仮契約を終え、父のディド氏(左)と喜び合うハーフナー・ニッキ=トヨタスポーツセンターで
|
 |
来季名古屋グランパスのトップチームに昇格するU−18所属のハーフナー・ニッキ(17)が1日、仮契約を交わした。父で元グランパス、現清水のハーフナー・ディドコーチ(55)とともに豊田市内のクラブハウスでサイン。クラブ史上最長身の197センチ、クラブ史上初の親子で在籍という初ものづくしの逸材は、将来のイングランド・プレミアリーグでのプレーを目標に、グランパスで研さんに励む。
197センチの長身をオランダで購入した真新しいスーツに包み、ニッキが満面の笑みをはじけさせた。「今は本当にホッとしています。昇格できるかどうか、非常に苦しい気持ちでやってきたので」。この日、現清水コーチで父のディド氏とともにクラブハウスを訪れ、年俸480万円の3年契約(ともに推定)で、仮契約書にサイン。将来グランパス、そして日本サッカー界を背負って立つ超逸材の新加入が、正式に決定した。
オランダリーグのフィテッセで活躍する8歳年上の兄マイクを、そして名古屋U−18の先輩でもあり、日本人DF初のプレミアリーガーでもあるサウサンプトンの日本代表DF吉田麻也(24)を追う。プロとしての長期目標を問われると、「中学くらいからアーセナルが好きで、いつかそこでプレーできるようになりたい」と、明確な海外志向を語った。家ではプレミアリーグを好んで観戦し、アーセナルのベルギー代表DFフェルメーレンや、マンUのセルビア代表DFビディッチらを研究してきた。
ディド氏によると、9月中旬に久米GMが名古屋市内のハーフナー家を訪ねた際に、将来の海外移籍についての話もあったという。「ニッキは尊敬する麻也みたいにグランパスで成長して海外に行くことを希望している。マイクも22、23歳くらいで欧州に行きたいと言って、それを実現させた」。26年前にオランダから外国人GKとして日本にやってきた父としても、欧州挑戦を後押しする考えだ。
ただ、ワールドクラスの素材もまだまだ成長過程。クラブも長期的な視野で育成する方針だ。ニッキも「すぐに試合に出られるとは思っていない。トップの練習で経験を積んで、チャンスがあればモノにしたい」と、足元をしっかりと見ている。それでも、夢は大きくプレミアへ−。名古屋で生まれ育った規格外の17歳が、長い旅路のスタートラインに立った。 (宮崎厚志)
この記事を印刷する