2012年10月1日(月)

石原慎太郎都知事 独占インタビュー 
尖閣侵犯再び!「日本は戦争の覚悟を示せ」

政府が腰抜けばかりで国を守れるか

PRESIDENT 2012年9月17日号

東京都議会議員・尖閣議連会長 野田 数=インタビュー・取材 宮上徳重=構成 奥谷 仁(知事)、プレジデント編集部(尖閣諸島)=撮影
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12年8月15日午後5時35分ごろ、中国人の男5人が、沖縄県石垣市の魚釣島に不法に上陸し、現行犯逮捕された。なめられ続ける日本の外交姿勢。尖閣諸島問題の第一人者でもある石原都知事への独占インタビューを一挙公開する。

――(野田数都議)石原慎太郎都知事が、12年4月に発表した「東京都による尖閣諸島購入計画」。あれからたった4カ月あまりで、寄付は、14億円、9万人(8月6日現在)を超えました。

本当にありがたい。やはり、先の東日本の大災害も引き金のひとつになって、国民の意識が変わったのを肌で感じます。国が動かないのなら国民が自ら日本を守る、という多くの人々の志をひしひしと感じますね。日本もまだまだ捨てたものじゃないなと、嬉しい思いでいっぱいです。

寄付金と共に手紙もいただいておりまして、中には「家族3人、裕福ではないですが、みんなで協議して1人1万円ずつ、合わせて3万円を寄付します」とか、「自分の村は非常に辺鄙な場所にあり、バスで1時間かけて町の銀行まで行きました。田舎の人間にも志のある人がいます。ぜひ、郵貯にも口座を設けてください」と手紙もいただきまして、大変感激しました。郵貯の口座開設に関しては6月に対応しました。

――改めて尖閣諸島を購入すると決意されるまでに至る経緯をお聞かせください。
石原慎太郎氏

そもそも、こうして尖閣諸島を巡って問題が起こること自体がおかしい。尖閣諸島の領有権に関しては、沖縄返還協定で解決している。佐藤(栄作)さんが総理大臣のときに沖縄返還が行われたが、アメリカが統治権を持っている時代に、尖閣諸島周辺の他国による漁業をほったらかしにしたんです。日本の漁船は入れないのに、台湾の漁船は船団を成してうようよいた。では実際沖縄が日本に返還されたときに、その漁船がどうなっているのか。佐藤さんはそれを一番心配していた。私はオブザーバー的立場で沖縄返還交渉に関わっていたが、賀屋興宣さんが個人的に私淑していた(蒋介石の側近である)張群さんを通して蒋介石を説得した。でも実際どうなるだろうと思い、沖縄が返還された当日、真っ先に現地に視察に行ってもらったところ、台湾の漁船は1隻もいなかった。

こうしてしばらくは落ち着いていたのだが、だんだんと中国共産党政権が力をつけてくると、尖閣諸島は我々の領域だと、とんでもない横やりを入れてきた。あの当時から、あの辺り一帯での漁業というのは非常に漁獲が期待できる海域であって、高級魚が獲れるから、シナや台湾にとっては大きな利益を生んでいた。しかも経済が発展し世界の技術が進んでくると、海底資源という物の掘削が可能になってくる。すると途端にシナ政府は尖閣諸島に強い関心を抱き出した。揚げ句、自国の領域だと主張までし始める始末。しかし、尖閣諸島のあの一帯は、先ほど述べた沖縄返還時にキッチリ日本の領域として条文でも認められている。つべこべ言うのなら、かねて日本が主張しているようにハーグの国際司法裁判所に出てきて主張したらいいのに、一向に出てこない。

一口に沖縄県といっても、あの辺りは岩礁や小島が非常に多い。これをいちいち記載していくのは大変だと、当時の外務省の連中が言うものだから、じゃあ僕はヨットマンなので、太平洋を横断するときは、東経何度何分、北緯何度何分って自分の位置を伝えなきゃならないときがある。

海上に浮かぶ岩礁や突起物にもそういう目印を6つ設けて、それを結んだ線から内側に入るのは沖縄県として返還するのはどうかと言ったら、その案が認められ、実際にキチンと条文になった。その中に尖閣諸島ももちろん入っている。

そういった経緯もあって、沖縄、特に尖閣諸島についての問題には昔から取り組んできた。その後、領有権の問題などが出てくるのだが、鄧小平に、後世の若い利口な人間たちにこの問題は任せましょうなんて言われて、バカな外務省はそれで救われた気になって、そうしようそうしようって棚上げになってしまった。あのときに「それはおかしい、あそこは日本の領土です」と、はっきり政府が言えばよかったんだ。

沖縄が返還される前、尖閣諸島周辺に群がるシナや台湾の漁船を危惧した昭和天皇が、当時総務長官だった山中貞則さんに尋ねた。 「山中、尖閣諸島には蘇鉄は生えているのか」 。山中さんは「申し訳ありません、存じません」と答えたのだが、昭和天皇は独白のように「沖縄に蘇鉄はあるが、台湾にはない」と答えられたそうだ。植物学の学者でもある昭和天皇らしい話だが、これはすごく的を射ていて、当時の我々の先遣隊が魚釣島に上陸した際、帰還した学生たちに聞くと、「そこら中、蘇鉄だらけでした」と。人間の行き来が植物の種を土地から土地へ運んで行くわけで、これは昔から沖縄から尖閣諸島への人々の往来が頻繁にあった確固たる証しなのだ。第一、シナが尖閣諸島を自国の領土だと主張する理由に挙げる、大陸棚の延長線なんてものはばかばかしい話で、海上での波風や、潮の流れなどを考えると、沖縄から尖閣諸島に渡るよりも、シナから渡ることははるかに難しいこと。事実として、昔から尖閣諸島は間違いなく日本の文化圏にある。

――しかし、長年にわたるこの国の不作為が現在の尖閣諸島の現状を生み出してしまったわけですね。

12年2月に、人民日報という向こうの政府の実質的機関紙を通して、シナは、尖閣諸島における日本の実効支配を破壊するために、もっと果敢な行動を取る。武器も含めてそのための機材を揃えるぞと宣言した。おまえの国に強盗に入るぞ、と面と向かって言われて、戸締まりしない人間がどこにいますか。今現在も実際に300隻を超える密漁船が尖閣諸島で乱獲を繰り返している。国がやらないのなら誰がやりますか。東京都民だって立派な国民だ。誰かがやらなくてはならないことを東京が引き受けた。僕が尖閣諸島を購入すると発表するに至った経緯はこういうこと。

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