(ITメディアより)
スカイツリーがピンク色になったそうですね。ピンクリボン運動に関する興味深いお話をシェアさせてください。
認知率は8割以上
企業がCSR活動に導入していることも多い「ピンクリボン運動」。きっとこのブログの読者の皆さんならご存知のキーワードだと思います。実際、認知率調査でも、8割を超える数字が出ています。
…が、この運動が一体何をゴールにしているのかを知っている方は、実はそれほど多くないのはないでしょうか。「ピンクリボン運動は何を解決するために行われているでしょう?」というクエスチョンに、皆さんは答えられますか?
クイズ番組ではないのでサラッと回答を述べれば、「乳がん検診の受診を促進するため」にこのキャンペーンは行われています。乳がんの「早期発見」を目指しているわけです。
高い死亡率、低い受診率
国際比較で見ても、日本は乳がんによる死亡者が多く、
(ピンクリボン 2012 国別比較乳がん検診受診率 通販(通信販売)のベルメゾンネット)
その裏には非常に低い検診率があります。様々な調査がありますが、欧米に比べると圧倒的な低さです(ちなみに日本は子宮頸癌の検診率も低いです)。
(ピンクリボン 2012 国別比較乳がん検診受診率 通販(通信販売)のベルメゾンネット)
ピンクリボンは検診受診率の向上には大きく寄与していない
こうした問題を解決するためのピンクリボン運動なわけですが、実のところ、検診の受診率向上には大きくつながっていない、と評価する向きが強かったりします。
一方、子宮がんは32.0%、乳がんは31.4%で、前回調査の21.3%、20.3%からそれぞれ増加した。また子宮がんと乳がんは、原則として2年に1度検診を行うため、過去2年間に受診した人についても調査。子宮頸がんの受診率は32.0%で、乳がんは31.4%だった。
子宮頸がんと乳がんの検診については、国や自治体の予算で2009年度から検診費用が無料になるクーポンを配布し、受診促進をはかっている。
「日本の乳がん検診受診率は20%台にとどまっている。この背景には、国がしっかり通知してこなかったことがあると、諸外国からいわれ続けてきた。そこで、昨年から乳がん検診が無料で受診できるクーポンを40歳、45歳、50歳、55歳、60歳の女性に対して配布したのだが、実際に受診した人は半分以下であることが明らかになった」と、乳房健康研究会 理事長で順天堂大学客員教授の霞富士雄先生。
乳房健康研究会、乳がん検診意識調査、認知率は高いものの受診率は50%以下、東京・墨田区とのタイアップキャンペーンで実態を深堀 – マイライフ手帳@ニュース
キャンペーンも素晴らしいのですが、実質的な検診率の向上には、クーポンの配布や、電話や手紙で受信を促す「コール・リコール」の方が有効のようです。
知人のある医療関係のNPOの方は「ピンクリボンなんて所詮お祭りだ」という嘆きを漏らしていました。既に認知度はMAXレベルなわけですから、「お祭り」から一歩進んで、実際の問題解決に踏み込む時期が来ているのでしょう。
検診受診率を上げるためには?
「検診受診率の向上」は大きく遠い課題に見えますが、非常に身近な話です。女性本人、母親や奥さんがいらっしゃる方は、その時点で当事者です。乳がんや子宮頸癌の検診に関係がない人は、日本中を探してもほとんどいないといえるでしょう。
まずは当事者として検診に足を運び、さらに余裕がある方は、検診率を向上させる「ソーシャルデザイン」を考えてみてもよいでしょう。
例えば、検診クーポンの配布や通知などを、携帯キャリアの基本サービスにしてしまう、なんてところがクリティカルに影響を与えるのかな、とか思います。通信キャリアは住所から電話番号、メールアドレスまですべて持っているわけですから。女子向けケータイに検診通知アプリをプリインストールしてもよいでしょう。どうでしょうか、ソフトバンクのみなさん、やりませんか?笑
というわけで、ピンクリボン運動に関するあまり知られていない事実の紹介でした。ピンクリボンを目にしたら、ぜひ今日の話題を思い出してみてください。
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