2012年10月 1日 (月)

領土問題・村上春樹さんに共感

尖閣・竹島をめぐって国際的緊張が高まっている。
日本国内でもナショナリズムの機運が高まり、政治家たちは、より勇ましく吠えるリーダーであることを競い、それを人々も渇望しているようで、危険である。
中国や韓国においても、繰り返される反日教育や反日キャンペーンが今の事態につながったように思える。
中国、韓国でも貧富の差が拡大し、多くの人々が貧困にあえぐ中、外に目を転じる政策であったのかもしれない。

「征韓論」などが典型的なように、国内の不満をそらすために、政治家たちはいつも対外的な侵略や隣国への敵対心をあおり、愛国心を高揚させる。
国が危機的であればあるほど、国民が困窮すればするほどそうである。
しかし、それは危険な賭けである。あおりたてた張本人も引っ込みがつかなくなり、あおられた人々ももっと断固とした行動を望み、誰も止められなくなってしまう。そしていきつくところは武力の行使である。

その最たるものがナチスのヒトラーではないか。
第一次大戦後疲弊したドイツが、国内の不満を国政に向けるのではなく、もう一度ドイツ人として誇りを持つために、対外的な侵略と排外主義・差別を政策とした。それはとどまるところの知らない侵略と人権侵害を生んだ。
ヒトラーは最後に自分は何ら恥辱や迫害にまみれることなく、責任をとることなく、自殺をした。
膨大な死と侵略行為、ホロコースト等での残虐な人権侵害だけが残された。
傷付いたのは普通の人々だった。

まだ萌芽かもしれないけれど、今、日本、韓国、中国で起きつつあることに、そうした危険性を感じる。
みんながクールダウンしないと、本当に危うい方向に進んでしまわないか、と懸念する。

そんなことをうつうつと考えていた時に、村上春樹さんが最近朝日新聞に寄せたエッセイに接した。
私が漠然と感じていたことを的確に、凝縮した形で言葉にしてくれたもので、とても共感した。

http://japanese.joins.com/article/459/160459.html?servcode=A00§code=A10

(引用)「1930年代にアドルフ・ヒトラーが政権の基礎を固めたのも、第一次大戦によって失われた領土の回復を一貫してその政策の根幹に置いたからだった。
それがどのような結果をもたらしたか、我々は知っている。
政治家や論客は威勢のよい言葉を並べて人々を煽るだけですむが、実際に傷つくのは現場に立たされた個々の人間なのだ。安酒の酔いはいつか覚める。
しかし魂が行き来する道筋を塞いでしまってはならない。その道筋を作るために、多くの人々が長い歳月をかけ、血の滲むような努力を重ねてきたのだ。そしてそれはこれからも、何があろうと維持し続けなくてはならない大事な道筋なのだ。」

政治化や論客は威勢の良い言葉を並べればすむが、現場で傷付くのは個々の人間。
敵対心をあおる政治家たちは戦地にいって傷付くことはないのだ。


また、大江健三郎氏らは、声明を発表。

「声明では日本の独島と尖閣諸島の領有権主張に関し、「韓国、中国が、もっとも弱く、外交的主張が不可能であった中で日本が領有した」と指摘。独島については、「韓国民にとっては、単なる『島』ではなく、侵略と植民地支配の起点であり、その象徴である。そのことを日本人は理解しなければならない」と反省を促した。」
という。
http://japanese.joins.com/article/443/160443.html?servcode=A00§code=A10

率直に言えば私自身は、このような視点が欠けていたし、まだ判断できない部分がある。
しかし、注意して傾聴しなければならない意見ではないかと思う。
きちんと判断するために、もっとこういう人たちの声が聞きたい。
歴史にさかのぼって、事実に照らして、きちんとした論議が聞きたい。
今、怖いのは、このような主張をする論者に対して、「非国民」ともいいかねないようなバッシングの風潮があること。ノーベル平和賞を受賞した大江氏が先陣を切らなければなかなか公の場でこのような発言をすることすら難しい状況にあるのではないだろうか。
時代が遡ってしまったように思う。
日本が成熟した民主主義国といえるのであるならば、冷静に、誰もが委縮することなく、領土問題、歴史問題について、自由に議論ができる空間が保障されなければならないと思う。

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2012年9月30日 (日)

移動仕事術

さて、京都での講演が無事終了。
しかし、明日の鹿児島への飛行機が心配で仕方がない。航空会社は何度電話してもつながらない。問い合わせが殺到しているに違いないのである。

そこで、旅行会社に問い合わせたところ、日曜にもかかわらずラッキーにもつながった。話しているうちに、明日の東京・鹿児島便は既に決行が決定した、と教えてもらう。
そこですぐに、伊丹・鹿児島の便に変えてもらう。

東京にいる相代理人は、もう来られないでGive upとのこと。というわけで、今夜は、東京のホテルをキャンセルして京都に一泊することになり、なんとか台風を避けながら鹿児島への道をつないだのでした。
明日の鹿児島の裁判はせっかく裁判に行く事から周辺でこの裁判の解決に向けた予定も多々組んでしまっていたので、ほっとする。

こうやって移動するにあたり、極力リラックスし、その土地土地のものを食し、ストレスを溜めずに乗り切る。それが必要なことですね。

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われながら、ハードなスケジュール

ジュネーブから昨夜帰国しました。ジュネーブも大変ハードなスケジュールで、大変でしたけれど、エミレーツで快適に帰国、のはずが予想外に疲れてしまっています。
しかし、今日はこれから京都で講演、明日は朝一番で鹿児島の裁判がありますので、羽田に朝七時の便で鹿児島にいく予定。
そこで今夜は品川で宿泊です(京都から関西で宿泊して関空にいくことも検討しましたけれど、東京に戻ってしまった方が移動が楽なんですよね)。
われながらスケジュールを詰め込みすぎなんですが、何も考えないで、予定を埋めてしまうとこういうことになってしまう。時差もありますからね。
ということで、できる限り体力を温存して、疲れを溜めないようにメンテナンスをしつつ、乗り切りたいと考えています。
日本を留守にしている間にはいろんなことが起きたようで、原発関係、死刑執行、自民党総裁選etc、とても気になります。はやくキャッチアップしたいと思います。

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2012年9月27日 (木)

始まりました! ヤフーの個人ページ

ヤフー・ジャパンにこのたび、個人が発信する記事が掲載されることになり、私も個人のページをつくっていただき、情報発信をさせていただくことになりました。
昨日が初日とのこと。
何かと大手メディアが市民の期待に応えられない今日、こうした個人発信の情報も面白いな、と思います♪
是非応援してください。

以下が私のページです。


http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/

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2012年9月25日 (火)

ジュネーブの朝

今週はスイス・ジュネーブに出張です。
ヒューマンライツ・ナウが国連協議資格をついに取得いたしましたので、人権理事会参加等の出張です。
思えば、初めてジュネーブに来た時から、国連に関わる仕事、特に人権や平和に関する国際社会の動きにNGOとして貢献したいとずっと思い続けていました。
2005年は国連のインターンとしてジュネーブにきたのですが、終了する際は、いつか帰ってこられるのだろうか、と思ったものでした。
というわけで、ようやく国連の資格を取得して、かつ自分が代表者として、国連に正式に登録をするのは感慨深いものがありました。
今年はどちらかというと日差しがまだ明るく、夏の名残を残して美しい景色の広がるジュネーブです。
レマン湖のほとりで開催される人権会合は、よく現場から乖離していると言われたりしますが、重要なことがここで決定され、国際社会の意思となりますので、しっかり参加して発言していきたいと思います。
今回はそのための登録、基礎的な知識の習得、ネットワーク形成などとともに、今後の活動にとって重要な国連機関、NGOや政府との懇談を予定しています。
来月はジュネーブで日本の人権状況に関する第二回国連審査が開催されますので、その関係のロビー、また、11月に来日が予定される国連「健康の権利」に関する特別報告者の福島調査に関する事務レベル準備ミーティングなどもする予定です。
朝ごはんはリーズナブルな今回のホテルで、たっぷりとコーヒー、クロワッサンなどを出してもらえるので、とても豊かな朝です。

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論考御紹介・裁判員制度の評価と課題(法学館憲法研究所)


裁判員制度に関する評価について、法学館憲法研究所のウェブサイトに「今週の一言」ということで、
掲載させていただきました。

今回、課題としては量刑の問題にフォーカス。特に死刑と裁判員制度は大きな問題があります。
ほかにも字数は少ないのですが、いろいろと課題を指摘させていただきました。
是非読んでくださいね!

http://www.jicl.jp/index.html

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2012年9月20日 (木)

原発ゼロ方針の見送りは許せません。

昨日、原発ゼロの政策の閣議決定を野田内閣は見送った。
これまでパブコメを実施し、国民に意見を問い、国民も必死でパブコメを書き、ここまで国民を巻き込んで、政策を公表した意味はどこにあったのか。
有権者に対する許されない背信行為だ。
「決められない政治の打破」などと言ってきたけれど、結局、国民の声に基づく政策は何も決められないのだ。
今回のことで、原発立地首長、アメリカ、経済界が強力なロビーを一夜にして展開したことは明らかだ。
経団連は全面的に歓迎していると一斉に報じられている。
結局この国では、国民との約束や、毎週金曜日に示された市民の想い、いてもたってもいられない母親たちの想い、炎天下で立ち続けて政策の転換を求める人々、ずっと丁寧に、世論を積み重ねて、民意を示し、民意の多数を占めたとしても、経済界が恫喝をすれば政権は一夜にして経済界に屈するということなのか。
そうであれば、何のための民主主義なのか、どちらを向いているのか
みんなで、これは本気で、怒らなければならない。
経済界が、国民の声や将来的な人々の安全、未来世代に安全な国をのこすという公共性・倫理観が著しく欠如し、「わが亡き後に洪水は来たれ」という短期的な利益追求、私利私欲のために行動していることも、本当に醜悪で許しがたい。このような経済界しかないことは国民にとって不幸である。

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2012年9月18日 (火)

これじゃ未来は託せない。

嫌なものには目をそむけて、出来れば快適な暮らしを
したいけれど、目をそむけずに直視しなくちゃいけないこともある。
見よ! この人たちを。

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これだけ、国民が声をあげて、多数の意見で決められようとしている原発ゼロの方針を覆そうとしている。
この顔は「お前らみたいな素人がそんなことをいくら言っても、所詮そんな甘い話では通らないんだよ」という上から目線。
あんたたちにどんな権限があってそんなことをいうのか? と腹が立つ。
民意を反映するつもりなど、この人たちにはなさそうだ。
自民党政権にNOを突きつけられたことへの反省もない。

それと、領土問題をめぐって、きゃんきゃん叫んで危機感をあおり、すごんでみせる姿も本当にみっともない。
日本が強い態度で出るとか、そんな問題じゃない。
暴走族の縄張り争いじゃないんだから。
家に知らぬやつがきたらとにかくきゃんきゃん吠える犬みたい。

私も境界争いの事件などやったりするが、大人物は10年先、100年先を見通して、平和的な解決をはかろうとするものだ。
なんとか平和的に問題を解決できないか、ということに心を砕いてこそはじめて、尊敬される国といえるだろう。
中国の反日デモが燃え盛っているけれど、同レベルできゃんきゃん叫んでいれば、問題は燃え盛るだけで解決しない。国際社会からも、近隣諸国からも、軽蔑されるだけであろう。
昔は保守政治家でも、島国である日本の行く末を見通して、大局的な問題の解決を図っていこうとするスケールの大きな政治家が多かったが、なんとここにいる人たちは小粒で了見が狭いんだろう。

未来はこんな人たちには託すことができない。

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2012年9月16日 (日)

とんでもない! 復興予算の横領

先週のNHK特集の「復興予算19兆円はどこへ」をみて怒り心頭に達した人も多いことでしょう。
被災地で、仮設住宅で、本当にひどい扱いを受けている被災者の方々をみてきた立場かられば、
無駄なところにお金が使われ、必要な人に予算が届かない実態には本当に怒りがわいています。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0909/
いくら被災者が求めても、医療支援もなければ、移動支援もないのです。
どんなに切実だとお願いしても、人の命が危険だと訴えても、冷酷に切り捨てられているのです。

ところが、今日さらに新たに東京新聞に載っていた記事にはさらに絶句。
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復興予算が原子力ムラにもぎ取られていたなんて。
人の命を考えず、原子力サイクルの利益だけを追求する姿勢が本当に明らかです。

被災者の方々の生き死にに関わる大切なお金を、あれだけの事故を起こしながら何の反省もなく、核融合研究に42億円も使うなんて、本当に人非人としかいいようがありません。42億円もあれば、取り残された仮設住宅にどれだけの希望をもたらし、人の命を救うことができるのかわからないというのに。
恥を知れ。
是非みなさん、がんがん文句をつけていただきたいです。転載歓迎です。


復興予算 原子力ムラに。もんじゅ運営独法 核融合研究、42億円流用

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012091690070712.html

政府の二〇一二年度予算の復興特別会計のうち、高速増殖原型炉「もんじゅ」などを運営する独立行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)の核融合エネルギー研究費に四十二億円が計上されていたことが分かった。文部科学省は一三年度予算の復興特別会計でも、四十八億円の研究費を概算要求している。東日本大震災の被災地復興のため、国民に新たな負担を求めた復興予算が復興とは直接関係のない「原子力ムラ」の事業に使われた。(中根政人)

 原子力機構に対し、一二年度予算の復興特別会計からは百億円超が支出された。このうち、東京電力福島第一原発事故の収束や除染に関する技術開発費などを除く四十二億円は、日本や欧州連合(EU)、米国、中国など七カ国・地域が核融合エネルギーの実用化を目指して共同で進める国際熱核融合実験炉(ITER)の研究事業に充てられた。ITERは、日本国内では、青森県六ケ所村と茨城県那珂市に研究拠点がある。

 復興とは無関係との指摘について、原子力機構は「被災地の研究拠点を通じて、復興を支える技術革新を促進できる」と強弁。文科省も「被災地の産業振興だけでなく、日本全体の復興につながる」と説明している。

 京都大原子炉実験所・小出裕章助教は「被災地の復興を最優先に考えるならば、むしろ原子力機構の不要不急な研究事業を削減して財源を確保する取り組みが不可欠だ。核融合エネルギーは、実用化のめどが立っておらず一般会計も含めて研究予算を付けること自体が無駄遣いだ」と批判している。

 政府は、東日本大震災の復興財源について、所得税や住民税の増税などで一一年度から五年間で計十九兆円を確保した。だが、津波で甚大な被害を受けた沿岸部の被災地へ十分に回っていないことや、被災地以外の公共事業などに使われていることに疑問の声が上がっており平野達男復興相は実態調査を財務省に要請している。

 原子力機構は原発推進の経済産業省や文科省の幹部らが天下りしOBが再就職した企業・団体と多額の取引を行っていることなどに批判が集まっている。

◆省庁が分捕り合戦

 災害復興予算の問題に詳しい宮入興一・愛知大名誉教授(財政学)の話 東日本大震災の復興予算は、被災地の復興に加えて「活力ある日本の再生」が編成の目的とされた。そのことで、復興を口実にした各府省の事業予算の分捕り合戦が起こり、復興とは無関係な事業にお金が回る事態に陥っている。

 原子力機構が研究費を復興特別会計から計上したのもその一例で、被災地のためではなく、予算をより多く確保したいという姿勢の表れでしかない。

<国際熱核融合実験炉(ITER)> 太陽で起きている核融合と同様の状態を人工的につくり出し、発電に使えるかどうかを実験する装置。実験炉の建設地をめぐっては、日本と欧州連合(EU)が誘致合戦を展開したが、2005年にフランス国内への建設が決定した。実験炉の運転開始は20年を予定している。

(東京新聞)


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2012年9月15日 (土)

アフターファイブ無料法律相談のご案内

新しい私の法律事務所・ミモザの森法律事務所
http://mimosaforestlawoffice.com/

を4月に開設し、ようやく落ち着いてまいりました。

そこで、市民の皆様に身近な法律事務所、という理念を少しずつかたちにしていきたいと考えていますが、
まず、毎月、無料相談を開催することになりました。
クレサラ、離婚、相続、遺言、ストーカー被害、DV、交通事故、親子間や家庭の問題、刑事事件等、
是非なんでもご相談ください。
弁護士は敷居が高いと言われま
人にいえないで悩んでいる問題等もあるかと思いますが、
是非気軽にご相談いただける事務所となっていきたいと
思います。
実は、これは、ある女性センターの相談員さんとお話していて気づいたことなのですが、
相談日がこの日、と決まっていないと、突然弁護士に電話して相談にのりたい、
と依頼するのは、特に女性にとってはとてもハードルの高いことらしく、
相談日がこの日、と決まっている方が予約が取りやすいということだそうで、
なるほど、と思ったのでした。


当事務所は秋葉原からほど近いので、勤務後、帰宅前に是非お立ち寄りください。

初回は、アフターファイブ相談会  担当 伊藤和子
場所  ミモザの森法律事務所
     台東区上野5-3-4クリエイティブOne秋葉原ビル7階です。

予約は  電話 03-5807-3184にお電話して、予約をとってください。
      (原則30分、長い場合は1時間まででお願いします)。
事務所へのアクセスはこちらです。
     http://mimosaforestlawoffice.com/map.html

(事務所の案内版みたく使用している写真。ミモザです。)

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日頃、リーガル・アクセスに困難を抱えて悩んでいらっしゃる
女性の方に是非、来ていただきたいと思いますが、もちろん
男性の方、ビジネス系の方も歓迎です。

今後も毎月開催し、アフターファイブ以外にアフターヌーンも開催
しようと考えています。
また、セミナー等も開催して、みなさまが、転ばぬ先に法的な
知識を身に着けていくお手伝いができればな、と思っています♪

是非お気軽にどうぞ!

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