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【社会】

山の上ホテル 下水道料 不正未払い 都、5000万円請求方針

2012年10月1日 13時55分

不正配管が発覚した山の上ホテル

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 川端康成や三島由紀夫ら文豪が利用した老舗「山の上ホテル」(東京都千代田区)が二〇一〇年ごろから、井戸水の使用量を過少申告し、下水道料金の支払いを不正に免れていたことが、都や関係者への取材で分かった。都は一日、不正な配管を設置するなど手口が悪質として、料金の未払い分に過料を上乗せした約五千万円を請求する方針を固めた。

 不正配管を利用した下水道料金の支払い逃れは一昨年ごろから、全国の温浴施設などで相次いで発覚したが、都内では初めて。

 下水道料金は、水道や井戸の給水量の合計で算定される。井戸の配管には水量を測る検針メーターが取り付けられ、くみ上げ量を自治体が検針して料金を請求する。

 下水道局によると、山の上ホテルは一〇年五月に井戸の使用を届け出たが、メーターを迂回(うかい)させる配管を使い、給水量を実際の使用量より少なく見せかけていた。

 下水道局は今年六月下旬、井戸水の使用量が月ごとに大きく変動していることなどから、ホテルを立ち入り調査し、不正が発覚した。その際は、メーターの設置された配管には水が流れないよう弁が閉められていた。

 都のホテルへの聞き取り調査では、通常は閉まっている弁を検針前などに従業員が開いていたという。下水道局は、井戸水の使用量がゼロだと不審に思われるため、メーターの使用量を調整していたとみている。

 都は、不正発覚後の給水量との比較から、毎月千〜千五百トンの水が不正に使われたとみている。下水道料金にすると、年に数百万円になる。

 都の条例では、未払い分に加え、最大五倍までの過料を徴収できると定められている。担当者は「料金逃れが法律違反に当たらないか警視庁に相談する」としている。

 一方、ホテル役員は本紙の取材に「ごまかすために配管を設置したわけではなく、不正請求の認識はなかった」と回答した。

<山の上ホテル> 1954(昭和29)年開業の老舗ホテル。所在の千代田区神田駿河台の周囲に出版社が多かったことから、作家が執筆に使ったことで知られる。池波正太郎や山口瞳らが定宿にした。本館の建物は37年に文化事業団体によって建設され、太平洋戦争中は旧海軍が使用。敗戦後は、連合国軍総司令部(GHQ)に接収され、ホテル名は、当時の建物の愛称「ヒルトップ」にちなんで付けられた。

(東京新聞)

 

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