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イー・アクセス買収、電波争奪戦が背景 ソフトバンク

2012/10/2 1:14
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 ソフトバンクがイー・アクセスを完全子会社化する。KDDIも買収に動いていたが、交渉に出遅れたソフトバンクが時価総額の3倍強という金額を提示して巻き返した。背景にはスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)時代に逼迫する電波の争奪戦がある。

 ▼先行したのはKDDI 「基地局数でも電波を受けられるエリアの広さでも競合他社を上回る」。ソフトバンクの孫正義社長は1日、都内で開いた記者会見で経営統合のメリットを強調した。

 ソフトバンクが狙うのはイー・アクセスが3月から高速携帯電話サービス「LTE」を始めた1.7ギガ(ギガは10億)ヘルツ帯の周波数。同周波数帯は米アップルが新型スマホ「iPhone(アイフォーン)5」で世界標準の電波に指定しており「これまでと価値が全く変わった」(孫社長)。

 ソフトバンクは現在、LTE向けに2.1ギガヘルツ帯の電波を使っているが、イー・アクセスとの経営統合で1.7ギガヘルツも使えるようになる。端末はつながりやすい周波数帯を選んで接続することになり、「利用者にとってスマホの商品価値が上がる」(孫社長)。

 実はKDDIも周波数帯拡大を狙い、ソフトバンクより早い時期からイー・アクセスや、同社の筆頭株主で約3割の株式を保有する米ゴールドマン・サックスに接近していた。しかし買収金額を巡って折り合いがつかない状態が続いていたもよう。慌てたソフトバンクはその間隙を縫い「この1~2週間で巻き返した」(関係者)という。

 ソフトバンクにとってイー・アクセスをKDDIに奪われるのは死活問題だった。ソフトバンクは7月、「プラチナバンド」と呼ばれる900メガ(メガは100万)ヘルツ帯の周波数の運用を始めたが、それでもNTTドコモとKDDIに比べて電波の割り当てが少ない。KDDIがさらに電波を増やせばiPhoneの販売競争で後手に回るのは確実だった。

 ▼蚊帳の外だったドコモ 一方、イー・アクセスはLTEを使ったデータ通信事業に強みを持つが「今後、インフラ投資負担に耐えられる体力が乏しい」(証券アナリスト)。ゴールドマンなどは「LTE向けに新たに周波数帯を割り当てられた6月以降、売り抜ける意向だった」(大手通信会社幹部)といわれ、ソフトバンクの提案は渡りに船だった。イー・アクセスの千本倖生会長は1日、「ほかにも提案があったがソフトバンクが最良と判断した」と語った。

 同社とソフトバンクに基地局を提供するのはスウェーデンのエリクソンと中国の華為技術(ファーウェイ)が主力。今回の買収はインフラ調達でも相乗効果が大きい。

 孫社長は同日、「次は1位を狙う」と宣言した。首位のNTTドコモはiPhone5の販売競争に続き、今回の買収合戦でも蚊帳の外だった。

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