美容整形:美の追求は命懸け!? 年間5000人が両顎手術

 きれいになりたいという女性たちの間で両顎(上顎と下顎)手術が美容整形として人気を呼び、下顎のまひなど後遺症を訴える人が増えている。

 両顎手術は、生まれつき顎が大きく飛び出している、あるいは逆に引っ込んでいる人に対し、上顎と下顎の一部を切り、顎の位置を整える手術だ。しかし、手術後に顔がほっそりするため、美容目的で手術を受けるケースが大幅に増えている。ところが、顎の骨を切り取る大きな手術となるため下顎がまひしたり、手術中に大量の出血を起こし呼吸困難で死亡したりする事故が発生している。専門家は「両顎手術を受けなくてもいい人々が美容目的で手術を受けるのは危険だ」と警告する。

■深刻な後遺症が続出

 本来の両顎手術は、歯のかみ合わせが悪く、食べ物をかんだり飲み込んだりしにくい場合、顔に先天的な奇形がある場合、顔の両側が過度に非対称の場合に行われてきた。

 下顎が上顎より長い、あるいは飛び出している場合は、下顎の骨の後ろを切り取った後、顎の骨を引っ込める手術をする。逆に上顎が飛び出ていたら、上の歯から鼻の下までの上顎の一部を切り取り、骨を移動させる。

 しかし、口の内側から顎の骨を切り取る際、さまざまな事故や後遺症が起きることがある。

 口の周りの血管が裂けて出血が起こったり、首の周りが腫れて気道が詰まったりして、ひどければ死に至るケースもあるのだ。

 事実、昨年7月に受け口で悩んでいたAさんは歯科(口腔〈こうくう〉外科)で手術を受けたが、首の痛みを訴え、鼻と口から血が噴き出した。そして呼吸ができなくなり、低酸素症で意識不明に陥った。

 神経が傷つくケースもあれば、まひ症状を起こして下顎の感覚がなくなるなどの後遺症が発生することもある。Bさんは今年初め、ある整形外科で両顎手術を受けた後、左下唇と顎の感覚がなくなり、神経にずっと障害が残ると診断された。食べ物を飲み込むことも難しくなり、うつの症状も現れた。

 顎の骨を切った部分で血液循環が悪くなり組織が壊死(えし)し、上顎を引っ込めた際に鼻の下が広がってしまった。専門医は「後遺症は、経験のない非専門医が手術する病院でよく起きる。最近では手術中に血管・神経の損傷を防ぐため、レントゲンや顎骨の厚さ・幅などをミリ単位で測定できる3次元CT(コンピューター断層撮影)などのハイテク設備を利用する病院が増えている 」と話す。

 サムスン・ソウル病院整形外科のオ・ガプソン教授は「骨を切る手術なので後遺症が発生する可能性は高い。専門医から手術過程や後遺症について十分に説明を聞いてから手術を受けるべき」と指摘する。

■両顎手術は18歳を過ぎてから受けるべき

 専門医は「両顎手術をするにしても、顎の骨の発達が終わる18歳以降にする必要がある」と話す。若すぎると、手術後も顎の骨が成長し、後遺症が出るからだ。両顎手術を専門とする整形外科では「両顎手術の患者は18-24歳が60%、25-29歳は30%で、20代がほとんど」と説明する。

 両顎手術を受ける患者数については統計がない。健康保険が適用されないからだ。整形外科関係者の間では、全国100以上の歯科(口腔外科)や整形外科で年間約5000人が両顎手術を受けるといわれている。健康保険が適用されない「金になる整形」といううわさが広がり、両顎手術をする整形外科が乱立、手術代も以前の2000万ウォン(約140万円)台から現在は1000万ウォン(約70万円)台(歯科矯正費までを含む)に下がっている。

金東燮(キム・ドンソプ)保健福祉専門記者
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