「すごい速い」や「むかつく」「1コ上」――。日常会話でこういった表現を使う人の割合がおよそ半数に上ることが、文化庁の国語世論調査で明らかになった。
調査では、日常会話で使われる12の表現を取り上げた。「1コ上」は8年前の前回調査から6.1ポイント、「むかつく」は3.6ポイント増えた。いずれも、30代までの各年齢・性別層で4分の3を超え、全体の使用率を押し上げた。半数に迫りそうなのは「すごい速い」で48.8%だった。「まったり」や「なにげに」は20代、30代で6割前後の高い使用率、「がっつり」は20代男性で7割を超えたが、いずれの表現も中高年層への浸透はやや鈍い。
文化庁国語課の担当者は「新しい表現は、使う人の割合が半数を超えると加速度的に増える。『むかつく』などは定着に向かうのでは」とみている。
電子メールなど情報交換手段が多様化した影響も浮かび上がった。「漢字を正確に書く力が衰えた」とする人は、10年前の調査と比べて、25.2ポイント増の66.5%、「手書きが面倒」と感じる人は10.1ポイント増の42%、「口頭で言えば済むことも、メールを使う」とする人は、12.3ポイント増の29.5%になった。
携帯電話などの情報機器は、これまでは文字を書く能力ができあがった人が使っていたが、今は能力形成過程の子どもも使う。今回の結果を受け、学校教育でどのような対策をするか、今後の検討課題にするという。国語世論調査は、日本人の国語に対する意識を調査して、国語政策に活用するため、1995年度から行われている。今回の調査は2〜3月に全国16歳以上の男女3474人を無作為抽出し、6割から面接で回答を得た。結果は文化庁のホームページ(http://www.bunka.go.jp/)に掲載されている。(木村尚貴)
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