柏市が放射線量の意識調査10月1日 18時53分
原子力発電所の事故のあと、周辺地域より比較的高い濃度の放射線量が計測された千葉県柏市が、首都圏の住民を対象に意識調査を行った結果、およそ3分の1の人が、柏市は周辺より放射線量が高い地域と認識していて、およそ70%の人がこうした地域では子育てや生活をすることはためらうと考えていることが分かりました。
千葉県柏市は原発事故のあと、周辺よりも比較的高い濃度の放射線量が計測され、市内全域が国の支援を受けて除染を行う「汚染状況重点調査地域」に指定され、今も除染作業が続けられています。
これまでに幼稚園や学校など子どもが集まる施設の除染はほぼ終了しましたが、市によりますと、人口の減少傾向が続いているということです。
こうしたなか、市は9月、民間の調査会社に依頼し、東京、埼玉、神奈川に住む20代から40代の既婚の男女2000人を対象に意識調査を行いました。
その結果、首都圏の36の市と区の中で、周辺より放射線量が高いと思う地域として33%の人が柏市と答え、最も多くなっていました。
さらにこうした地域の印象について聞いたところ、「小さな子どもを育てるのにふさわしくない」が「かなりそう思う」と「どちらかといえばそう思う」を合わせておよそ73%、「住むにはためらってしまう」がおよそ70%と、およそ70%の人がこうした地域で子育てや生活をすることはためらうと考えていることが分かりました。
一方、放射能に関する情報の送り手の信頼度を尋ねたところ、「政府の発信」を「全く信頼していない」「どちらかと言えば信頼していない」と回答した人が合わせておよそ50%ありました。
こうした結果から柏市は、放射能の健康への影響について、国の情報が必ずしも信頼されていない側面があるとして、子どもが集まる施設などは1時間当たりの放射線量が0.23マイクロシーベルトを下回る場所についても、国が費用を負担して除染を行うなどして信頼の回復に努めるよう要望していくことになりました。
柏市の秋山浩保市長は「子どもが集まる場所の除染はほぼ終わったにもかかわらず、非常に厳しい見方が続いていると痛感した。このままでは市の対策が進んでも不安が残るため、国にさらなる支援を求めたい」と話しています。
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