2012年10月02日

続 : 世界中が希望に打ち震える「地下ジェットリニア構想」技術編


西武遊園地で安全バーが外れる事故がありました。その事故について、読者の方々をうならせる記事を書こうと思ったのですが止めました。

消費者事故調が発足 「事故の背景調査する」電話受付開始
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121001/trd12100112360012-n1.htm

彼らに「ヒント」を与えたくありません。

指が月をさすとき、愚者は指を見る 四方田犬彦

悪の葉っぱに斧を向ける人は千人いても、根っこに斧を向ける人はひとりしかいない H・D・ソロー

マーク・トウェインの警句
災いを引き起こすのは知らないことではない。知らないのに知っていると思いこんでいることである

「知ったかぶりと知らんぷり」官庁に生きる人々の生態です。

さて、表題の件、長い文章になりますが、よろしければお読み下さい。鳩山政権が今でも続いていれば、話題くらいにはなっていたかもしれません。

<開始>
仙石大臣と前原大臣がベトナムを訪問し、日本のインフラ整備技術を売り込んだそうです。他の閣僚も原子力発電所などのトップセールスを繰り広げるなど、鳩山内閣の行動力は、旧政権の行動力を凌駕していますが、マスコミは、全くといっていいほど評価しません。経団連のコメントも聞こえてきませんが、経済界は、いずれ鳩山政権を高く評価せざるを得ない日がやってくると私は確信しています。

さて、報道では新幹線を売り込むとされています。現時点ではそれしかないと思いますが、新幹線システムはテロに無防備であるなどの決定的な欠点がいくつもあります。

テロに無防備
海外発注用の新幹線システムが仮に台湾と同じ仕様であるとするならば、テロ対策が全く講じられていないと考えざるを得ません。米国のラフード米運輸長官が新幹線やリニア山梨線に乗車すると報じられていますが、テロ対して無防備でないことを証明しないと今後相手にされなくなると断言します。

鉄道としての役割を果たしていない
アメリカなら片側2路線を生み出すことも考えられますが、他の国では既存の新幹線システムを考えているに違いありません。その場合、日本の新幹線のように貨物は運べず、旅客だけを運ぶ鉄道となり、本来の鉄道の持つ役割を果たせなくなってしまいます。

自然災害に弱い
新幹線システムが地震や強風、大雨、大雪などの自然災害の影響を受けることは、日本人なら誰でも知っていることです。日本の新幹線システムは、勤勉な日本人の働きぶりによりここまで事故がなく稼働してきました。復旧作業などを考えると、途上国への輸出に際しては、相当数の現地日本人スタッフが必要になり、ランニングコストもかかり続けることが懸念材料です。

遅い、少ない
1時間当たりの輸送者数を求める公式は次の通りです。
1車両当たりの乗客数 × 1時間当たりの発進数
東南アジアなどで見かける「乗客を満載したバス」のように人を詰め込んだ場合には、運べる旅客数は増えますが、快適性を考えると新幹線システムは「運べる旅客数が極めて少ない」と言えます。地下ジェットリニア構想に比べて「遅くて少ない」システムであることに気づかなくてはなりません。
さらに、日本では騒音の問題があり、24時間運行ができない状態です。

夢がない
地下ジェットリニア構想が、最新技術を駆使した「デジタル」のシステムであるのに対し、運転手と車掌によって運転される新幹線は「アナログ」のシステムと区別することができます。新幹線システムは一度つくってしまえば、半永久的にそのシステムを変えることはできません。車両の性能向上に伴った速度のアップは考えられますが、45年以上前に開発された新幹線システムは、今や過去の産物と言わざるを得ません。

私は、JRがだめだと言っているのではありません。新幹線システムは日本の発展に欠かせないものであったし、私たちに夢と誇りを与えてくれました。
JRが開発した、日本だけが持つ超電導リニア新幹線システムも称賛に値するものであると私は評価します。

しかし、です。宇宙ステーションに日本人が長期滞在するというこの時代に、過去の延長線上にある新幹線システムという鉄道インフラを、日本の唯一の売り物とするのは実にもったいないと考えます。超電導リニアシステムの開発には成功しているのですから、このシステムを日本人が得意な「ブラッシュアップ」させることにより、人類はまったく新しい夢の輸送システムを手に入れることができるのです。

☆ 私は、他人のアイデアや発明を使って、何か新しいものを創ってきたにすぎない。 ヘンリー・フォード
☆ 新しいアイデアに偏見を持たないこと  ディズニーの大切な教え

ここからは地下ジェットリニア構想のメリットを記します。

テロに強い
日本の場合は完全な地下に建設されますが、アメリカやベトナムなどでは、日本の半地下の高速道路のような「蓋つきの半地下鉄道」が、建設費用の面からもベストであると考えます。さらに、アメリカのようなテロを受け易い国の車両は、客室内をいくつかに区切ることにより、自爆テロを起こしても被害が全体に及んだり、航空機並みの被害者が出ないようにしたりすることができます。

資が運べます
究極的には、車ごと乗車できる「フェリーシステム」に進化させることができます。アメリカのようにレンターカーシステムが機能している国以外では、富裕層を中心に移動先でマイカーを利用したいという利用者が多いと考えられます。

地下音速ジェットリニアは、何でも高速で運びます。水や食料、木材などの原材料も運びます。田舎の牛や豚などの家畜を大量に都会に運ぶことにより、都会で食品に加工することが可能になり、雇用の拡大につなげることもできると私は考えます。

自然災害に強い
全線「トンネル」ですから、自然災害に強いのは当たり前です。

早い、多い
全体のシステムは、ディズニー・テーマパークのスペース・マウンテンのように、コンピュータでコントロールされます。スペース・マウンテンは20秒間隔でロケットが発進できています。1時間は3600秒ですから、ロケットは180回発進できる計算です。既存の新幹線が1時間に10回ほどの発進回数ですから、仮に乗車定員が同じだとすると、地下音速ジェットリニアシステムの輸送量は、新幹線システムの180倍になります。さらに、将来的に韓国などへの路線延長を考えた場合、片側2車線のシステムにした場合は、理論上輸送量は倍になる計算です。(運用上、倍にすることはありません)

速さに関しては、山梨のリニア新幹線でも590キロを記録しています。車両の軽量化とジェットエンジンの取り付けなどにより、音速に近付けることも不可能でないと私は考えます。
地下ですから、騒音の問題も発生せず、24時間運行が可能になります。

夢がある
ボーイング787旅客機には、日本の軽量化技術が採用(三菱、東レ)されています。航空技術の発達はめまぐるしい限りですが、リニアの車体もどんどん進化していくに違いありません。将来的には、最新鋭の戦闘機に装着されているジェットエンジンが取り付けられるようなことになれば、コンコルドのマッハ2.0以上の速度で人類が移動できる時代がやってくるかもしれません。

この構想はアメリカ文化そのものであるディズニーの参加なしには進められません。日本人だけでなく、アメリカ人もこの構想を聞いた瞬間に、未来への大きな夢と希望を描くと私は確信します。

ここまで、地下ジェットリニア構想のメリットについて記してきました。ここからは、簡単にその技術的な問題の解決策について説明します。


発進間隔に関して
新幹線システムをイメージしている方は、誰もが「20秒間隔の発進など無理だ」と考えることでしょう。この問題を解決する方法はいくつかあります。

ハートステーション数を増やす
ステーションとは、プラットホームのことです。スペース・マウンテンのステーションは1つですが、ビックサンダー・マウンテンのステーションは2つです。乗り降りする場所が多くなれば理論的に発進間隔は短くなります。リニア東京駅のステーションの必要数は計算していませんが、扇やレーキ(熊手)のようなスタイルをイメージしていただけると、リニア東京駅のステーションのイメージを理解していただけると思います。
こうすることにより、のぼり電車もリニア東京駅の手前でノロノロ運転しなくて済むようになります。

ハート2路線を活用
路線1は「各駅停車」、路線2を「直行便」と分けて運用することで発進数は増加します。さらに2路線化することで「直行便」の目的地までの所要時間は短縮されるとともに、将来的なスピードアップにも対応できます。また、故障時の代替輸送にも使え、管理面でも効果的です。

ハートコンピュータ管理
基本的にリニア東京駅の「各駅停車」には時刻表はありません。発進準備ができた車両から発進するという、単純化された理論で運行されます。

ハート乗り降りの簡略化
新幹線システムは、「扉がスライドして出入り口が開く」構造であるのに対し、リニアシステムは「鳥が翼を広げるように扉が上部に開いたり、格納したりする」イメージを思い浮かべてください。この構造が無理なら、通常の電車のように、いくつもの出入り口がある車両をイメージしてください。地下リニアは、座席は新幹線方式ですから、ガラス窓に沿ったシート方式の通常の電車より、多くの乗降扉を設けることができます。
このように、新幹線方式ではなく、乗降に時間を要しない方式を採用することで、乗り降りによる遅れを防止できると私は信じています。

途中駅のイメージ
ディズニーのテクノロジーを最大限活用することになりますが、既存の駅のイメージではなく、地下に設けられた引き込み線とステーションを組み合わせた、高速道路上の「サービスエリア」のようなイメージのリニア駅になるはずです。リニア駅の前後には、減速、加速してリニア駅や本線に入れるための速度調整エリアが設けられています。

安全管理に関して

ハート追突の防止
ディズニー・テーマパークのジェットコースターの運行システムが制御の基本になります。
まず、こちらをご覧ください。
http://dream333.up.seesaa.net/image/C3E6B1FBC0FEA3B2.pdf


パソコンのキーボードの「外周キー」のように、駅と駅の間が区切られています。ディズニーでは「ゾーニング」と呼び、ブロックゾーン(区域)に分けるという意味で使用されます。
追突の恐れとは、同じゾーンに2つの車両が入り込むということです。そこでスペース・マウンテンでは、同じブロックゾーンに2車両が入りこまないように、先行車両の後ろに1ブロックゾーンのギャップ(隙間)を設けています。そして後続車両がこの隙間ブロックゾーンに侵入した場合には、オートマチックの非常ブレーキがかかる仕組みになっています。つまり、2ブロックゾーンという先行車両のテレトリーに後続車両は絶対に入らないシステムになっているというシステムが、構築されているということなのです。

スペース・マウンテンはジェットコースタータイプのアトラクションであり、重力がエネルギーです。したがって、重量の大きさがロケットのスピードに影響します。(実際にロケット全体の重量を測っており、重量オーバーの場合は一度格納庫に引き込まれるという安全対策をとっています。)

翻って、地下ジェットリニア構想では、車両スピードはすべてコンピュータで制御されますから、同じゾーニングでの安全管理も、ジェットコースターの安全管理と比較して容易です。ジェットコースターのように、ブロックゾーンごとに非常用のブレーキを設置する必要もありません。
地下音速ジェットリニア構想は、世界一安全な大量輸送インフラと言われるに違いありません。


ハートすれ違い時の衝撃波
両側4車線は、中で仕切られる構造にすることにより新幹線のすれ違い時に生じるような衝撃波の発生はありません。

サービスに関して
技術論と無関係ではないので新幹線とのサービスの違いを明示しておきます。

ハート運転手と車掌が不在
運行のすべてを管理するメインのコントロールセンターは一カ所です。原子力発電所の中央制御室のように、複数のコンピュータにより運航が制御されます。ディズニー・テーマパークのジェットコースターも、ライドプロセッサーとセーフティモニターという2台のコンピュータで制御されています。当然、運転手はいません。
同様に、地下音速ジェットリニア構想においても、運転手も車掌もいません。普通の電車のような改札はありません。同様に、車内での改札は行いません。また高速運転であり乗車時間が短いために車中での車掌のサービスは割愛されます。

ハート清掃やトイレなど
トイレはあっていいと思いますが、新幹線のような車両内清掃は原則行いません。一定時間ごとに車両はストレージに引き込み清掃されます。
車内販売や、自動販売機の設置は目的別につくられる車両ごとに対応すればいいだけです。(将来、「国際線」が運行された場合には、積極的に販売業務などのサービスを提供すべきです。)


最後に総合的な技術論について記します。

新幹線システムは、アナログシステムです。尼崎JR脱線事故を引き起こした運行システムと発想的には同じです。
他方、地下音速ジェットリニア構想はデジタルシステムです。その大きな違いを説明します。

両者の違いを一言で表現すると「フェールセーフが構築されているか、否か」です。あるいは「オートマチック・エマージェンシー・ストップ機能が働くか、否か」と表現してもいいでしょう。

拙書「すべてのゲストがVIP」より

<引用開始>
航空機並みの安全装置

 フェールセーフ(fail-safe:安全を保障する仕組み)の基本的考え方は、実にシンプルです。それは、どのような故障が発生しても、事前に設定してある定位置に停止させることです。つまり、走行エリア内に相当数設置されている「非常用ブレーキ」にコースターを停止させるのです。この「非常用ブレーキ」に停止することは、「安全」なことなのです。たとえコースターの車輪が破損しても、このブレーキに必ず停止します。そのような、故障までをも事前に想定した制御システムになっているのです。
 長くなりましたが、ここで皆さんに伝えたいことは、ディズニー・テーマパークのアトラクションは航空機並みの安全装置が備えられているということです。一方で、このことはある問題を抱えているとも言えるのです。それは「すぐ停止する」という問題です。安全性を最優先させるために、意図的に止まりやすくしているのです。
 たった一つの機器類の異常や、十数秒単位の発進時間の遅れなどで、この「安全装置」が作動する仕掛けになっています。
<引用終了>

メインシステムであるコースター周辺には、安全運行を保障するサブシステムが張り巡らされています。

他方、新幹線システムは運行がコンピュータ管理されているとはいえ、フェールセーフとは言えません。最後に安全を確認するのは人間の目なのですから。

この問題は、輸出を考えた場合に決定的な大問題になり得ます。それは、事故が発生した場合の責任の所在の問題に発展するからです。

日本が「不安全社会」になってしまった最大の理由は、大事故後に必ず登場する「失敗学」の創始者である畑村洋太郎教授の存在です。

失敗から学ぶことは当たり前のことですが、「失敗学」など、ディズニーの世界では話題にもなりません。なぜならば、「失敗学」ほど管理者側に都合がいい理論はないからです。
「失敗学」の行きつくところは、ほとんどが「ヒューマンファクター」という個人に焦点を当てた原因究明です。

フェールセーフが確立していない新幹線システムでは、事故が発生した場合に運転者が責任を負う可能性も否定できません。事故を防ぐフェールセーフシステムが構築されていない場合、事故原因の解明も(尼崎JR脱線事故のように)難しくなってしまうのです。反対に、デジタルシステムの場合には、センサーなどの周辺機器が事故に至る「前兆」を見逃すことはありません。事故の「前兆」である異常信号は、瞬間的にメインのコンピュータに伝えられ、「閉園後に修理可能な軽傷」、「即座に修理しないといけない重症」なのかをコンピュータが判断し、運行者にメッセージとして伝えます。ですから、個人が事故を起こすことは理論的にあり得ないのです。アメリカ人などは、この点を大きな論点として捉えるに違いありません。

ここで、もう少し「失敗学」が破綻していることについて記します。

失敗から学ぶことは「フィードバック」です。カーナビで「リルートを開始します」とドライバーに失敗を伝え、正しい道に戻すことと同じ手法です。

ディズニー・テーマパークの安全に対する基本的な考え方は「フィードフォワード」です。カーナビで「この先左折車線にご注意ください」というように、前にある失敗の可能性を知らせるのです。
トレーニング段階では「フィードバック」型でいいのですが、実践段階では「フィードフォワード」型でないと安心できないことは、誰が考えても明らかなことです。

「失敗学」は、ヒューマンファクターの追求になると記しました。そのことは反対に、安全を保障する「システムファクター」や、企業体質などに起因する「ガバナンスファクター」を疑う事故検証につながらないということを意味します。

これが、企業のトップやこれまでの権力者、官僚が「失敗学」を持ちあげてきた理由です。「失敗学」は、ディズニー・テーマパークの安全管理の理論を叩き込まれた人間からみると、まさに「アナログ理論」でしかなく、フェールセーフというアメリカ人が求める「絶対」には100%たどり着けない稚拙な理論でしかありません。

畑村教授には、2年間の現場経験?しかありません。事故が起きるメカニズム、事故が起きないメカニズムを熟知していれば、明石市の花火大会歩道橋事故や六本木ヒルズ回転扉死亡事故、尼崎JR脱線事故の原因も究明できたはずですが、いずれの事故原因の究明もできていません。

日本政府は、「システムファクター」や「ガバナンスファクター」の事故やシステムの故障などについて、理解してから海外への売り込みをかけないと、必ずフェールセーフという欧米人の「絶対」により論破されるに違いありません。

長くなりましたが、結論は単純です。

既存の新幹線システムの提案では、アメリカには「笑われる」

地下ジェットリニア構想をディズニーやボーイングの力を借りて実現させたいという提案なら、アメリカは「飛びつく」

私は、ディズニーにこの構想を話したら、1カ月で原案を考え出すと信じて疑いません。なぜならば、ディズニーの熱源はウォルト・ディズニーから引き継がれる「子供のような好奇心」であるからです。

日米のパートナーシップも格段に高まります。普天間問題など雲散霧消するに違いありません。この夢のリニアシステムを世界に提供する鳩山首相は「世界で最も影響力があった人物」として世界史に名を残すと私は確信しています。


posted by S・C・ NAKAMURA at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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