日本は自然の力がいつも身近に感じられる国だ。夏は暑くてじとじと蒸すし、秋口になると台風がやってくる。梅雨には、頭の上から風呂の水を浴びせられたかのような気分になる。しかし、日本で自然の力を最も強烈に感じさせられるのは地震のときだ。
地震は日々の暮らしの一部であり、日本の風土を形づくってきた力の一つである。この国は地質学的に見るとまだ若く、形成の途上なのだという。そんな地殻の活動過程のなかでできたのが、富士山のような見事な火山だ。
日本各地に、健康を増進するミネラルが豊富な温泉が湧いているのもそのためだ。英国人が好んで海岸を訪れるのと同じように、日本人はなにかにつけて温泉に行きたがる。英国人とは異なり、日本人は地殻の大変動を予期して暮らしている。こんなに異なる土地で暮らすのだから、人生観が異なってくるのも当然だろう。
日本の人々は、95年の阪神・淡路大震災以降、建物の耐震性をできるだけ強度なものにすることに尽力してきた。中国のような国では、悪徳建設業者がまるでトランプタワーのように崩れる建物を建ててスキャンダルを引き起こしたりすることがあったが、日本ではそうした手抜きはなかった。
地震を想定した避難訓練が定期的に行われ、小学生は全員、地震の際にはどう振る舞うべきかを教わっている。日本については、よく「みんなが他のみんなのことを気遣う大きな村のようだ」と言われる。近年はそうでもなくなっているのかもしれないが、ひとたび災害が起きると、やはりこの特質が再び姿を見せる。
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