
(今回は、二元放送にてお送りいたします)
はーい。こちら主人公サイドです。
チゾットへ!
って、つまりチベット級のけわしいにもほどがある山道なわけですが。
そんなところに、ドレスで挑む我らがフローラ様と、その夫とペットたち!
安否が気遣われます。
フローラ:「きゃあ。デッドエンペラーですわー!」
主人公:「はっはっは。まーかせて!(中指立てて@鳥坂先輩)」
……失礼いたしました。
けっこう楽しんでおられるようですね。
遊園地のお化け屋敷程度のスリルすらも感じてませんよ、こちらの皆さん。
ノン緊張感。リラックスMAXです!
安否情報。訂正して、お詫び申し上げます。
宝箱を拾いながら、経験値を狩りながら、ゴールドを追いはぎながらの、雪山登山。
危なげない旅程を満喫しておられるご様子です。
以上。チゾット中腹より中継でした。
では山頂にマイクをお渡ししましょう。山頂さん、いかがですかー?
…。
山頂の宅配業者さーん?
…ッ! どっせーぃイ!!!!!!
さ、山頂さんっ? どうしましたっ?
何かトラブルがあったようですね。音声復帰まで少々お待ちくださ…
失礼しま、した…。こ…こちら山頂デス…。
あ。つながりましたね。大丈夫ですか? レポートできますか?
大丈夫げふ…っ。ちょっとメタルハンターの襲撃を受けまして。
あ゛ー。テステス。
こちらチゾット山頂班。にこにこ宅配のライアン(仮名)です。
雪深いこの地に着いて、はや三日です。
寒さと飢えと雪崩の恐怖。ひっきりなしに襲い掛かってくるモンスターの…
って、まわりこむな貴様らーッ!!!!! 宅配舐めんなよー!!!!!!
(ガス! ボゴゴ! ドスッ! 「ぐふぅ…!」)
さ、山頂さーん…? 山頂、マイク生きてますか?
…マイクのほうが大事なんですか…。
良かった。ともに生きてますね。音声行ってますよっ? レポート続きどうぞ。
…鬼か。
血反吐はいてもマイク離しちゃイケマセンよー?
…。
山頂の中継してください、宅配業者さん? こっちは中腹から遅々として進まないんだからさ!
受取人の姿は見えましたかー?
…涙で曇ってナニモ見えない。
甘えんな。
…っ? あ。涙が凍っ…、目が…! 目が開かな…ッ!? ま、まつげがくっつい…ッ!!!
とっととレポートしろってば。でないと、中継ヘリで雪崩起こしちゃうゾ♪
(T∇T) ウウウ…
…送り状によりますと、送り人は「サラボナ」の大富豪ルドマン氏。
受取人は、お嬢さんの「フローラ」さんとなっております。
問題は、送り先の住所でして、「チゾット山頂」。
なぜ「チゾットの村」にしてくれなかったのでしょうか!!!! 悪意すら感じとれます、この送り状!!!!!!!!!!
不在届け入れておいたらいいんじゃん。
この吹きッ晒しの雪の山のどこにっ!!!!!
って、あーだからもう出てくるなっつーんだよ! まほうじじい! あとからあとから沸いてきやがって、老人ホームかここはっ!
うおおお! にこにこ宅配ブリリアントスラーッシュ!
えー…。またもモンスターの乱入があったようですね。
中腹の主人公班に実況を戻します。
こちらは道に迷った模様。近隣の親切なおばあさんの家で、ゆっくりご一泊ということになりました。
なごやかな雰囲気です。
フローラ:「…起きて。あの音は何かしら…。なんだか怖いわ…」
主人公:「だーいじょうぶ! 俺がいるんだから、安心して寝なさい」
フローラ:「そうね。心配ないわよね。あなたが側にいてくれるんですもの」
主人公:「フローラ…」
訂正します。
なごやか通り越して、ピンクでーす。
放送コードが懸念されますので、こちらからの中継終わります。
山頂さん? 山頂さーん?
…………(o_ _)o パタッ
燃え尽き寸前・宅配業者:「…良かった…。お届けできた…(T∇T)」
フローラ:「?」
宅配業者:「フローラさんですよね…? これ、ご実家からのお荷物です」
フローラ:「まあ。水の羽衣だわ…! お父様…こんな高いものを…!」
宅配業者:「親心ですね…。良かった…。喜んでもらえて、私も走馬灯を回しまくった運んできた甲斐があったってものですよ…ふふ…」
主人公:「なあ、でもそれ。腹冷えない?」
フローラ:「…!」
主人公:「すごく有難いものだけどさ。ここ雪山だろ。水どころか、速攻氷の羽衣になるって、それ。体に悪いよ」
フローラ:「そ、そうね…。体が冷えるのは私…」
主人公:「山降りてから着ような、フローラ」
フローラ:「はいっ♪」
宅配業者はさびしそうに去っていった…。
雪山の村チゾットに到着。
途端に嫁が倒れる!!!!!!!!!
フローラっ? フローラっ! うちの嫁があああああぁぁぁぁあああああー!!!!!!!!!!(錯乱)
村人の迅速な救急活動によって、ベッドに横たえられるフローラ。
今後、魔王を倒して世界のすべてを手にした時は、この村を格別に引き立ててやろうと心に決める主人公。
さいわいフローラは、疲れが出ただけだとの診断。
主人公:「え…。でも、どうみても…その腹は…」
フローラ:「何かおっしゃいまして、あなた?」
主人公:「…子がいるんじゃ…?…」
フローラ:「あなたとの旅が嬉しくて、幸せ太りしただけです(きっぱり)」
主人公:「太っ!」
フローラ:「お気に召さないなら、コルセットで締めまくりますわ。あなたのためなら、ヴィヴィアン・リーのようにウエスト30センチを目指しましょう! 内臓破裂を覚悟の上で!!!!」
主人公:「や、やめなさいフローラ! わかった! わかったからっ!!!!!」
頑なに懐妊を認めぬフローラの気迫に、以降、それらネタを口にすることはパーティ最大の禁忌となる。
翌朝には、フローラはケロリと笑顔を取り戻してくれた。
ドレスの腹部は幅広リボンでカバーして、とっとと行くぞ。グランバニア!
旅程を急がんと、ダンジョンの中で生まれてしまう。いやだ。それだけは嫌だ!
ダッシュでGO!