Last Update:2003/05/26
週に1回ゲームクリエイターにお話を聞いて、お友達まで紹介してもらっちゃうスペシャル企画だ!

(C)エコール,1999-2001
>>第114回
株式会社エコールソフトウェア
プレジデント
真鍋 賢行 さん
今回の「クリエイターズ・トーク」は、サターンやDCでコアな人気を集めた『デスクリムゾン』シリーズの生みの親、エコールソフトウェアの真鍋 賢行さん。そのお人柄がうかがえる、非常に楽しいお話をお伺いすることができましたよ!

まず最初に、真鍋さんがゲーム業界に入ろうと思ったいきさつと、業界に入ってからの経歴などを教えていただけますでしょうか?

  真鍋氏
 中学生の時に、原子物理学の本に影響され、トリチウム、ニュートリノ、トカマクなどの言葉に萌えを感じ、原子力を目指すも、大学1年の時それらが遠い未来の話であることを知り、大きく挫折。その後、麻雀と車と旅行に明け暮れ、留年を繰り返し、精神的どん底に落ちました。その後、2ヶ月間で所持金10万円のヨーロッパ赤貧旅行により、早期にビジネス界に入る必要を感じ、大学院時代に会社を設立。昼は大学、夜は仕事、夜中はコンピュータの勉強の多重生活を始めました。数年間の地道な下請け生活でゲーム界参入の機会をうかがい、1996年、ついにオリジナルタイトル『デスクリムゾン』(発売元:セガ)をセガサターンにて発売。あとは、皆さんの知っているとおりデス。
 


なんだか壮絶ですね…学生時代に会社を立ち上げてしまうなんて、普通とてもできませんよ…凄すぎます!前回ご登場いただいたテクモ・板垣伴信さんからは、"東京裏ゲームショウ"なる謎のイベントで知り合ったというご紹介を受けているのですが…板垣さんとはどのようなご関係なのでしょうか?


  真鍋氏
 『デッドオアアライブ2』の霞ちゃんのモデリングを雑誌でみて、ぜひこのテクニックをうちの『デスクリムゾン』にも!と思いながらそのテクニックを研究していたあたりで、すでに板垣さんを意識しておりました。その頃、私が東京・秋葉原のメッセサンオー前でやった「東京裏ゲームショー」を板垣さんがたまたま見られていて、その後物づくりにかける情熱とか考え方に非常に共鳴する部分があり、それ以来の飲み友達です。
  ただ、噂では麻雀がめちゃくちゃ強いそうなので、いずれ玉砕覚悟で麻雀真剣勝負を挑みたいと思います。
 


板垣さんが言ってらしたように、とてもバイタリティ溢れる方だというのがよくわかります!よろしければ、麻雀勝負の行方もぜひ教えていただきたいです(笑)。では、真鍋さんのこれまでの人生上影響を受けたものや、転機などがありましたら教えていただけますか?

  真鍋氏
 大学時代に旅行会社でアルバイトをしており、観光バスに乗って温泉旅行にツアコンで行っていましたが、立ち寄ったみやげ物屋さんの駐車場で店の人にこっそりマッチ箱を渡され、中をみたら500円玉が入っていました。その意味が理解できず、しばらく考え込みましたが、これが、"Rバック"と呼ばれる仕組みであることを知ったときに、ビジネスのダークな部分を見た気がします。それが、『デスクリムゾン』の行商イベント、「デストレイン」の原点になっているのかもしれません。
  プラド美術館に展示されていたピカソの「ゲルニカ」を見て、想像以上の大きさと圧倒的な存在感に打ちのめされ、ほとんど1週間、毎日見に行ってました。ヨーロッパ的なライフスタイルには今もかなりの影響を受けております。
 


ちなみに「Rバック」とは、旅行業界用語らしいです…た、確かにダークです(汗)。では、真鍋さんの代名詞とも言える『デスクリムゾン』の話題が出たところで…。ご自身で手がけた作品の中で、特に思い入れが深いのはどの作品ですか?また、真鍋さんにとって名作中の名作ゲームは何でしょうか?

  真鍋氏
 自身で手がけたゲームでは、『ムサピィのチョコマーカー』(サターン/発売元:セガ)ですね。物理と数学は大好きだったのですが、今まで蓄積してきた数学的な知識をすべて使い果たした気がします。もうどんなに拷問にかけられてもこれ以上のパズルは考えられません。ある意味、自分のすべてをさらけ出した作品かな。予想とおり、埋もれてしまいましたが、今でも一番大切に思っている作品です。
 名作だと思うのは『ぜびうす』(あえてひらがなでかきます)でしょうか。"まあじゃん"狂いだったころ、『ぜびうす』と"まあじゃん"ばかりしてました。『ぜびうす』の隠しアイテムがドラをツモった時と同じような独特な感覚なので…。"まあじゃん"も『ぜびうす』も何かオリエンタルな感覚が共通するのですが、それが何なのか遠藤雅伸さんとはぜひじっくり話ししてみたいですねぇ。あの、プレイヤーを驚かせる感覚はいったいどこから来ているのかを小一時間、問い詰めたい気分です。というか、教えてください。
  実は、1年くらい前に、セガの会議室で一度すれちがって軽く会釈を交わしたのですが、一瞬、間を電流火花が走ったような気がしました。もし、遠藤さんがこれを見られていたらぜひ、エコールまでメールください。
 


ムム、その電流火花はもしかすると運命の波長だったのかもしれませんよ…!? 遠藤さん、ご覧になっていらっしゃいましたらぜひご一報を!…といったところで、まだまだお話をお伺いしたいのですが、お時間となってしまいました。それでは最後に今後の展望と抱負をひとつお願いいたします!

  真鍋氏
 新しい製作者との出会いの中で、制作者がもっているが、本人すらも気づいていない特別なものを発見して、それを磨き上げる。こんな感覚で作品を企画するように心がけています。最近はプロデュースの仕事が中心ですが、出来上がったものと共に、それを作ったチームとスタッフたちが、私の最大の作品ではないかと思っています。
 今回、ゲイゲームブランド「GIZMO」をスタートさせましたが、それによって、今までと違うゲイの人たちとの交流がふえ、毎日が新しい驚きです。今年は、このプロジェクトをぜひとも成功させたいですね。童貞作、『COX-BAX』(今夏発売予定)に期待してください。
 


実はこの新作ゲーム、18禁なんですよね…ですが、おそらく、業界でも未開拓の領域だと思います(笑)。これからもぜひ私たちをビックリさせてくれるゲームを期待しております!それでは、次のお友達を紹介していただけますでしょうか?

  真鍋氏
 ナムコの二村 忍さんをご紹介します。ゲーム制作に真剣に取り組んでいる、土方風のファッションが素敵な尊敬すべきエンジニアです。
 

最近では『ソウルキャリバーII』のメインプログラムを手がけられたクリエイターさんですね。コンシューマ版も出て間もないですし、色々なお話がお伺いできるのではないでしょうか。今回はどうもありがとうございました。それでは、また次回をお楽しみに!