)、子れいむ、子まりさ
の四人。

「ここをまりさたちのゆっくりプレイスにするよ!」

 ……と、おうち宣言をされたので、ひとまずあんよを焼いて針を刺し、子供を殺して金属バットで痛めつける。
 いつものことだ。何もおかしくはない。
 しかし……何だろう、この徒労感は。今、俺が考えているのは死の間際のまりさやれいむの絶望ではなく、後片付けをど
うしようかということだけだ。
 分かっている。
 薄々勘付いていた。あってはならないことなのだけど。


 ……最近の俺は、ゆ虐がマンネリになってしまった。








『ゆ虐思考』











 ゆ虐をやる奴は、おおまかに生まれついての虐待派か虐待転向派のどちらかに分けられる。俺は後者だ。ゆっくりなんて
饅頭には何の関心もなかったのだが、ある日有名な「おうち宣言」をされたことでカッとなり、金属バットでボコボコにし
たことから……ゆ虐に目覚めてしまったのだ。

 そこから先も、いわゆる「鬼意山」誕生のテンプレートのような流れだった。
 透明な箱を買った。
 部屋を防音にした。
 わざとゆっくりプレイスを築きやすいように、居間を隙だらけにした。
 色んなアイテムを購入し、色んな日常の道具を使って虐待し続けた。

 この一年、寝食も忘れてゆ虐に打ち込んだ……が、焦って数をやりすぎたのか、少々マンネリ化してしまったのも確かな
のだ。
 何しろゆっくりどもときたら、反応がワンパターンだった。
「ゆっくりプレイスにするよ!」→「ぐずぐずしないであまあま持ってきてね!」→「どれいのぶんざいではむかうきなの
ぜ!?」→「いだいいいいいい ごめんなさいいいいい まりじゃがまちがってましたあああああ!」→「ひぎっ ぐがげ
っ おごおおおおおお!」→「もっど……ゆっぐじ……じだがっ」
 大体こんな感じ。
 何と言うか、RPGゲームの経験値稼ぎを延々とやらされている気分だ。おまけに現実世界なので、金も経験値も貰えな
い。どんなクソゲーだよ。


 では、視点を変えて……例えば、れいむやまりさ以外の野良ゆっくりを誘拐するとか、飼いゆっくりを虐待するとか、希
少種オンリー虐待に転向するとか。
 色々と考えてみたのだが、どうもしっくり来なかった。
 例えば、俺にとっての虐待はあくまである種の「制裁」なのだ。そこらの公園で慎ましく生きているゆっくりを虐待する
のは、何となく寝覚めが悪い。
 飼いゆっくりは……わざわざ金を支払って虐待するというのは、どうもこう、もったいない気がする。
 希少種に至っては、そもそも野良で出会うことが滅多にないし、通常種より更に高い金を支払うなんてもっとゴメンだ。
 野良と比べてゆっくり生きてやがる野生のゆっくりは少々そそられるものがあるが、わざわざ山まで出かけるほどの情熱
が足りなかった。

 ……という訳で、何となく八方ふさがりになってしまっていたのだ。

 迷った末、俺は虐待お兄さん専用の掲示板。そこの虐待相談スレに書き込むことにした。
 最近ゆ虐がマンネリ。自分の主義はこんな感じで、出会うゆっくりは大体こんな感じで……。
 しばらく待つと、いくつかレスポンスがあった。

「野良ゆっくりや野生ゆっくりを捕まえてみれば?」
「新しい道具あるよ ほら、これこれ→」
「いっそやめれ」
「俺も最近マンネリだなー」
「最近ハマったので、マンネリなんてのが信じられない」
「金を使って飼いゆっくりを虐待するのもいいものだぜ。丁寧に、心を込めて虐待できるからさ」
「他人の飼いゆっくりを……」
「↑通報しました」
「ゆ虐博士に相談してみれば?」

 ……最後の返信が、妙に引っかかった。
 そいつに返信する。


「ゆ虐博士って?」
「ゆ虐の悩みを受け付けてくれるところ。サイトはこれ
→ http://www.yugyaku.com


 半信半疑で、俺はゆ虐博士とやらのサイトにアクセスした。「埼玉ゆっくり研究所にようこそ! あなたは○○○○○人
目のお客様です」という懐かしさ溢れるトップページに面食らった。
 うーん……全体的に古くさいホームページの作りだが、トップページにある「死んだ目をしたれいむ」の画像が目を惹い
た。

 画像の下に、「注意:まだ生きてます」と書いてある。
 そういう注意書きが信じられないほどに、れいむは『死んでいた』。


「こんな……こんな風に、ゆっくりに死んだ目をさせることができるのか……」


 この画像一枚取ってもただ者ではないという気がした俺は、ひとまずホームページに記載されていたメールアドレスに、
ゆ虐がマンネリになってきたので、相談したい旨のメールを送った。
 翌日、届いた返信は次のようなものだった。

「メールでお答えできるものでもなさそうなので、もしよろしければ一度当研究所へお越しいただければ、と思います」
 返信――休日でも大丈夫かどうかを尋ねると、日曜と祝日以外は開いているとのこと。それなら大丈夫だ、俺は次の土曜
日に来訪する旨を返信した。





 ――そして、土曜日。
 車を走らせること一時間、何の変哲もない住宅街の一軒家の前に俺は立っていた。
「ここか……?」
 住所をカーナビで確認し、表札のところにひっそりと「ゆっくり研究所」とあるのを見て、正直失望した。
 てっきり、山中のどこかにある白くて四角い研究所みたいな場所を思い浮かべていたのだ。
 まあ、折角ここまで来たんだし、とインターホンを鳴らす。


「はい、どちら様ですか?」
「先日お約束した、○○ですけれど――」
「ああ、お待ちしておりました。今、ドアを開けますので少々お待ちください」
 しばらく待つと、がちゃっとドアが開いた。
 ドアを開いてくれたのは、絡まった毛糸のような髪をした中年男性だった。眼鏡を掛け、科学者らしい白衣を身につけて
いるが、ところどころ黒ずんでいた。多分、餡子の汚れだろう。


「わざわざ遠いところをようこそ。どうぞどうぞ」
 促されるまま、玄関で靴を脱ごうとして……ぎょっとした。
「……っ…………っ………………ひ…………」
 びくびくと痙攣するれいむが、靴棚の上に鎮座していたのだ。
「ああ、大丈夫ですよ。逃げませんから」
 博士はそう言って、ぽんぽんと軽く頭を叩いた。不意に、俺は何の変哲もないこの玄関が――妙に寒々しいものであるこ
とを知覚した。
「さ、さ、どうぞどうぞ」
 居間に案内された俺は、促されるままソファーに座って、博士が差し出すお茶を勧められるままに飲んだ。

「改めて。埼玉ゆっくり研究所をやっております××と申します」
「あ、こちらこそよろしくお願いします。お忙しいのに、申し訳ありません」
「いえいえ、とんでもない。それでは早速ご相談の内容ですが、最近ゆ虐にマンネリを感じ始めている、とのことですが―
―」
「ええ……」
「では、いくつか質問させてください。これで、あなたの虐待鬼意山としての主義を分析しますので」


 博士の問い掛けは、三十問に及んだ。とはいえ、単なる五択なのでそれほど時間は掛からなかった。
「この二頭のれいむと、この二頭のまりさ。ムカつくのはどれ?」
「この家族のどれから虐待を開始する?」
「次の虐待の内、あなたが好きな方を選んでください 1:針刺し 2:あんよ焼き 3:言い聞かせ」
 みたいな他愛もない質問だ。
 全て答え終わった俺にもう一度お茶を勧めると、博士はしばらくテスト結果の用紙を睨んでいた。
 二十分……くらい経っただろうか。俺がテーブルにあった月刊ゆ虐なんかをぱらぱら読んでいると、博士が声を掛けた。
「お待たせしました。分析の結果、あなたは典型的な『ゆ虐の壁』にブチ当たったのだと、私は診断します」
「ゆ虐の……壁?」
「ええ。初心者が中級者へとステップアップするために乗り越えなければならない壁です。少なくない鬼意山がここで挫折
します」
「あ、そうなんですか?」
「ええ。さて、○○さんはいわゆる「制裁」系鬼意山ですね。来るゆっくり拒まず、慎ましいゆっくりは害を与えないとい
うタイプ」
「はい、そうです。……やはりそれが悪いんですか?」
 博士はいやいや、と苦笑しながら首を横に振った。
「悪い悪くないの問題ではありません。それはあくまで「体質」の問題ですからね。ゆ研としては『第三者の飼いゆっくり
でないこと、地方自治体の条例に反してないこと』であれば問題ないという判断ですが、それを以って『制裁鬼意山は無差
別虐待鬼意山より駄目』ということではないのです」
「はあ……」
「マンネリ化しているのは、あくまで虐待の手段であり、そこに至るまでの心理の積み重ねが悪いのだと考えられます」

 博士が立ち上がった。
 ニコニコ笑顔で告げる。

「言葉だけでは難しいでしょう。百聞は一見にしかず、虐待部屋へご案内致しますよ」
 お、実際に虐待させてくれるのか。期待できそうだ。
 博士について廊下を歩き出す。
 かすかに「ゆんやー」という悲鳴が部屋から響き渡った。
 いい悲鳴だと、俺は思った。

「第一、第二、第三虐待室……ここです」
 第三虐待室のドアを開く。まるで俺の居間のような洋風の部屋だった。テーブルの上には透明な箱。そこには親まりさ・
親れいむ・子まりさ・子れいむの四頭がぎゃあぎゃあと喚いていた。
「第三虐待室には、死臭がありません。いわゆる『テンプレート』状態をなるべく忠実に再現するようにしてあります」
 なるほど、よく見るとちゃんと窓ガラスの左下が石で割れている。

「こっからだせくそじじいいいいいいいい!」
「れいむたちをゆっくりここからだしてね! うんうんいかのどれいのぶんざいでぼけっとしないでね! さっさとやるん
だよ!」
「しぇいしゃいしてやるんだからね! ぷくーーーーーー!」
「おとうさんはさいっきょうなんだからねっ ないてゆるしをきょいなさい くしょどれいっ!」
 うん、家族も実にテンプレなゲスだ。……このゲスっぷりを見て、あまりピクピクできない俺も、実に重症だと思うが。

「○○さんの自宅環境を考慮すると、この構成のゆっくり家族を、いかにバリエーションに富んだ虐待をするか、がポイン
トとなるかと思います」
「そう……ですね」
 博士は喚き散らすゆっくりなどまったく無視して、俺に言う。
「さて、○○さん。楽しいゆっくり虐待の基本的なコツは……相手の気持ちになる、ということです」
「……相手の、気持ち?」
「ええ。ゆっくりは思考パターンが単純です。ゲスなら尚更です、彼らをゆっくり絶望に追いやるには、『何』をすればい
いか。『何』をすれば嫌がるのか、そして『何』をすれば心が折れるのか……これを考えてみてください」
「うーん……」
「例えばこの家族ですが――」
 博士が透明な箱の蓋を開け、ぴいぴいと喚くまりさのもみあげを掴んで引き摺り出した。


「いいいいいいいだいいいいい! やべろ! ゆっくりやべろ! もみあげしゃん つがむなあああああ!」
「まりさああああ! まりさのもみあげしゃんになにするんだああああ このくそじじいい!」
「しょーだしょーだ。おとーしゃん、ぷくーだよ! ぷくーしちゃえ!」
「おとおしゃんのさいきょうぷぎゅーにかかれぇば じじいもないちゃうよ!」


 博士は全く彼らに取り合わず、ぽいとまりさを床に投げ捨てた。
「ぷぎゃ!」
 ごろごろと転がったまりさは、しばし苦痛に耐えるように震えていた。……が、三分ほどして起き上がると不敵な笑みを
浮かべて言った。


「へっへっへ……。ようやくまりさにはかなわないとわかったのかぜ? わかったならあまあまをもってくるんだぜ。あま
あまをもってくれば、たくさんがいちにもたすかるかのうせいはあるかもだぜ?」


 博士は俺に向かって恵比寿のような笑顔で言う。
「よろしいですか。あのまりさは、自分の強さに対して絶対の自信を持っています。家族も同様です。恐らく、群れではゲ
スならではの躊躇いのなさで無敵を誇っていたのでしょう」
 なるほど。確かに今までもこういうタイプはいた。
 真っ当に生きているゆっくりというのは、野良野生飼い問わず攻撃性が低い。それを向上させるために、「制裁」と名を
借りて残酷な私刑をするが、たとえば「どっちもどっち」というような喧嘩の状況ではゆっくりが殺されることは滅多にな
い。
 ゲスは違う。ゲスは自分が生き延びるためなら、相手を殺すことに何の躊躇いもない。そんな奴が森の群れに居れば、そ
れはもう無敵だろう。
「ゆ虐の基本は『よりどころを無くさせること』です」


「あああああああああ! むじずるんじゃないんだぜ!? さっさとあまあまをもっでこいっでいっでるんだぜ!? この
まりしゃにかてるとでもおもっているのかだぜえええ!?」
「では○○さん。……殺さず、おさげ・目玉・歯・あんよへの打撃もなしで。あのまりさを適度に痛めつけてください」
「分かりました!」
 よし、最近ナマっていたことだし……やるか。
「ぐっぐっぐっ。じじいのじじい……さんしたからとは、じじいのこしぬけっぷりもあきれかえるぜ……ま うらみっこな
しだぜ!?」
 まりさは醜く歯を剥き出しにして笑うと、俺に飛びかかり――――――。
 虐待が始まった。


「ぐっ、ひぐっ、ど、どぼじでえええええ!? いだいよおおおお! いだいんだよおおおおおおお!」
「まりじゃああああああ! まりじゃああああ! てかげんしなくていいよおおおおお! てかげんしちゃだべえええええ!

「お、おとうしゃんしっかりー! ぷくーだよ! ぷくーしゅればかてぇるよおおお!」
「おどうしゃあああああああああああああああん! ゆんやあああああ! そんなのおどうじゃんじゃないよおおおおおお!
 ゆっぐりいいいい! ゆっぐりいいいいい!」


 博士が止めるまで、俺はひたすらまりさをボコり続けた。忠告通り、目玉やおさげといった重要部分には手をつけず、腹
部や側頭部? をひたすら殴り続けた。
 殴るたび、皮が凹む。
 まるで内臓をブン殴られているような感覚だろう。いや、ひょっとするともっと恐ろしい――ゆっくりにとっては、金的
のような痛みなのかもしれない。
 まあ、彼らの生体組織など不明なので想像しようがないのだが。
「いじゃい! いじゃい! じぬ! じんじゃう! まりう゛ぁじんじゃう! やべべ! ぼうやべべ!」
「さて、○○さん。そこらへんで一旦停止してみましょう」
「はい、分かりました」
 ようやく、親まりさを解放した。
 親まりさはひくひくと無様に泣きながら、それでもなお俺たちを睨み付ける。
「ま、まりしゃと……まりしゃのかぞくに……あま、あま……」
 まだ言ってるのかお前は。
「さて。○○さん、この状況も何度かあったことと思いますが……彼の心を折るにはどうしたらいいか、お分かりですか?」
「うーん……」
 まりさはまだ自分のことを強いと思っている。家族もまだ、信じている。
 となると、何としてでも「まりさが弱っちいナマモノである」ことを認めて貰わなくてはならない。
「おい、まりさ」
「ゆ……な、なんのぜ……?」
「お前が弱いことを、認めろ」
 その言葉に、まりさはにへらと力なく笑った。
「ふ……ふざけるなだぜ……まりしゃは……ぐずにんげんなんがより……ずっど……ずっどつよいんだぜ……ずっどゆっぐ
りじでるんだぜ……まだ……ほんぎなんが……だじでない……」
「○○さん……」
 博士がそっと俺に次の行動を耳打ちした。なるほど、と俺はぽんと手を叩いた。箱の中にいる子まりさを摘み上げる。


「おそらをとんでるみた……ゆ、ゆううううう!? はなしぇえええ! はなしぇこのぐぞじじいいいいいいいいいいいい
いいいいいい!」


 子まりさだけでなく、親れいむや親まりさも放せ放せと絶叫する。
 暴れる子まりさのおさげを、そっと指で摘んで親まりさに宣告する。
「おい。俺は今から、お前の子まりさをブチ殺す訳だが」
「ゆううううううう!? やべろおおおお! やべろごのぐずううううううううううう!」
 ヘラヘラと笑いながら、俺は親まりさを軽く足で突っついた。
「おいおい。無敵なんだろ? 俺なんかせいっさいするのは簡単なんだろ? やってみろよ。今、子まりさが人質なんだか
ら本気を出さなきゃ、こいつが死んじゃうよ? 苦しい苦しい痛い痛いって泣き叫んで死んじゃうよ?」
「ぶじゃげるなあああああああああああああああああああああああ! じねえええ! じねええええええええええええええ
ええええ!」
「おどおじゃあああん! ごわいいよおおおおおお! ゆっくじじだいよおおおおおおおおおおおお!」
「おぢびじゃんまっででねええええ! いま! いまずぐごろじでやるがらあああああああああああああああああああ!」

 ぽふんぽふんと足に体当たりしてくる親まりさに、俺はにっこり笑って言う。

「おいおい。そんな体当たりじゃ、いもむしも殺せないぞ? あー、ひょっとして本気出してないのかな? だったらこう
しよう」
 俺はまず、子まりさのおさげを引き千切った。
「ゆっ……」
 子まりさの体がびくっと跳ねる。
 しばし震えたあと、子まりさが絶叫した。
「いだあああああああああああああああああああああああああああい! まりじゃの! まりじゃのおしゃげじゃんがああ
ああああ! がわいいがわいいまほうのおじゃげじゃんがああああああああ!」
「おぢびじゃあああああああああああああああああああん! ゆっぐぢ! ゆっぐぢじでええええええええええ!」
「ごんなのゆっぐぢできないよおおおおおおおおおおおおおおおお! ばやぐ! はやぐだずげろおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおお!」

 その子まりさの言葉に、親まりさは餡子が漏れるのも構わずぽすぽすと渾身の体当たりを繰り返してくる。
 ああ……なんて無力なんだろうなあ……。
 しみじみすると同時に、今までのテンプレ虐待には無かった喜びがじわじわと湧き出してきた。
 心を折る、基本だが何て大切なことなんだろう。今までの俺の、直接的な暴力は、彼らの心を折っていなかったのだ。何
てもったいない。ちょっと泣きたくなってきた。
「続いて、目を痛い痛いするよ! 準備はいいかな、まりじゃちゃん?」


 そう言いつつ、そっと片手で目に触れる。子まりさは硬直した。
「ゆっ!? お、おべべいやあああああ! まりじゃのしんじゅみだいなおべべにざわるなああああああああああああああ
ああ!」
「ゆっ! ゆっ! どうだじじい! まいったぜ? まいっだぜ? まいっだっでいっでよおおおおおおおおおおおおおお
おおおお! ぼねがいいいいいいい! まいっだじでぐだざいいいいいいいいいい!」
「いやあ……ぜんっぜん痛くないね! ぜんっぜん親まりさは強くないね! はい、という訳で目玉を取っちゃいまーす」
「やべっ、やべでええええええええええええええええ!」
「おねえじゃああああああああああああああん! おねえじゃんのおめめとっちゃだめええええええええええええええええ
ええええ!」
「やべろぐぞじじいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」


 怒号のような絶叫の中、俺はいつもの三倍の時間を掛けてじっくりと目玉を転がし、つまみ、ゆっくりと引き剥がした。


「あぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! びえだいいいいいいい
いいいいい! なんにもびえだいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
 悲鳴をあげてぷりんぷりんと尻をくねらせる子まりさは、何ともはやキモい動きで速攻で潰したい。がまんがまん。
「大丈夫大丈夫、まだもう片方の目は見えるだろう?」
「ゆ? ……ゆ、もうひとつのおめめは……ひぐっ……みえるよ……」
「ま、それもあと少しで潰すんだけど」


「「「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおお!」」」」


「まーりーさー。はやく俺をせいっさいしないと、おちびちゃんがなーんにも見えなくなっちゃうよー」
「うんせっ うんせっ うんせっ ゆあああん! まりざは! まりざはさいっきょうなんだぜ! さいっきょうなのにい
いいいいい!」
「はいっ。じーかーんぎーれー」
「うびょおおおおおおおおお! おおおおおべえええべえええええ! いだいいだいびえないびえないやぢゃやぢゃやぢゃ
ああああああああああ!」

 にゅるん。
 すぽっ。
 ぶちぶちっ。
 ねとー。
 ぽいっ。

「はい。子まりさちゃんはなーんにも見えなくなってしまいましたー」
「うああああああああああああん! おどうじゃあああああああああん! まりじゃびえないいいいい! なんにもみえな
いよおおおおおおお!」
「おっ、おぢびじゃん! おじびじゃあああああああああああん!」
「まりさくん」
 博士がぽんぽんと親まりさを叩いた。「ゆ?」と目に涙を溜めたまりさが上を向く。博士は笑いながら言った。
「次は、君のおちびちゃんを永遠にゆっくりさせるつもりだけどいいかな?」
「ゆ”っ!? だ、だべだぜ! ぜっだいぜっだいだべだぜ! ぞんなごどじだらぜいっざいだぜ!?」
「そうか。だったらこう言えば助けてあげるよ。『まりさはせかいでいちばんよわい くそむしです』って言って、我々に
頭を下げるんだ」
「ゆううううううううううううううう!? で、できるわけないでしょおおおおおおおおおおおおおおお!?」
 博士が俺に目配せする。
 俺はニヤリと笑って、子まりさを片手で握り締めた。
「ぷぎゅうううう!? いだいっ、ぐるじいっ、やだ、やだああああああああああああ!」
「ゆっ! やべで! やべでええ!」


 ――さあ、親まりさ。どうする? もうお前も薄々勘付いているんだろう? 人間には敵わない。お前は全然最強じゃな
いってさ。
 ――プライドを取るか、子供を取るか。


「おぢびじゃああああああああああああああああん! おぢびじゃああああああああああああああああん!」
「おねえしゃあああああああああああああああああん! ぼねえじゃああああああああああああああああん!」
「ゆ……ゆうううううううううううううううう! うあああああん! やじゃああああああああ! やじゃあああああああ
ああ!」


 じったんばったんと親まりさは暴れ回り、俺たちがまったく情け容赦がないと分かると、コイツはとうとう泣き出した。
 しょうがないので、蹴りを一発入れて目を覚まさせてやる。
「ゆぐ!?」
「まりさー。もうそろそろ時間切れだぞー。子供を殺して、お前も殺しちゃうよー?」
 その言葉に、親まりさは凍りついた。三分経って、ゆっくりと口を開く。
「…………………………まりざは」


 この時、俺は確かに――聞いた。


「まりざは せかいでいちばん よっ よっ よっ よばい……ぐぞむじでず」
「んー、聞こえないよー? もう一回、大きな声で」
「まりじゃはあ! ぜがいでいちばんよばいぃ! ぐぞむじですううう!」


 親まりさの心が「ポキン」と折れる音を確かに聞いたのだ。


 今まで積み重ねてきた「強さ」への絶対的信仰。
「ゆっくりできてないにんげん」への蔑み。弱者と勘違いしていた人間に与えられた圧倒的な絶望。
 それでも、本能で子供を手放したくないという家族への愛。
 親まりさが頭を下げる。礼を言いたくなるほど、俺も感動に震えていた。これだ、これが虐待なのだ。


「ゆうううう!? まりさ、どぼじでどれいにあたまをさげてるのおお!?」


 そして、まるっきり空気を読んでいない親れいむ。彼女は痛みを体験した訳じゃないので、当然ながら心が折れていない。
 さて、どうしたものか……。
「博士、どうしましょう」
「こういう方向でいかがでしょうか?」
 耳打ちされた案に頷く。なるほど、虐待鬼意山は色んなことを考えなきゃならないんだなあ……。
「ゆっ れいむぅ……でもっ でもっ にんげんはっ……にんげんさんはっ……づよぐで……」
「ゆっくりしてないくずがつよいわけないでしょ!? ばかなのお!? しぬのお!?」
「ゆうう……」
 俺は両目を無くして震え続ける子まりさをそっと箱に戻し、子れいむのそばに置いてやった。
「おねえじゃあん……しゅーりしゅーりするよ……」
「うう……れいみゅう……」
 子供の心温まってゲップが出そうなハートフル劇は置いといて、次は親れいむだ。
「ゆ!? おそらをとんでるみたい!」
「れ れいむ!? にんげんさん! れいむはやべで!」

 俺は親れいむと親まりさを向かい合わせた。そして、親まりさに宣言する。
「お前の奥さんだよな?」
「ゆ……そうだよ……れいむはまりさのたいせつなわいふだよ……」
「ふふーん きゃわいくってごめんね!」
 俺はその言葉を聞いて、反射的に両のもみあげを引き千切った。
「あ、いけね」
 後で引き千切ろうと思っていたので、まあ大差はないが。
「ゆ?」
「あ、ああ……」


 3。
 2。
 1。


「いっ……いだあああああああああああああああああい! れいみゅがせがいにはばだぐだべのぼみあげしゃああああああ
あああああああああん!」
「れっ……れいむうううううううううううううううううう!? やめてね! にんげんさん! れいむはやべでえええええ
えええ!」
「いだいよおおおおお! だずげでまりじゃああああああああああああああ!」
「おいまりさ。次の命令だ。この親れいむを殺せ。せいっさいしろ、せいっさいな」


 その言葉を理解するのに、親まりさも親れいむも五分掛かった。


「ぶっ……ぶざげらあああああああああああああああああ! どれいが! どれいごときがばにいっでるんだああああああ
あああああああああ!」
「む む むりでずううううううううううう! そればっがりはがんべんじでぐだざいいいいいいいいいいいいいいいい!
 あやまりまずがらああああああああああああああああ!」
「あやまるなあああああああああああああああああああ! どれいごとぎにれいぶのまりじゃがあやまるなあああああああ
あああああああああ!」
「にんげんざんにはがなわないよおおお! どぼじでぞれがわがらないのおおおおおおおおおおおおおお!?」
「殺したくない?」
「ぞうでずううううううううううううううううううう!」
「じゃ、殺したくなるようにしてあげよう。博士ー」
「ええ、準備完了してますよー」
 油・フライパン・ガスコンロ。
 はい、お約束ですねー。
「じゃ、ちょっとれいむはこっちに来てくれなー」
「ゆ!? またもおそらをとんでるみたい!!」
 俺は親れいむを台所まで運び、鼻歌交じりのれいむを油がぱちぱち音を立てているフライパンの上に、載せた。


「い゛っ……」


 びくん、と親れいむが震えて――。


「いぎゃあああああああああああああああああああああ! あづゅい! あづゅいいいいいいいいいいいいいいいいい! 
やだあああああ! おうぢいいいいいい! おうぢがえるうううううううう!」
「れいむぅ……れいむぅ……! やだやだやべでやべでやべでぐだざいいいいいいいいいいいいいい!」
 炭化寸前まで念入りに親れいむのあんよを焼いたあと、オレンジジュースを少し掛けて体力回復を図る。
 そのあと、片目を抉った。歯を全部毟った。舌を引き抜いた。まむまむを焼いて塞ぎ、植物妊娠用の茎が生える部分も焼
いた。
「お、が、ぎ……ぐず……どれぇい……」
 ひくひく痙攣しているが、さきほどのオレンジジュースドーピングが効いたのか、今すぐ死ぬ様子はない。
 それを、再び親まりさの前に置いた。
「えーと。もう一度言うぞ。このれいむを殺せ」
「で でき……ない……よぉ……」
「いいか、落ち着いて考えろ。こいつはもう歩けないぞ? 歯がないし、舌がないからおうたを上手に歌えることもできな
い。まむまむがないからおちびちゃんも作れない。言うなれば、役立たずでゴミのロクデナシれいむだ」
「ゆ……」
「お前は狩りに出ても、こいつは子育てができないぞ」
「ふぇ……ふぇふぃふうう……ふぇいぶは……ふぉふぉふぉふぇ……」
「これでもまだ大丈夫っていうなら、コイツのおかざりを焼くぞ」
「ゆ!? お おかざりがないゆっくりは……」
「ゆっくりできない、だろ?」
「……」
「なあ、まりさ。おちびちゃんのためだ……仕方ないよ。おちびちゃんがゆっくり生きて行くために、れいむは永遠にゆっ
くりしてもらうべきだ。そうじゃないか?」



「……」
 親まりさの雰囲気が、変わった。
 先ほどまでの弱々しいものではなく、決意に満ちあふれたというか。殺気が溢れまくりというか。
「ふぁふぃ……ふぁ……」
「れいむ…………………………ごめん、ね」
 その言葉に親れいむが逃げようとする――あんよが焼かれているので、ぐねぐね動くだけだ。
 親れいむは恐る恐る、近付いてくる親まりさに言う。
「ど、どぼじであやまるの? ふぉないで ふぉっふぃふぉなひで……ふぉるなあああああああああああ! ふぉふぇおお
おおおおおおおおおおおおお!」
「ごめんねっ……れいむ……ごめんねっ……おちびちゃんのためなんだよっ」


 泣きながら、親まりさがジャンプ。親れいむの上に飛び乗った。
 ぶぎゅる、と滑稽な音がれいむが聞こえた。


「いだああああああああああああああああいい! やべで! やべで! びょんびょんじじゃだべえええええええええええ
えええええ! ぶぎょ!?」
「ごめんねっ! おぢびじゃんは! じゃんとまりじゃがぞだでるがら!」


 ぴょんぴょんと親まりさが親れいむの上を何度も何度も跳ぶ。その度に、少しずつ親れいむが凹んでいく。
 ぶびょっ、ぶびょっと、変な音を立てて餡子が漏れ出していた。


「ぶじゃげええええええええ……ぼびょ! れいみゅをだずげろおおおおおおおおお! ごのぐずうううう! のどっでば
るうううううううう! のどっでばるうううううう…………ごぎょおおお!? いだい! いだい! やべで! ぶぶびい
いっ! いがっ! ちゅっ! ちゅぶれるううう! じゅぶれ! じゅぶっ じゅぶれるううううううううう!」
「ごべんねえええええ! まりじゃが! まりじゃがよわいがらあああ! ぐぞむじだがらあああああ!」

 如何なる心境の変化か。親まりさは自分が弱いからと泣き叫び、謝罪しながら親れいむを踏み潰す。
「いだああああい! いだああああい! どぼじでっ! どぼじでっ! まりじゃは! ごいびどでえ! でいぶのだんな
ざまでえ! らぶらぶじゅっじゅっじでえ! ずっぎりじでえ! おぢびじゃんがいでえ! ゆっぐりじでいだのにい!」
 親れいむの心は、完全に折れていた。この時点で助けたとしても、恐らく廃ゆになるだろう。
「ごおおおおべええええええんんんんんんんぅぅぅぅ!」
 ぐしゃっ。
 親れいむの中枢餡が、完全に押し潰された。想像を絶する苦痛の中、本能で親れいむが最後の言葉を呟く。
「ぼっど……ゆっぐじ…………まりじゃ……………………しね………………」
 だが本能を凌駕するほどの憎悪が、最後の最後で親まりさに呪いを吐き出した。よきかなよきかな。


「ゆ!? でいぶうううううう! じぇいぶううううううううううう!」


 親れいむ死亡。最後は信頼していたであろう夫のまりさに殺されるという実にコメディタッチな最後でした。アーメン。


「うう……れいぶぅ……ゆんごくでゆっくりしてね……」
「まりさ。ゆんごくって、何かな?」
 博士がそう声を掛けた。えっえっと嗚咽していた親まりさが、どうにか言葉を絞り出す。
「ゆぅ……ゆんごくは……えいえんにゆっくりしたいいゆっくりたちがゆっくりできるゆっくりプレイスなんだぜ……」
 ややこしいが、要するに天国だな。
「そっか。いいゆっくりでないとゆんごくには行けないんだね?」
「ゆ……そうだぜ……」
「じゃあ、まりさはゆんごくに行けないね!」
「ゆ!? ど、どぼじでぞんなごというのおおおお!? まりざはいいゆっぐりだよおおおお!」
「えー。そうかなー?」
「ぞうだよおおおおおおおおおおおお!」
「じゃあ、おちびちゃんに聞いてみるか。おーい、れいむー」
「……」
「なあれいむ。お前のおかあさんをせいっさいしちゃったおとうさんは、いいゆっくりだと思うかい?」
 子れいむは、憤怒の表情で親まりさを睨み付けた。
「ゆっ……ゆっ……ゆ……ゆっぐりじねええええええええ!」


「――ゆ?」


 親まりさはきょとんとした表情で子れいむを見る。多分、この餡子脳の中では親れいむのことが割と忘れられているっぽ
い、さすが。
「ごのぐずおや! おに! おまえなんかおやじゃないよ! おがあしゃんをころしたぐずゆっぐりはいますぐしね! し
ねえええええ!」
「ま、まりさは……まりさは……おちびちゃんのために……」
「うるさああああああああああああい! にんげんにもかてないよわよわじじいがなにをぬかすんだああああ!」
「ゆ……ゆ……ゆううううううううううううううう!! いやじゃあああああああああああ! いやじゃあああああ! お
ぢびじゃんはぞんなごどいわない! いわないんだあああああああああああああああああああ!」

 じたばたと、駄々っ子のように暴れる親まりさ。
 その背後にそっと立って、ぎゅっと押さえつける。
「ゆぐううううううう! ゆぐううううううううううう!」
「なあ、まりさ」
「やだああああああああ! まりじゃゆんごくいぐううううううう! いげるんだああああああ!」
「これで確定したよな? お前は絶対にゆんごくになんか行けない。お前は悪いゆっくりだから、ゆんごくじゃなくて、地
獄に行くんだ」
「いやじゃあああああああああああ! いやいやいやいやいやだああああああああああああああ!」
 そっと親まりさの帽子を強奪し、髪の毛を引き抜いていく。
「あだだだだだだだだだだだだ! いだいだいだいだがみのげさんやめでえええええええええええええ!」
「やっぢゃえ! やっぢゃえ! そんなくぞおや ゆっくりじんじゃえ!」
「ひどい……ひどいよぉぉ……まりじゃなんにもじでないのにいい……」
 大体ハゲちらかしたあたりで、えっえっと嗚咽する親まりさを脇に除けた。
 こいつには、後で重要な役割があるらしいので一旦放置プレイ。


「さて。子れいむ、残ったのはお前だけだが」
「ゆっふん! きゃわいくってごめんね! どれいにはめのどくだったね! おわびにたくさんあまあまもってきてね!」
 さて、コイツはどうしようっかな……。ひと思いに叩き潰すんじゃあんまりだしなあ。
 ふと、目を抉られたまま放置プレイされていた子まりさに目を留めた。博士に相談すると、それはいいと賛同してくれた。
「よし。まりさ、ちょっといいか?」
「ゆ……なに……?」
「あまあまやるぞ」
「あま……あま? あまあま!? ちょうだい! ちょうだい!」
「なにいっでるのおおお! まずはきゃわいいれいむにあまあまやるのがすじってもんでしょおおおお!」
 俺は子れいむの口に指を突っ込んで押さえつけた。ケツがふりふりするのが実に何とも気持ち悪可愛い。
 それからもう一方の手で、子まりさを子れいむのケツのそばまで持ってきてやる。
「目の前にあるからな。食え」
「ゆ……いいの?」
「ああ、いいとも」
 子まりさは恐る恐るふりふりしているケツに近付き……がぶっ、と噛みついた。
「むーしゃむーしゃ…………ち ち ち ちあわぜえええええ! うめええええ! むっじゃうめええええ! まじうめえ
えええ!」
「~~~ッ!」
 ケツを食い千切られたれいむが、びったんびったんと暴れ狂う。子まりさの食事の邪魔にならないよう、キツく押さえた。
 食って「しあわせー」とやるタイムラグの間に、自分を食っているのが一体誰なのかを確認すると、子れいむはそれはそ
れは絶望的な表情を浮かべた。
 以下、表情で想像する子れいむの心理描写。



(どぼじで……どぼじで……おねえちゃんが……れいむをむーしゃむーしゃしてるの? れいむたべものじゃないよ? ど
うしてそんなにしあわせそうなの? さっきすーりすーりしてあげたのに どうしてれいむのこといちゃいいちゃいするの?
 いだいよ いだいよ いだいよ くるちいよ たすけて おとうしゃん ごめんなさい だずげで おねがい いたい 
いたいよ あんよがうごかないよ まむまむもあにゃるもたべられちゃったよ あかちゃんうめないよ だずげで おにい
さん たすけてください はなしてください いたい いたい いたい いたいよおおおおおおお……!)



 子れいむが半分ほど食われたところで、俺は子まりさをストップさせた。子まりさは不服そうにぷくーっと頬を膨らませ
る。
「ゆ? まだたりないよ! まだちょうだいよ!」
「そのあまあま、何だと思う?」
「ゆ? あんこしゃんだよ!」
「違うよ。それはね、お前の妹のれいむだよ」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………ゆ?」
 子まりさが、凍りついた。
 そこで俺はようやく、子れいむの口を解放した。
「ぐぞ……ぐぞまりじゃああああああああああああ! どぼじでいもうぢょをむーしゃむーしゃでぎるんだああああああ!
 じねえええ! じねええええ!」
「…………おごおおおおおおおおおおおおお! えれえええれれれれれれれれれれれれれ! おべえええええええええええ
えええええええ!」
 子まりさが派手に餡子を吐き出し始める。
 このままでは永遠にゆっくりしかねないので、目の空洞から強引に餡子を詰めて、オレンジジュースを降り注ぎつつ、子
まりさが子れいむのためにできることをアドバイスしてあげよう。


「そら、まりさ! れいむをぺーろぺーろしてあげるんだ! 今ならまだ治るかもしれないぞ!」
「おげえええええええええ…………ゆ!? そ、そうだね! れいむ! ごめんね! あまあまたべてごべんね! いまか
らぺーろぺーろしてなおしであげるがらねええええ!」
「やべろおおおおおおおおおおお! ぺーろぺーろしてほしくなんがないいいいいいいいいいいいいいいい!」
「ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ! しあわぜー! ゆ!? ち ちがうよー! ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ!」
 当然ながら、漏れた内臓を舌で舐められる方はたまったものではない。


「いだいいだいいだいいいいい! やべろおおおお! じね! いまずぐじねええええええ! いだい! もうやだあああ
あ! おうぢ! おうぢがえるううぅぅぅ!」
 子れいむの必死の訴えも、子まりさには届かない。
 まあ、このぺーろぺーろは現実逃避みたいなものだからな。
「ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ! しあわぜー! ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ! しあわぜー! ぺーろぺーろ! 
ぺーろぺーろ! しあわぜー! ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ! しあわぜー! ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ! し
あわぜー!」
「ゆ……ゆぐっ……ゆぐう……もっど……ゆっ……ぐり……」
 子れいむがとうとう死んだ。大好きだった自分の姉に、自分をむさぼり食われるという実にステキな死に方であった。


「ゆんやあああ! くじゃい! くじゃいいいいいい!」
 途端に死臭が湧き出したらしく、子まりさがいやがって飛び退いた。俺はそんな子まりさを摘み上げて言う。
「まりさー。お前の妹だけど、お前に食われて死んじゃったぞ。あーあ、かわいそうになー」
「うぞだああああ! ぺーろぺーろしでだ! まりしゃがぺーろぺーろしてたからなおるんだああああああ!」
「そっか、だったら思う存分ぺーろぺーろしてていいぞ。ただ、そのくさいくさい臭いはな、お前の妹が死んだ死体の臭い
だ。それでもやるか?」
「……ゆっ……ゆうう……ぺーろぺーろ……おえええええ! ぺーろぺーろ……! おえええええ! くじゃい……でも…
…ぺーろぺーろじないど……おええええええ!」
 子まりさはあっという間に致死量の餡子を吐き出した。痙攣する子まりさに向かって、改めて事実を突きつける。
「お前、妹を食ったよな。同族殺しってやつだ。永遠にゆっくりしても、ゆんごくには行けないよな」
 子まりさは、恐らく親まりさか親れいむにゆんごくの存在を教えて貰っていたのだろう。それが、徒となった。
「……ゆ……ゆんごく……いけない……の……?」
「だってお前は、妹を殺して食っちゃった悪い悪いゆっくりだもの。加工所地獄で永遠に苦しむゆん生が待っていると思う
ぞ」
「か……こうじょ……いや……やだよぉ……」
 子まりさの顔が絶望に歪む。


 無敵だと思っていた父親に裏切られ、自分の最愛の妹を食ってしまい、妹の恨み言を受けた上に、ゆんごくにすら行けな
いと理解した子まりさの顔は、まったく全然――ゆっくりしていなかった。






 こうして、三頭のゆっくりが消えた。残りは一頭だけである。
「……」
「さて、まりさくん。ちょっといいかな?」
「なんの……よう……」
 博士が最後に残った親まりさと向かい合った。
「君は今まで、自分のことを無敵だと思っていたよね?」
「……」
 こくんと親まりさが頷いた。
「だけど。もう、そうじゃないことは分かっただろう? いいかい、まりさ。ゆっくりはね、人間には絶対に敵わないんだ」
「ゆ……そんなことは……ないんだぜ……」
「あるよ。いいかい、君たちゆっくりの基準は『ゆっくりしているかどうか』なのだろう?」
「それが……?」
「人間は違う。ゆっくりじゃなくて、せっかちが基準なんだ。だから良いゆっくりプレイスも早い者勝ちで取ったし、餌も
せっかちだからすぐに取れる。君たちがのんびりゆっくりしている間に、ゆっくりプレイスを全部取るなんてことができた
のは、人間がせっかちなお陰なんだ」
「……そん、な……」
 親まりさの心が折れるどころか、叩き潰されたようだ。
「だから、ゆっくりは絶対に人間に勝てない。人間に勝てる日は、未来永劫絶対にやってこない。君たちがゆっくり暮らし
ているだけでも、人間はゆっくりを虐待しちゃうかもね」


 ――ゆっくりは、にんげんさんにはかてないの?


「じゃ、じゃあ……じゃあ、まりさはどうすればいいんだぜ……? ゆっくりはどうやってゆっくりすればいいんだぜ……?

「ゆっくりしなければいいんだよ。ゆっくりしていたらせいっさいされちゃうんだからね。人間に」
「ゆ……ゆぅ……」
「でも、ゆっくりである以上それは無理だ。だって君たちはおかあさんのおかあさんのそのまたおかあさんからずーっと
『ゆっくりすることが素晴らしい』って思ってきたんだからね。だから、ゆっくりがゆっくりしようって思っている限り、
ゆっくりはちっとも幸せじゃないんだ」


 ――ゆっくりは、ゆっくりというだけで「しあわせー」にはなれないの?


「……」
「人間たちが、たまにゆっくりにあまあまをあげるのはね。人間がゆっくりより弱いからなんじゃない、君たちの奴隷にな
りたいからじゃない。そんな風にしか生きられないゆっくりをね。とっても、とっても、『かわいそうだ』って思っている
だけなんだよ」


 ――ゆっくりは、ゆっくりというだけで「かわいそう」なの?


「ゆ……」
「さあ、とってもかわいそうなまりさ。一生ゆっくりしないで生きていきなさい。その後は、加工所地獄で永遠に苦しんで
ね!」
「ゆっぐり……じない……」
 博士が窓を開き、まりさを外に出した。
 ハゲ饅頭となったまりさは、呆然としたままゆらゆらと歩いていく。さて、どこに行くのかと考えていると、博士が言っ
た。
「近くの森に、群れがあるんですよ。そこに帰るんでしょう。ああ、心配しなくても群れがいる付近には、観察用のカメラ
を設置してあります」
「トドメを刺さなくて良かったんですか?」
「どうでしょう、トドメを刺すなら今の内ですが」


 うーん、と考える。
 あの親まりさは、これからどうやって生きて行くのだろう。
 親まりさは知ってしまった。自分たちゆっくりは最弱のナマモノで、人間に逆らったところで虐待されるしかなくて、ゆ
っくりプレイスは全部人間のもので、ゆっくりしていては生きられないのだ、と。

 それは、ゆっくりというナマモノに対する徹底的な否定であった。
 何とまあ、悲惨なゆん生なのだろうか。
 おまけにアイツ、自分のおかざりであるところのウィッチハットすら忘れている。おかざりのないゆっくりが、果たして
群れに受け入れられるのか。受け入れられたとして、どんな悲惨な目に遭わせられるのか。
 ……しばらくは観察する価値がありそうだ。


「放置して、楽しみましょうか」
「そうですね」





 帰り際、博士が執筆したゆっくり虐待用のマニュアル(自主制作)を購入した。これを研究所の資金にしているらしい。
色々とためになりそうなので、喜んで買った。
「いかがです? 壁は乗り越えられそうですか?」
 博士の言葉に、俺は胸を叩いた。
「ええ、大丈夫です。『心を折る』っすよね」
 肉体への苦痛は精神を折るためのもの。
 ゆっくりたちが大切に考えているものを徹底的に汚し、壊すこと。
「がんばってくださいね」
 博士が車に乗り込んだ俺を玄関先から見送ってくれた。


 そして、帰宅するやいなや――。
「ここをれいむたちのゆっくりプレイスにするよ!」
「おや、まあ……」
 まさかの二日連続来襲のようである。
 俺は早速マニュアルが役立つことにスキップしながら、居間へと向かった。






 居間で傍若無人に振る舞っているしんぐるまざーのれいむと、その子八匹が絶望に絶叫するまで、あとわずか。












<あとがき>


 ゆっくり虐待は奥が深いなぁ……。
 次は赤ゆ中心で責めてみたい。



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 anko3216 愛するでいぶ


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