岡山県や名古屋市で女性5人に性的暴行を加えたなどとして、強姦(ごうかん)致傷や強盗などの罪に問われた塗装工丸山義幸被告(42)=同市南区=の裁判員裁判の判決が28日、岡山地裁であった。公判では、被害女性の1人が発症した「パニック障害」が刑法上の「傷害」にあたるかが争われ、森岡孝介裁判長は過呼吸や体の震えなどの重い症状から、強制わいせつ致傷罪の成立を認めた。
身体的なけがでない心的外傷後ストレス障害(PTSD)については最高裁が今年7月、監禁致傷事件で傷害にあたるとする初の判断を示したが、パニック障害での認定は極めて異例。
森岡裁判長はそのうえで「犯行は執拗(しつよう)で、被害女性らは重大な精神的被害も負った」として、被告に2003〜04年に起こした三つの事件で懲役11年(求刑懲役16年)、08〜11年の二つの事件で懲役9年6カ月(同12年)を言い渡した。
判決によると丸山被告は03年10月、岡山県内で、当時30代の女性にナイフを突きつけて脅し、わいせつな行為をした。女性は、体の震えや過呼吸などの症状が突然出始め、事件翌日から約3カ月半、病院の精神科などを計8回受診。パニック障害と診断された。08年にも発作が出ていた。